東京・池袋 田村委員長の第一声
日本共産党の田村智子委員長が参院選公示日の3日、東京・池袋駅前で行った第一声は次の通りです。

大きなご声援ありがとうございます。日本共産党の田村智子です。
いよいよ、参議院選挙が始まりました。いま熱情あふれる訴えを行いました東京選挙区・吉良よし子さんを、必ず3期目、国会へと、参議院へとお送りください。そして、比例代表、650万、10%以上の得票で、小池晃さんをはじめ5人の議席を必ず勝ち取らせてください。どうぞ、よろしくお願いいたします。(拍手)
昨日、日本記者クラブでの党首討論がありました。長かったので全部は見ていないかもしれませんが、ごらんいただけた方はいらっしゃるでしょうか(「はーい」の声)。ありがとうございます。私は、石破(茂)首相との論戦や2時間にわたるこの議論を聞いていて、改めて自民党の政治が続くことが、私たちの暮らしをダメにしてしまうということを確信いたしました(「そうだ」の声、拍手)。物価高騰には無為無策、アメリカ言いなりの大軍拡も「当然だ」という。そして、裏金にも全く無反省。この選挙、私たち日本共産党、衆議院に続いて参議院でも、自民党、公明党を少数に追い込み、自民党政治を終わらせて、新しい政治への希望を開く、この決意でたたかい抜いてまいります。どうぞ、みなさんのご支持、ご支援をよろしくお願いいたします。(拍手)
昨年の総選挙で、国民の怒りで与党を少数へと追い込んだ、それから7カ月で大きな変化がありました。高額療養費の負担増の凍結、選択的夫婦別姓の法案、28年ぶりの審議入りで、法務大臣に、名前というのは人格権、まさに人権の問題だとはっきり認めさせ、この法案はいまも国会で生きています。そして、企業・団体献金全面禁止の法案は30年間日本共産党が出し続けてきたものが、野党の共同の要求となり、本格的な委員会審議が初めて行われたではありませんか。(拍手)
共産党の躍進、市民と野党の共闘――二つの力で新しい政治へ
参議院でも自公を少数に追い込んでいく。同時に自民党に助け舟を出すような勢力ではなく、自民党政治に正面から対決し、責任ある対案を示す日本共産党の躍進、これこそが政治を大きく前に動かす最も確かな力です。50議席を争うのが比例代表。そこで改選4議席から5議席へと前進させる、そして、選挙区では東京、埼玉、京都の現有3議席、神奈川、愛知、大阪とさらに議席の増に挑戦をしてまいります。どうぞみなさん、比例は日本共産党、東京選挙区・吉良よし子さんへ、ご支持を広げに広げてください。よろしくお願いいたします。(拍手)
政治を動かすもう一つの力は、市民と野党の共闘の力です。6月19日、私は立憲民主党の野田(佳彦)代表との会談で、「与党を少数に追い込むために連携し、力を合わせる」ということを確認いたしました。憲法違反の安保法制の廃止、市民生活を脅かす大軍拡に反対する、消費税の減税、企業・団体献金の禁止、こうした政策的な一致点も確認をしています。この合意を土台に、共闘の新しい発展に挑戦をしたいと思います。すでに全国32の1人区のうち17選挙区で候補者の一本化を行うことができました。これらの選挙区で自民党に打ち勝とうではありませんか。(拍手)
日本共産党の躍進、市民と野党の共闘、この二つの力で、自民党政治を終わらせて、暮らしでも平和でも希望が持てる新しい政治へとともに歩んでいこうではありませんか。よろしくお願いいたします。(拍手)
本気で消費税減税の道を切り開く――大企業に応分の負担を求めてこそ
この選挙、物価高騰からどうやって暮らしを守るのかが大争点になります。三つに絞ってお話をいたします。
第一は、なんといっても消費税の減税ですね。選挙直前の党首討論、何度聞いても首相は“やらない”の一点張りです。自民党・森山(裕)幹事長に至っては「消費税を守り抜く」と言いました。守るのは暮らしではないのかと言いたい。(「そうだ」の声)
それでは、自民党は暮らしのために何をやるのか、1人2万円の給付。一度評判が悪くて取り下げたものを、また持ち出す。いったい何度選挙になったら一回こっきりの現金給付を打ち出すのか。これは税金を使った選挙買収そのものではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
日本共産党は消費税の廃止を目指し、緊急に5%への減税を掲げています。買い物など消費のたびに減税になる、これが一番、物価高騰対策に有効な政策です。そして、税率が5%にそろうことで、インボイスもきっぱり廃止できます。(拍手)
その財源は、もうかっている大企業と富裕層に応分の負担を。みなさん、これなら“社会保障は大丈夫か”と思っている方も含めて、安心して消費税減税を求めることができるのではないでしょうか。(拍手)
昨日の党首討論で、私は石破首相に、この財源提案について質問しました。「私たちの提案は大企業に過分な負担を求めるものではありません。アベノミクス以降の11年間で大企業の利益は2・6倍。ところが法人税は1・6倍にとどまっている。年間11兆円もの減税をやってきた結果だ。中小企業は、だいたい利益に対して2割ぐらい法人税を納めているのに、大企業はいま1割を切っている。大企業には、いま以上に税金を負担する力=『担税力』はあるということが事実で示されていると思うが、どうか」。極めてシンプルな質問だと思ったんですが、石破首相は一瞬言葉に詰まりました。きのう、たくさんの質問が石破首相に飛びましたが、言葉に詰まったのはこの質問だけだった。そして、いろいろいろいろ言いましたが、結局、“大企業が、いま以上に税金を負担する力はない”とは言えませんでした。それは言えないですよね。大もうけしているんですから。
みなさん、大企業に利益に応じた負担、そして責任を求める、これは多くの人たちの労働と消費によって生まれた利益が、どこか一つのところにたまってしまうのではなくて、経済に回っていく本当の好循環を生むという道ではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。これをやらずに逆進性の強い消費税をひたすら“社会保障の財源だ”と言って増税を繰り返してきた。そのことが暮らしを追い詰め、経済を停滞させてきたことは、もはや明らかではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
「赤字国債を出せばいい」という主張、これは自民党の中からも出てきているんですけれども、国債を過剰に発行すれば、金利が上がり、利払いだけで暮らしの予算が圧迫されてしまいます。インフレの危険性もあります。本気で消費税を減税する、その試金石は大企業と富裕層に応分の負担を求めるかどうかです。(拍手)
先日の日経新聞の参議院選挙候補者調査では、なんと自民党の43%の候補者が消費税は減税・廃止をすべきだと答えたそうです。みなさん、いまここまで動かしてきています。日本共産党の躍進で、消費税減税の道を何としても切り開いていこうではありませんか。(拍手)
政治の責任で賃上げを――中小企業10兆円支援がカギ
第二は、政治の責任で物価高騰を上回る賃上げを行うことです。きょうも「給料アップ」のプラカードがいっぱいですね。石破首相は、「消費税(減税)をやらないのか」と聞かれると、「何より賃上げだ」と言います。政府の方針も、「減税より賃上げ」と打ち出しました。いや、とんでもないですね。減税も賃上げも、どっちもやらなければ、失われた30年は戻ってこない。
だいたい、その賃上げをどうやってやるのか。石破首相は何一つ具体的な政策を示していません。日本共産党は、大企業に539兆円もため込まれている内部留保のうちアベノミクス以降で増えた分に、期限を区切って課税をして、中小企業への10兆円の支援で中小企業が安心して賃上げできるようにする、そして最低賃金1500円を直ちに、1700円を目指そうと掲げています。このもとで、岩手、群馬、徳島、奈良、そして茨城県も、県独自の中小企業賃上げ支援に踏み出しています。“国こそやるべきだ”―この政策を掲げる日本共産党をどうかを大きく伸ばしてください。よろしくお願いいたします。(拍手)
医療・介護の崩壊を止める――“医療費削減の4党連合”に審判を
三つ目は、医療と介護の崩壊、危機をくい止めるということです。いま日本病院会など六つの病院団体が、「このままでは、ある日突然病院がなくなります」と訴えています。診療報酬、病院への予算を国が削った、抑えつけた。物価高騰の中でこんなことをやれば賃上げもできない。医療が経営できない。まさに、いつ病院がつぶれてもおかしくないという状況が起きています。
私たちは、直ちに国の予算で、医療機関に対して5000億円を投入すべきだと求めています。これこそが、医療崩壊を止め、そして医療従事者の給料を上げていく確かな道です。
介護の崩壊も止めなければなりません。ヘルパーさんたちの人手不足が止まらない。そのときに、よりによって訪問介護の基本報酬を削るとはなにごとか。緊急に削った分を元に戻す、そして、そもそも介護保険の国の負担割合をいまより10%引き上げて、介護で働くみなさんの給料を大幅に引き上げていく。これこそが、一人一人のかけがえのない命と人生を守っていく政治がやらなければならない仕事ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
ところがこのときに、自民、公明、維新の会が「4兆円の医療費削減」を打ち出しました。「11万病床削減」、これも党首討論で、「ベッドは空いている」と笑いながら言うんですよ、維新の会などが。でもみなさん、例えばこの東京でも、なぜベッドが空いているのか。本当は入院患者を受け入れたい。だけど、看護師さんが不足していて受け入れることができないということではありませんか。だいたい、ベッドに空きやゆとりがあったらいけないのか。ゆとりや空きがなくて、どうして感染症、あるいは大規模な災害のときに備えることができるのか。医療費4兆円の削減、こんなことで病院を痛めつけたら、救急医療がつぶれます。産科がなくなります。高齢者だけでなく、現役世代に激痛が襲いかかってくるではありませんか。
OTC類似薬=処方箋なしでドラッグストアで買える薬と同じような薬は“医療保険から外そう”ということも言われています。湿布薬だけではなく、アトピーの塗り薬、花粉症の薬、痛み止めなどが保険から外されたらどうなるか。また、風邪ぐらいだったら、どこかが痛いぐらいだったら、もう病院にくるなということではありませんか。命をこれほど粗末にする政治を許すわけにはいきません。しかし、国民民主党も同じ「方向性」「メニュー」だと言ってはばからない。自民、公明、維新、国民民主党、この医療費削減4党連合に厳しい審判を下そうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
これらの医療費削減は、現役世代の社会保険料を減らすためだと言いますが、やるべきことは、国の予算を増やすことです。世代間に分断を持ち込み、自己責任を当然とする、人々の生活の苦しさにつけこんで分断をあおる、これほど卑劣なやり方はないと思います。
同時に、私たちはいま、世代の対立をあおるとともに、排外主義=外国人を敵視し、社会から排斥しようという潮流が頭をもたげている、このことにも断固として立ち向かってまいります。
生活の苦しさや生きにくい社会の要因は何か。本当は、これまでの政治にこそ、その責任があります。ところが、その矛先を日本に住み、働く外国人に向ける。それは、社会をよくする力になどまったくなりません。それどころか、その矛先はいずれ自国民に向けられていく、それが歴史の教訓ではないでしょうか。日本共産党は、排外主義に断固として立ち向かいます。多様性を尊重しようという市民のみなさんと、この潮流の台頭を許さないために力を合わせてまいります。(拍手)
アメリカ言いなりの大軍拡ストップ――9条を生かした平和外交こそ
最後に、トランプ政権のもとでアメリカ言いなりでいいのか、これを選挙の大争点にしていこうではありませんか。
トランプ大統領は、パレスチナへのジェノサイド(集団殺害)、イランへの先制攻撃を行うイスラエルを擁護し続けています。それどころか、自らイランを一方的に攻撃し、国連憲章も国際法もお構いなしの暴走を続けています。そのアメリカが日本に対して軍事費をGDP(国内総生産)比3・5%以上に増やせと要求をしています。これは、20兆円以上もの大軍拡です。いまでもGDP比2%への大軍拡で、すでに軍事費は教育予算の2倍です。今年度の予算も軍事費だけが9・5%もの異常な伸び。社会保障、中小企業対策の予算は物価高騰に追いつかない、食料安定供給は昨年よりも予算を減らした。そういうもとで軍事費だけが異常突出を続けてきています。暮らしの予算が現に押しつぶされている。
昨日の党首討論で私は、20兆円以上の軍事費、これは国の予算で言えば医療費12兆円をまるまるのみ込んで増やさなければ到達できない、べらぼうな額なんだと示して、石破首相に「暮らしの予算とこの大軍拡は両立し得ないのではないですか」とシンプルな質問をしました。ところが、石破首相は、防衛予算(軍事費)の増額は「当然だ」と答えた。そして、「日本を取り巻く安全保障環境を田村さんは相当に甘く見ている」と言った。私は「石破首相は暮らしの困難をあまりに甘く見ている」と反論いたしました。(「そうだ」の声、拍手)
日本共産党は日本を含む東アジアの安全保障を真剣に考え行動しています。いまの軍事対軍事、ミサイル対ミサイルの悪循環では、平和も暮らしも壊されてしまいます。事実、外国を攻撃するミサイルの配備、これが大軍拡の中身です。外国を攻撃すれば、日本が反撃に遭う。そのことを想定する米軍と自衛隊の軍事演習までやられているではありませんか。だいたい先制攻撃まで行い、国際法も無視するアメリカと、日米同盟強化、米軍とともに海外で戦争する国づくり―この先にどうして平和が訪れるというのでしょうか。
いまやるべきは戦争の準備ではありません。東アジアに平和をつくる憲法9条を生かした平和外交です。こう言うと「中国に向かって言ってくれ」と言われるので、中国に行ってまいりました。4月末、自民党から共産党まで入る日中友好議員連盟が訪中し、日本共産党の志位(和夫)議長が参加しました。中国に対して「『日本と中国は互いに脅威とならない』という合意がある。この合意に基づく行動をとるべきだ」と発言し、中国からも「日本共産党の提案を重視している」という表明がありました。さらに、東シナ海での緊張の問題でも外交による解決を求め、台湾問題でも武力で台湾の人たちの民意を押さえ付けることはやってはいけない、同時に第三国が武力介入してもならない。戦争を起こしてはダメなんだと発言しました。言うべきことをきっぱり言い、同時に互いの関係を前向きに打開するためにひたすら努力する。こんな政党が日本で他にあるでしょうか。まさに日本共産党だけだと思います。どうぞ、平和の願いは、日本共産党へとお寄せください。
対決、対案、そして共同の力で新しい政治を切り開く。どうぞみなさん、比例は日本共産党と広げに広げて、躍進を勝ち取らせてください。東京選挙区・吉良よし子さんへの大きなご支持で必ず勝ち抜かせてください。心からお願いをいたしまして、私、田村智子からの訴えを終わります。ありがとうございました。(大きな拍手)
(「しんぶん赤旗」2025年7月4日付より)