「分断許さず希望の政治へ」 小池氏 自公少数で激動に

 自民、公明与党が過半数を割るかどうかが最大の焦点となった参院選(補欠補充を含め改選125)が20日、投開票されました。結果は自・公合わせて47議席と選挙前から19議席減らし、非改選と合わせても過半数の125議席に届かず、衆院に続き参院でも少数与党に転落しました。日本共産党は東京選挙区で吉良よし子氏が3期目の当選を決め、比例で当選した小池晃、白川よう子両氏の2議席と合わせて3議席を獲得しました。非改選4と合わせて7議席となり、選挙前から4議席の後退となりました。

吉良氏3選、共産3議席

 午後8時過ぎ、吉良候補の当選確実の報が入った瞬間、事務所(渋谷区)は歓喜に沸き立ちました。
 吉良氏は「みんなで政治を動かしてきたことが勝利につながった。私一人の力ではなく、東京中のみなさんと共に勝ち取った勝利です」とあいさつ(2面掲載)。学費の無償化、入学金廃止、医療の充実、核兵器廃絶、戦争のない未来などの公約を必ず実現すると決意を表明しました。
 また、選挙戦を振り返り「外国人をはじめ特定の層に憎悪をあおり、デマをふりまき、レッテル貼りをして差別や分断をあおる候補者、政党が広がり続けるとは思いもしなかった」と述べました。
 その上で「人を傷つける政治はあってはならない」として、「かけがえのない大切な人生を守り抜く政治を実現するまで絶対に諦めない。差別と分断は必ずやめさせていく」と力を込めると、サポーターが「そうだ」の声と、共感の大きな拍手で応えました。

小池氏 論戦で流れ作った
 比例で当選確実が出た小池晃氏は、自民・公明与党が少数になる流れが生まれたのは、吉良候補をはじめ日本共産党が政治の問題点を徹底的に明らかにしてきたことが大きく貢献したと指摘。
 その上で、「これからの国会では自民党、公明党とも戦わなきゃいけないし、排外主義とは断固として戦うことになる。東京で吉良さんの議席を勝ち取れたことは、その戦いの大きな土台になる」と語りました。

東京選挙区 5回連続議席守る
 全国最多の立候補者数で大激戦となった東京選挙区(改選6+欠員1=任期3年=、投票率61・53%)。吉良候補は56万2443票(得票率8・1%)を獲得し、6位で当選。2013年から5回連続で共産党の議席を守りました。
 2議席は指定席と言われてきた自民党は、元スポーツ庁長官で新人の鈴木大地氏(得票率11・1%)が一位で当選したものの、6期目を目指した自民党参院会長の武見敬三氏(同5・1%)は落選しました。
 排外主義をあおる参政党のさや氏が2位で初議席、補完勢力の国民民主党は2議席を獲得。複数議席を目指した立憲民主党は補欠での1議席にとどまりました。維新の前職、音喜多駿氏は落選し、返り咲きはなりませんでした。

4自治体で1位
 得票を自治体ごとに見ると、文京区(得票率10・30%)、狛江市(同11・22%)、東久留米市(同12・48%)、清瀬市(同12・71%)は、いずれも1 位、北区( 同10・11%)、日野市(同10・31%)、国立市(同10・57%)、大島町(同12・90%)、御蔵島村(同10・40%)は2位でした。

日本共産党が報告街宣
 日本共産党は参院選の結果を受けて21日、比例代表で当選した小池晃書記局長、東京選挙区で3選を果たした吉良よし子氏が、池袋駅西口(豊島区)で結果報告の街頭宣伝を行い、3議席獲得への支援に心からの感謝を述べるとともに、議席を失った悔しさを力に今後の奮闘を誓いました。宮本徹前衆院議員が司会し、比例候補として奮闘した伊藤和子氏が公約実現の決意を述べ、谷川智行・党政策副委員長が紹介されました。
 吉良氏は自民・公明を少数に追い込む目標は達成できたものの、一方で生活苦の原因が外国人にあるかのようなデマを広げ、差別や分断、排外主義をあおる政党が増えたことへの懸念を表明。
 「人々の苦難軽減をモットーに頑張り続けてきた日本共産党の議員として、差別と分断のない、民主主義と自由の政治を目指す。届けられたその声を最後の最後まで6年間、しっかり届けます」と訴えました。

政治を前に 進める結果
 小池氏は比例2議席の結果に「本当に残念で悔しい。期待に応える結果を出せなかったことを申し訳なく思います」と謝意を表明。自・公が総選挙に続いて、参院でも少数になったことについて、結果全体でみれば「政治を前に進めるものであり、みなさんの力によるもの」と評価しました。
 市民と野党の共闘で32ある1人区の17で候補者を一本化し、そのうち「オール沖縄」候補を含め過去最高の12で勝利したと紹介。その一方で自公政権に助け船を出す維新、国民や、参政党や日本保守党のように外国人差別を振りまき、女性の尊厳を踏みにじる極右的な勢力が議席を増やしたのは深刻な問題だと指摘しました。

野党問われる 激動の情勢に
 小池氏は衆参とも少数与党のもとで「野党が自民政治の延命に手を貸すのか、自公政権に代わって新しい政治をつくる立場に立つのかが決定的に問われる情勢が始まる」と強調。共産党は暮らしを守るために、消費減税を主張した野党と協力し、消費減税とインボイス撤廃の実現に向けて力を尽くすとしました。
 さらに「暮らしが大変な中で外国人に怒りの矛先を向ける議論が選挙中に行われたことは大問題だ」と批判。103年の歴史を通じて侵略戦争、植民地支配、民族差別に命を懸けて反対した日本共産党の原点に立ち、「排外主義と民族差別に声を上げ、反対していきたい」と表明。
 全国各地で市民が差別反対の声を上げ、国民の新しい連帯が生まれつつあるとし、「共産党は市民と連帯して差別、排外主義を許さない国民的な共同をつくるために全力を尽くす」と強調。「政治に絶望しないでください。共産党がいます。希望と連帯を語り続け、希望の政治を実現するために頑張り続けます」と力を込めました。


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