日本共産党東京都委員会が、東京都知事選・都議補選(6月20日告示・7月7日投票)にあたって発表したアピールを紹介します。
自民党政治に審判を下し、みんなの希望がかなう東京へ、力を合わせましょう!ー都政を都民の手にとりもどす都知事選・都議補選へのアピールー
2024年5月23日 日本共産党東京都委員会
首都東京から日本の政治の流れを大きく転換する都知事選に
自民党の政治資金パーティー・裏金づくりの組織的犯罪・脱税疑惑に、国民の怒りが大きく広がっています。内閣支持率が低迷し、「政権交代を」との声が多数を占めています。
こうしたなか、4月に行われた衆議院東京15区(江東区全域)をはじめ3つの補欠選挙すべてで、野党候補が勝利し、自民党と岸田内閣にも、維新や小池知事の「ファーストの会」にも、厳しい審判が下されました。
いまこそ、日本の政治を変えるときです。裏金にまみれる一方で、物価高には無策、経済停滞の打開策なし、戦争国家づくりに突き進み軍拡と増税で国民に負担を押しつける自民党政治は、もう終わらせましょう。国民の声を聞く、希望のもてる、新しい政治に変えましょう。
その流れを強力に推し進める絶好の機会が、東京都民にはあります。6月20日告示、7月7日投票で行われる東京都知事選挙と、同時に8つの選挙区(江東区、品川区、中野区、北区、板橋区、足立区、八王子市、府中市)で行われる都議会議員補欠選挙です。
裏金自民党に頼り頼られる小池百合子知事に退場のレッドカードを突き付け、首都・東京から自民党政治を終わらせる国民の声をあげましょう。
1、日本の政治のゆくえ、都民の命と暮らしがかかった選挙
小池都政は暮らしよりも、財界の目先の利益を最優先にする自民党政治そのもの
この選挙は、都民の命と暮らし、平和、人権の願いがかかった選挙です。
日本共産党は、市民と野党の共闘で都政改革に取り組んできた立場から、こんどの都知事選にも共闘の候補者を擁立して勝利をめざします。都議補選では党の議席増に全力をあげます。
いまの小池百合子都政はどうでしょう。
8年前、小池氏は「反自民」を掲げて都知事選に立候補し当選。自民党を離党しました。しかし、2期8年を経た小池都政が「反自民」的姿勢を保持したのは最初の数ヶ月だけで、その後は自民党にすり寄り、今や自民党政治そのものに先祖返りしました。都民の命と暮らしよりも大型開発推進など財界の目先の利益を最優先にする、石原都政以来の自民党政治を加速しています。予算も条例も自民党の賛成で成立してきました。小池知事は、自民党の裏金事件への認識を問われても、現行法の枠内で対応すればよいと繰り返すだけ。各地の選挙でも、自民党、公明党と頼り頼られる関係です。
さらに学歴詐称疑惑という、小池氏の都知事としての資格が問われる問題が大きくなっています。「小池氏はカイロ大学を卒業した」という駐日エジプト大使館のフェイスブックに掲載された声明文は、2020年の都知事選直前に小池氏側がエジプト側に頼んで発表してもらった作文だと、小池氏の元側近が暴露しました。都民にウソをつき続けた上に、駐日大使館を疑惑隠しに巻き込んだとすれば、外交問題にもなる深刻な問題です。
どこからどう見ても、都知事を替えなければならない。それが都政の現状です。
2、新しい都知事の誕生で都政の抜本転換をはかろう
地方自治体本来の役割は「住民の福祉の増進を図ること」(地方自治法第一条の二)です。新たな都知事を誕生させ、この方向へと都政を抜本的に転換させましょう。
(1)いのち、暮らし、福祉最優先の都政を
若者や現役世代が、希望を持てなくされています。長時間労働、低賃金、教育費負担などに苦しめられています。公的な住宅の供給が不足する一方、高層ビル建設などで住宅価格が高騰し、家賃が払えず住居を失う人もいます。
中小や零細業者は、コロナ禍からの立ち直りを物価高騰に襲われ、死活的状況にあえいでいます。
国民健康保険料(税)が、また値上げされます。23区の大半では、たとえば年収240万円の40歳未満の単身者の場合、年間20万円、すなわち、ほぼ1か月分の収入が取られてしまうという負担の重さです。
都の「高齢者の生活実態」調査によれば、都内のひとり暮らし高齢者の3人に1人は年収150万円未満です。平均支給月額5万5千円程度の国民年金のみで暮らす高齢者も多いです。
都民の暮らしの痛みを顧みない小池知事
こうした中で小池都政は、高齢者への暮らしの支援がきわめて手薄で、高すぎる国保料(税)を引き下げる財政支援もしないうえ、むしろ引き上げを推進しています。障害者福祉手当と児童育成手当は28年間に1円も上げていません。都営住宅も25年間、新規建設ゼロです。小池知事はコロナ対策で大きな役割を担った都立・公社病院の独立行政法人化を強行し、1年半で19病棟629床を休止に追い込んでいます。保健所は一つも増やさず不足のまま。「多摩格差ゼロ」の公約を投げ捨て、新たな格差をつくりだしています。PFAS汚染源の解明、血液検査に背を向けています。――都民の命と健康、暮らしに無責任、無関心。ここに小池都政の最大の問題があります。
都の大きな財政力を活用し、都民の願いに応える都政を
東京都政は都民の願いに応えられる大きな財政力を持っています。今年度の予算は、一般会計だけで8.5兆円、特別会計などを合わせた全会計で16.5兆円。これはスウェーデンの国家予算に匹敵します。しかも都税収入は、大企業の大きな利益、都心の富裕層の人口増などにより、この8年間で1兆円も増えています。
こうした大きな財政力を活用すれば、都民の願いに応える多くの仕事ができます。
たとえば、国民健康保険料(税)を1人当たり3万円引き下げるのに必要な予算は834億円、これに子どもの保険料をゼロにする予算を加えても900億円です。
都営住宅の新規建設を再開し、まずは5000戸つくるのに必要な予算は668億円。若者に月2万円の家賃補助を当面3万人規模で実施するには72億円です。
75歳以上の低所得者の医療費無料化は491億円。シルバーパスを完全に無料にし、多摩都市モノレール、ゆりかもめ、都県境のバスでも使えるようにするには305億円。補聴器購入費助成を全区市町村で実施し充実するのに必要な都の補助金拡充は102億円です。
小中学校のすべての学年で35人学級を実現し、すべての区市町村で学校給食無償化へ都が全額補助するために必要な増額は、あわせて306億円です。
これらを全部やっても3000億円にも届きません。
日本共産党都議団は、毎年、予算組み替えを提案しています。今年度も、一般会計予算のわずか3.8%を組み替えるだけで、121項目にわたる都民の切実な要望が実現できることを具体的に示しました。予算全体の編成権を持つ知事をかえれば、都民の願いをより大きく抜本的に実現できる、夢と希望があふれる都政をつくることができます。
(2)大型開発をやめ、都民の声が生きる東京を
小池知事は、都民の暮らしに冷たい一方で、「国際競争力の強化」「稼ぐ東京」などを強調し、自民党、都民ファーストの会、公明党とともに、築地市場の跡地や日比谷公園などの大規模な再開発を、都民の反対を無視して進めようとしています。その典型が神宮外苑再開発です。
「神宮外苑の木を伐るな!」の故・坂本龍一さんらの叫び
神宮外苑の緑・文化・歴史を守れと、亡くなった坂本龍一さん、歌手の桑田佳祐さん、小泉今日子さん、作家の村上春樹さんら多くの著名人と都民が声をあげています。ユネスコの諮問機関のイコモス(国際記念物遺跡会議)が再開発中止を求める文化遺産危機警告を出し、その国際学術委員会文化的景観委員長は、世界の主要都市で公園の土地を再開発に回すことは「聞いたことがない。全員がショックを受けた」と述べています。
「財界ファースト」でまちを壊し都民の声をつぶす都政からの転換を
このように小池都政が、世界からみてもきわめて異常な再開発を、都民無視で強行しようとする背景には、開発事業者の大企業主導で「稼ぐ東京」をつくろうという狙いがあります。
東京中のあちこちで貴重な緑や住民の暮らしを壊し、超富裕層しか住めない高層ビルや超大型イベント会場を都心に集中させ、CO2を増やしヒートアイランド現象も起こす――そんなことをこれ以上進める必要が、どこにあるのでしょうか。「国際競争力強化」のための羽田空港増便・都心上空低空飛行の新ルート、陥没事故を起こしながら巨額の事業費で強行されている東京外かく環状道路建設、「防災」口実の大型道路建設強行、温室効果ガス半減目標への消極姿勢などとともに、ごく一部の大企業・開発事業者の利益を最優先にする「財界ファースト」そのものです。
2年間で48億円もの税金を使って都庁舎などに映像を映す「プロジェクションマッピング」は、その足元で取り組まれている市民による食糧支援活動との対比で“光をあてるところが違う”と痛烈に批判されていますが、これも特定大手企業と小池都政との異常な癒着を示すものです。
都民の声を無視し、東京を庶民の住めないまちにする大型開発をやめさせ、住み続けられる東京をつくる、気候危機打開にも真剣に取り組む、新しい都政を誕生させましょう。
(3)憲法を守り生かし、平和と人権の東京を
一人ひとりが個人として尊重され、誰もが自分らしく生きられる、自由で平和な社会を――この願いに、都政がしっかり応えることが求められています。
問われる小池知事の人権意識――ジェンダー、教育、歴史問題
少子化は「国力の先細り」「国際競争力の低下」につながるから歯止めが必要というのが、子育て支援に対する小池知事の基本的考え方です。また、小池知事は「女性活躍」をと言いますが、「ジェンダー平等」とは言いません。個人の尊厳でなく国力や競争力のためという、小池知事の人権意識が問われます。
東京の子どもたちの人権が重大事態です。学校教育は、石原都政以来の管理統制と競争主義が小池都政のもとでも続き、土台が崩されていると言っても過言ではありません。教員不足により担任のいないクラスが、あちこちで生まれています。都立高校入試での英語スピーキングテストが、公平性・透明性を欠いて破たんが明瞭になっているのに、小池知事は固執しています。朝鮮学校への都の補助金を停止したまま、在日コリアンの子どもたちの学ぶ権利を侵害し、ヘイトクライムの危険にさらしています。
小池知事は、関東大震災での朝鮮人虐殺への追悼文送付も中止したままです。その根っこに歴史修正主義と差別的民族観があるなら、国際都市東京の知事として失格です。
人権尊重の国際的到達点にかなう知事を誕生させ、真の国際都市東京に
憲法第13条に定められた個人の尊厳に立脚して、ジェンダー平等、子育て支援を推進する都政への転換が必要です。教育施策でも「子どもの権利条約」にもとづき、子どもの最善の利益を保障することに責任を果たす都政が、強く求められます。
どの国の出身の人々をも人間として大切にする、真の国際都市東京をつくるため、新しい知事とともに前進しようではありませんか。
平和――米軍基地による危険から都民を守り、首都から平和の発信を
岸田政権が憲法第9条を踏みにじって、日本を「戦争する国」にする法律や予算を次々強行する中、4月の日米首脳会談で、自衛隊を事実上米軍の指揮下へ統合していくことが打ち出され、あわせて在日米軍の戦時の指揮権を持つインド太平洋軍司令部の機能を横田基地に移転する可能性が報じられています。東京が戦場になる危険が、いっそう強まります。墜落事故を起こした米軍機オスプレイも飛行が再開されます。
こうした状況にもかかわらず、小池知事は「安全保障は国の専管事項」だからと黙認し、ミサイル攻撃を受けることを前提にした「地下シェルター」整備にむけた予算も計上しました。
都民の安全を守るために、日本政府にも米軍にも毅然としてものを言う都政、世界に平和を発信する都政への転換が必要です。
3、都政を動かしてきた都民の運動と日本共産党都議団
暮らし・福祉・医療・教育など都民の切実な要求に対して、小池知事と与党の都民ファーストの会、自民党、公明党は、後ろ向きの態度をとってきました。しかし都民は、世論と運動を起こし、日本共産党都議団の論戦、都議会での野党の共同と力を合わせて、それらを打ち破り、都政を動かし、要求を実現してきました。
認可保育園増設、学校給食費無償化などでの前進。痴漢根絶を都政の課題に
東京の保育園の待機児問題は、長年の自民党都政の消極的姿勢のもとで深刻でしたが、都民の世論と運動が打開してきました。2013年以降の10年間で、都内の認可保育園数は約1700カ所、およそ13万人分増えました。日本共産党都議団が、保育園の土地取得に都が補助する条例や、都有地の活用、保育士の処遇改善を提案したことなどが都政を動かしました。
学校体育館へのエアコン設置、高校授業料の実質無償化なども、都民の世論と運動、都議会での野党共闘の広がり、日本共産党都議団が取り組んできた論戦や条例提案が、後ろ向きだった小池知事の姿勢を変えたことによる大きな成果です。
日本共産党都議団は学校給食費無償化を繰り返し求めてきましたが、小池知事は「国の責任」「法律で保護者負担と決まっている」、「支援は区市町村が決めるもの」という答弁を繰り返していました。しかし、無償化に踏み出す区が広がり、日本共産党都議団が昨年12月の都議会に、給食費無償化の条例案(小中学校の給食費を無償化する区市町村に費用の全額を都が補助)などを、他の3会派と共同で提出すると、自民・公明・都民ファーストの反対で可決には至りませんでしたが、小池知事が突然姿勢を変え、区市町村が行う給食費補助の2分の1を都が財政支援することになりました。都立学校の給食費も無償になりました。
痴漢の実態をアンケート調査し、初めて都議会で取り上げ、痴漢根絶を都政の仕事に押し上げてきたのも、日本共産党都議団です。
このように、日本共産党都議団は、2013年の都議選から3回連続躍進して19議席(国会なら106議席に相当)を持つ都議会野党第1党として、積極的提案を次々と行い、他の会派との共同を強め、都政を動かしています。
都民のみなさん
最後に重ねて訴えます。目前に迫った都知事選で、知事をかえ、新しい東京をつくり、日本の政治も変える大波を起こそうではありませんか。
同時に行われる都議補選でも、都民の願いを都政へ届ける力を強め、自民党政治に最も手痛い打撃を与えるため、日本共産党を伸ばしてください。よろしくお願いいたします。