英語会話 テスト 「公正な入試できない」 日ごとに高まる中止の声

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英スピ議連と都民が集会
 今年度から都立高校の入試への活用が始まる「中学校英語スピーキングテスト」(ESAT―J=イーサットジェー=ことば)の実施が11月27日に迫る中、受験生や保護者、専門家などから中止を求める声が日を追うごとに高まっています。2日にはネットをつないで反対集会が都議会の会議室で開かれました。「公平、公正な入試にならない」「大変な思いをしている子どものために黙っていられない」など、中止や高校入試への活用を見送らせるべきだとの強い意見が相次ぎました。主催したのは「英語スピーキングテストの都立高校入試への活用中止のための都議会議員連盟」(英スピ議連)。
 集会では、「入試改革を考える会」の大内裕和代表(武蔵大学教授)が、不受験者の扱いによって不公平が生じることや採点の公平性や透明性の確保など、さまざまな問題点について都教育委員会に公開質問状を12回提出したが、6回目以降の質問状に回答がないと告発。「試験実施前には、受験生や保護者の疑問は解消される必要がある。入試活用は中止するしかない」と強調しました。

 中学校で学習支援に携わっているという男性は「難聴の生徒もちゃんと受けられるのか疑問がある。ベネッセが実施している『GTEC』(ESAT―Jに類似したテスト)を導入している学校や学習塾に通っている生徒は有利だよねと言っている生徒もいる。ベネッセがもうかるだけ。入試に活用させる訳にはいかない」と述べました。
 現役の中学校教諭の女性は「ESAT―Jのことは英語の先生がやること、学校全体でやることにはなっていなかった。都教委の通知がきたが会場しか書いてなかったので、学年だよりにも後ほど都教委から連絡がくるとしか書けなかった。情報を小出しにして進めているのが現状で、みんなが分からないようにやってしまおうというのが魂胆。許せない」と憤りました。
 中学3年生の保護者は「子どもは志望校が決まった後の採点結果で、また悩むのはいやだと言っている。都教委や学校から納得できる説明は聞いたことがない。子どもたちの気持ちが無視されている」と語気を強めました。大田区の別の保護者は「電話で何度問い合わせても都教委は取り合ってくれない。大変な思いをして受験勉強を頑張っている子どものために、黙っていられない」と訴えました。

 集会では、ESAT―Jの入試への活用をやめさせるために最後まで頑張ることを確認しました。集会に先立ち英スピ議連は総会を開き、日本共産党19人、立憲民主党15人、ミライ会議3人、都民ファーストの会2人、グリーンな東京、生活者ネット、維新の会各一人、計7会派42人が加盟したことや役員、今後の活動などを確認しました。

ESAT―J 通信教育大手ベネッセがアチーブメントテスト(教科の学習効果を判定するのを目的とするテスト)として、都教育委員会の委託を受けて、都内公立中学生約8万人を対象に実施。生徒は専用のタブレット端末で出題されるイラストを見てストーリーを組み立て、英語で答えたものを録音して採点。結果は20点満点で、AからF(20点~0点)までの4点刻みで6段階評価され、調査書に記載。学力検査の得点、調査書点にESAT―Jの結果を加えた総合得点が算出され、合否が決まります。