政府は「専守防衛と矛盾しない」と強弁
日本共産党の山添拓議員は9日の参院外交防衛委員会で、岸田政権の「安保3文書」や敵基地攻撃能力保有について質問しました。
山添氏は、1972年に田中角栄首相(当時)が、専守防衛とは「防衛上の必要からも相手の基地を攻撃することなくもっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行う」ことだと国会で答弁しているとして、「防衛のためだからと相手の基地を攻撃しないのが政府の従来の考え方か」とただしました。
浜田靖一防衛相は「武力攻撃の目的をもって武装した部隊を他国の領域へ派遣する海外派兵は一般的に憲法上許されないことについて述べたものだ」と答弁。山添氏は専守防衛は海外派兵禁止とは違うと指摘し、「海外派兵と敵基地攻撃はどう違うのか。自衛隊員を派遣することは許されないがミサイルを飛ばすことは許されるのか」と追及しました。
防衛省の増田和夫防衛政策局長は「反撃能力行使にあたるスタンド・オフ・ミサイルは海外派兵に該当しない」などと述べ、専守防衛と矛盾しないと強弁。山添氏は「支離滅裂だ」「専守防衛も海外派兵禁止も歯止めを装いながら偽りだらけだ」と批判しました。
山添氏は、政府が敵基地攻撃能力を合憲とする根拠となる1956年の鳩山一郎首相当時の政府統一見解「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合」を挙げ、「わが国自身が攻撃を受けていない集団的自衛権行使の場合には敵基地攻撃を行う根拠とはならないか」と質問。増田局長は「密接な関係にある他国が攻撃され、わが国の存立が脅かされた場合、当てはまる」と答弁。山添氏は「わが国土に対し攻撃が行われた場合と密接な他国が攻撃された場合とは全く状況が異なる」と批判しました。
(「しんぶん赤旗」5月10日付より)