都民が抗議
多数の樹木を伐採し超高層ビルを建設する神宮外苑再開発(東京都新宿区・港区)で、都は23日、秩父宮ラグビー場の移転建て替えに向けた公聴会を都庁で開きました。直前の開催告知で多くの公述希望者が発言できず、複数の公述人が公聴会の再開催や延期を求めたのに対し、都は公述しないものとして公聴会の終了を宣言。参加者は24日にかけて厳しく抗議しました。
事業者の独立行政法人日本スポーツ振興センターや三井不動産などは、同ラグビー場を屋根付き多用途施設として建て替える計画。予定地は第2種中高層住居専用地域で、特別に許可した場合を除き、観覧場や駐車場などを建築してはならないとしています。
都民や専門家らが公述人として意見陳述を申請。米国人経営コンサルタントのロッシェル・カップさんは「大規模施設の許可は、住環境保全を目的とする用途地域制度の根幹を揺るがすもの。新ラグビー場の規模と外観は神宮外苑の歴史的環境と調和していない」と発言。港区の女性は「試合以外にも使われ、静かな暮らしと学びの場である文教地区にふさわしくない恐れがある」と指摘しました。
公聴会の告示が開催8日前の都公報のみだったことへの批判や「公聴会を再度開いて」との要請も相次ぎましたが、都は一切答えず、都市環境計画研究者の石川幹子・東京大学名誉教授ら複数の公述人に陳述させず、終了を宣言しました。
小池百合子知事は24日の記者会見で「公聴会は適切に行われ終了した」と追認しました。
都議会外苑議連は24日、「そもそも多くの住民が公聴会の開催すら知らされず、意見を述べる権利を奪われている」として抗議し、公聴会を再度開くよう小池知事宛てに要請。日本共産党から大山とも子、尾崎あや子、原田あきら各都議が参加しました。
(「しんぶん赤旗」2025年10月25日付より)

