ギアにひびも原因不明 警告灯無視し飛行継続

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横田オスプレイ墜落で事故報告書

横田基地上空を飛行するCV22オスプレイ=7月29日(羽村平和委員会提供)

 米空軍は1日、昨年11月29日に鹿児島・屋久島沖で横田基地(東京都)所属の特殊作戦機CV22オスプレイが墜落し、乗組員8人が死亡した事故に関する調査報告書を公表しました。墜落の主な原因として、(1)左右それぞれのエンジンで動力をプロペラに伝達するプロップローター・ギアボックス(PRGB)のうち左側が破損し、動力が伝わらなくなった(2)警告灯が何度も点灯したものの、操縦士が無視して飛行を継続した―の2点をあげました。(関連2面)

 報告書によると、事故機は11月29日午前、訓練のため同基地を離陸しました。岩国基地(山口県)を経由し、嘉手納基地(沖縄県)に向けて飛行していたところ、PRGB内の不具合を示す警告灯が表示。警告灯は断続的に5回表示しましたが、操縦士はこれを無視して飛行継続を判断しました。

 さらに、緊急着陸を指示する警告灯が表示。事故機は屋久島へ進路を変えました。午後2時40分ごろ、屋久島空港への最終進入時、高度約240メートル地点で左側のPRGBが破損。機体は制御不能となり、左側に2回転して海面に墜落しました。

 報告書はPRGBの破損について、内部の歯車の一つ(ハイスピード・ピニオンギア)にひびが入り、破断。その破片が他の歯車の間に挟まり、歯車が摩耗したことで動力が伝わらなくなったとしています。ただ故障の根本的な原因は「特定できなかった」としており、今後の再発防止策も示されていません。

 それにもかかわらず、林芳正官房長官は2日の記者会見で、「これらの事故原因に対応した各種の安全対策の措置を講じることで、同様の事故を予防対処することが可能だ」と断定。国内でのオスプレイ飛行を推進する立場を示しました。

(「しんぶん赤旗」2024年8月3日付より)