入札参加は東洋建設だけ
東京都港湾局が発注したお台場海浜公園の巨大噴水工事を受注した大手海洋土木会社(マリコン)の東洋建設(東京都)に、同局のA元技監(66)ら10人が天下りしていたことが明らかになりました。無駄な大型公共工事の背後にある、天下り癒着疑惑が浮き彫りになりました。 (岡部裕三・ジャーナリスト)
お台場噴水事業は昨年9月に小池百合子都知事が発表しました。今年度予算に26億円余を計上。高さ150メートル、幅250メートルの世界最大級の噴水を整備する計画です。
この噴水を整備する工事の一般競争入札(4月)に参加したのは、東洋建設だけでした。予定価格は約24億9798万円で、同社が24億8160万円で受注。落札率は99・3%でした。
公共事業に詳しい都元幹部は「噴水工事はマリコンが工場でつくった浮桟橋、フロートなどをお台場に運んで連結、設置する比較的簡単な作業だ。入札に東洋1社しか参加しなかったのは疑問だ」といいます。
都の幹部職員再就職者名簿や各種退職者会名簿によると、2000年以降に港湾局出身で東洋建設に天下りしたのは、同局のA元技監(局長級)を筆頭に10人でした。
A氏は離島港湾部長を経て15年に港湾整備部長、16~19年に技監を務めました。都を退職後、複数の都関連団体役員を経て、24年ごろに東洋建設へ天下っています。
東洋建設に、都からの天下り数と職務、報酬などについて説明を求めましたが、同社は「会社として一切回答できない」と拒否しました。
また、情報公開で得た10年度以降に都が発注した大型工事(9億円以上)発注リストによると、東洋建設は13~23年度にかけて12件を受注していました。A氏が港湾整備部長だった16年度には海の森水上競技場など4件を集中的に受注し、うち2件は落札率が99%台でした。
お台場海浜公園噴水事業について、都は年間3000万人が見学すると見込んでいます。しかし、都が情報公開で開示した公文書は、集客数の根拠などを白塗りにして非公開にしていました。
日本共産党都議団は、年間6000万~1億円以上の水道料金がかかることを明らかにし、無駄遣いの巨大噴水をきっぱり中止するよう求めています。他方、自民、都民ファースト、公明の小池与党は噴水事業を推進しています。
買収の疑い天下り禁止に
市川隆夫・臨海都民連事務局長の話
港湾局は都の海洋土木工事をほぼ独占発注してきた。最近は埋め立て事業が減っている。お台場噴水工事は完成後も補修・維持管理工事を継続的に受注できるので、マリコンにはうまみがある。工事受注企業への天下り癒着は、ずっと続いてきた。企業による行政買収の疑いがある天下りは全面禁止すべきだ。
東洋建設に天下りした都元幹部
港湾局技監
港湾局港湾整備部長
港湾局離島港湾部長
港湾局東京港建設事務所長
小笠原支庁港湾課長
港湾局→建設局課長