外苑再開発リニア工事 問題山積、事業断念を隆 起の発生受け国交省に

 JR東海のリニア中央新幹線事業で、10月28日に掘進現場の直上付近となる品川区西品川1丁目の区道で隆起などが発生した問題で、日本共産党参院議員の小池晃書記局長、山添拓政策委員長は、11月4日、参院議員会館(千代田区)で、国交省をただしました。

 同道路の隆起と掘進との関連性や工事費の増大について、国交省に説明を求めました。原田あきら、田中とも子両都議、白石たみお前都議、品川区議団の鈴木ひろ子、安藤たい作、のだて稔史の各氏、「リニア新幹線の中止を求める品川区民の会」の住民も参加しました。
 昨年8月の調査掘進中に同区の目黒川で酸欠気泡が発生したにもかかわらず、JR東海は工事との因果関係は不明として、11月に調査掘進を終了し、今年8月25日に北品川工区から大深度40メートルでシールドマシンによる本格掘進を開始しました。その2カ月後に今回の道路の隆起(高さ最大約13センチ、幅約10メートル)が起き、リニア掘進工事が原因の可能性があるとして、「現在工事を中断し、調査している」と発表しました。
 小池氏が、隆起が起きた場所とシールドマシンの位置関係について質問しましたが、国交省は、「JR東海が調査中であり、結果の報告を待っている」と答えるのみ。
 小池氏は、「リニアは単に民間事業ではない。問題が発生しているのは北品川だけではない。これまで安全性を担保するために行ってきたとする調査は公開するべきだ」として「この先、陥没や空洞がおきてもおかしくない。事業は断念するべき。国交省は、実態を明らかにするよう求める立場にあり、事業者任せにすべきではない」と求めました。

11兆円に大幅増額
 地域住民は「モニタリングしているというが、この区道の隆起は一夜にしてできたものかの報告はあるのか」「JR東海からは説明会のたびに衛星で感知(人工衛星による地表面変位計測)している、巡回監視、水準測量もしている、だから安全だと説明を受けてきた。今朝、JR東海に、予兆はあったのかと聞くと回答は得られなかった」と批判。外環道工事に反対する会の住民も聞き取りに参加し、「一都六県どこでも相次いでトラブルが起きている」と訴え、「外環道の陥没事故などの教訓が生かされていない」と憤りました。
 山添氏が「モニタリングの詳細を把握しているのか」と問うと、国交省は「詳細は公開していない」と答えました。詳細を確認し公開するように求めても、「守秘義務があり難しい」と拒否しました。
 山添氏は「工事費が11兆円と大幅増額されたが、これで確定とは言えないはず」と指摘。完成時期もJR東海が2035年を「仮置き」としているとして、「この増額はJR東海の自前か。根拠を示して説明するべきだ」と求めました。
 国交省は、今後の想定される問題についても「仮定については答えられない。JR東海から調査中と聞いている」と繰り返すばかりでした。そのうえで「住民の不安が広がっているのは承知したので、説明会をするようJR東海に要請していく」と回答しました。

タイトルとURLをコピーしました