
三井不動産が東京都日野市に高さ72㍍もの巨大データセンターの建設を計画している問題で、周辺住民でつくる「巨大データセンターから住民の暮らしと環境を守る市民の会が29日、記者会見を市内で開き、市が事業者と住民との協議の場を設けるとともに、暮らしと環境に影響が生じない対策を示すよう事業者に指導することを求めました。
この問題では、市まちづくり条例に基づく「調整会」で住民と事業者の協議が行われてきましたが、合意に至りませんでした。市の調整会報告書(今月8日付)は事業者に▽周辺住民に理解しやすい資料を示し、対応を求めている項目は対応時期を示す▽不調になった項目については住民の心情を理解し、合意形成に向け建設的な協議を行う―ことを求めました。
会見で市民の会の山中康夫共同代表は、調整会で全47項目中「地下水の使用による地盤沈下」「地域の水資源や水道水への影響」など3項目が「不調」、他の全項目が不合意内容を含む「一部合意」だったと指摘。要因について、住民が求めた日陰や電磁波の影響、使用電力量、二酸化炭素排出量など詳細なデータの公表を事業者が拒んだことにあると述べました。
市民の会事務局の磯崎四郎さんは、市が今月12日に出した三井不宛て「指導書」について、「一部合意」項目の合意された部分と不合意だった部分を明示し、合意内容の実施を求めると強調。不合意部分も「建設的な協議」の対象にするよう求め、「住民と事業者の合意形成に向けた協議を当事者任せにせず、市が責任を持って協議の場を設けること、温室効果ガスの排出削減など市の計画との適合を事業者に指導することが必要だ」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2025年9月30日付より)