平和祈念館 新たな都議会で合意形成を 建設すすめる会が会見

 空襲の犠牲者など都民の戦争体験を後世に継承しようと活動する市民団体「『東京都平和祈念館(仮称)』建設をすすめる会」は8月6日、新たな都議会で同館の建設に向けた具体的な動きや、平和行政の充実を進めるよう求めて、都議会各会派への要請と記者会見を開きました。

 会見では、同会が行った都議選に向けた政策アンケートの内容を明らかにしました。
 6月の都議選で議席を目指したすべての政党、会派のうち連絡を取ることが可能だった17団体に、5月に送ったものです。15の会派(自民、都ファ、公明、共産、立民、ミライ、自由、維新、グリーン、生ネ、品川からやさしい未来を、国民、れいわ、社民、新社会)から回答がありました。4年前の同趣旨のアンケートの際は回答が6で、同会は都民の関心の高さを反映した大きな変化だとしています。
 三つの質問のうち、①の「東京都平和の日条例と都民平和アピールを基本的立場として、都政を進めること」については、その他とした公明、選択肢を示さなかった維新を除く13団体が賛意を示しました。また、問い②の「空襲展の開催や体験証言ビデオ公開を一層広げることについて」も、選択肢を示さなかった維新の会を除くすべての政党・会派が賛意を示しました。
 公明、維新についても二つの問いのコメント欄で、「平和について考える機会が重要」「平和意識の醸成は必要」などと答えています。

平和行政推進に賛意の会派多数
 同会は、この2つの問いにほとんどの政党・会派が賛成か、賛成に近いコメントをしていることに、「今後の都議会でも一致できる内容」「記念行事の発展について、合意が得られる内容」だとコメントしています。
 問い③の「東京都平和祈念館(仮称)」の建設については、共産、立民、自由、グリーン、生ネ、れいわ、社民、新社会が賛成としました。自民と維新は選択なし、他の5会派・政党は「その他」と回答しています。
 同会は「意見は多様だったが、必要なしとする回答は皆無だったことに大きな意味がある」としています。
 平和祈念館( 仮称)の建設に向けて都は、1990年代に空襲体験者の証言映像や遺品の収集を進めました。しかし、展示内容をめぐる都議会の一部会派の反対意見により、98、99年の予算案可決にあたって「都議会の合意を得たうえで実施する」との付帯決議がつきました。これにより、事実上の凍結状態になり、多くの資料と映像が倉庫に眠ったままになりました。
 しかし、前期の都議会では、複数の会派が建設推進を求める共同声明を出すなど、機運が高まりました。都も2022年に、眠っていた証言映像や関係資料をデジタル化して公開する方針を表明。空襲展での公開や、博物館での常時公開の取り組みが始まりました。
 戦後80年の今年1月には、著名人、文化人などによる同館の建設推進を求めるアピールも出されています。

人類史上最大の空襲被害なのに
 今回の会見と要請は、こうした動きを受けて、都議選を受けた新たな都議会で、同館建設に向けた具体的な動きを求めるものです。都議会各会派への要請文では、3月10日の東京大空襲は「人類史上最大の空襲被害」であるにもかかわらず、都の追悼行事は広島や長崎、沖縄での式典に比べてあまりにも小規模で、これは「歴史的に東京都政が平和行政の役割と責任を十分に果たしてこなかったことの結果」だと強調しています。
 そのうえで、今回のアンケート結果を踏まえて、「都の平和行政を大きく推進させる都議会」への努力とともに、祈念館建設の合意形成を進める具体的な動きを取るよう要請しています。


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