日本共産党の山添拓議員は10日の参院外交防衛委員会で、「反撃能力」=敵基地攻撃能力保有の一環として、米国製の長距離巡航ミサイル「トマホーク」の購入を検討しているとの報道をめぐって政府をただしました。浜田靖一防衛相は、「平生から攻撃型兵器を持つことは憲法の趣旨ではない」との政府見解の維持を明言せず、憲法解釈の一方的な変更の可能性を示しました。
山添氏は、これまでトマホークはイラク、アフガニスタン、シリアでの米軍の先制攻撃に使われてきたと指摘。射程は1600キロに及び、北朝鮮全土や中国の主要都市が射程圏内に入るとして、「トマホークはいわゆる攻撃型の兵器か」と追及。安藤敦史防衛政策局次長は、「反撃能力の保有については検討中だ」と繰り返し、答弁を避けました。山添氏は、「そこにすら答えられない。トマホークはもっぱら攻撃のための兵器だ」と断じました。
政府は1957年に「国防の基本方針」で専守防衛を確立した後、59年の伊能繁次郎防衛庁長官答弁で、「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っていることは憲法の趣旨とするところではない」との見解を確立しました。山添氏が「この解釈を維持するか」とただしたことに、浜田氏は、「憲法の範囲内」を繰り返すものの、59年見解の「維持」を明言しませんでした。さらに、「われわれがそれを破ってまでというところまで判断するかは検討している最中だ」と述べ、政府見解の変更の可能性まで示しました。山添氏は、「憲法の範囲内を言いながら、憲法の趣旨について明言しない、これは重大だ」と批判しました。
また、山添氏は、「国家安全保障戦略」などの改定に関する有識者会議に憲法学者が含まれているか質問。内閣官房の加野幸司審議官は「憲法学者は一人もいない」と答えました。山添氏は、「憲法についてまともな議論もなく、従来の憲法解釈を大転換するなど『言語道断』だ」と厳しく批判しました。
(しんぶん赤旗2022年11月11日付より)