参院選の予想される日程(6月22日公示、7月10日投票)まで1カ月に迫る中、東京選挙区(改選数6)では、著名人や有力候補の立候補表明が相次ぎ、各党も懸命な選挙戦を展開して、大激戦、大混戦の様相を強めています。日本共産党から出馬を予定する現職の山添拓氏は、初当選から6年間、世論と結んだ国会論戦で政治を動かしてきた実績を訴え、都内での比例100万票の実現と結んで必ず再選を、と支持を広げています。

参院選東京 著名人乱立で大激戦
 東京選挙区には「五体不満足」などの著書で知られる、作家の乙武洋匡氏が20日、無所属での出馬を表明しました。さらに、れいわ新選組の代表で、衆院議員を辞職して参院選に立候補するとしていた山本太郎氏が同日、東京選挙区での立候補を明らかにしました。東京選挙区で出馬予定だった候補は、比例代表にまわるといいます。
 読売新聞は同日のオンライン記事で、「知名度の高い両氏が出馬表明し、選挙区の構図が一気に流動化している」と報じました。
 自民党は現職で元ビーチバレーボール日本代表の朝日健太郎氏と、安倍晋三元首相が後押しする俳優で新人の生稲晃子氏を擁立。いずれも知名度の高い候補です。
 立憲民主党は、前回選挙でトップ当選した現職の蓮舫氏と、前衆院議員の新人、松尾明弘氏の2人当選をねらっています。改選数6に有力候補だけでもすでに10人という、大乱戦の様相です。
 さらに、有力とされる候補で最も年齢が高いのは50歳代で、30代、40代の候補が並ぶことも特徴です。都内の現役世代、無党派層の票を奪い合う構図です。

 日本共産党の山添拓氏は、6年前の初当選以来、初質問ではJAL(日本航空)の大量解雇の不当労働行為を追及するなど、国民の声を国会で代弁してきました。抜群の論戦力で、検察人事に官邸が介入する検察庁法改定案(2020年)では、山添氏の質問が1000万件を超えるツイッターデモのきっかけをつくり、廃案に追い込む力となるなど、世論と結んだ論戦で国政を動かしています。
 一方、昨年の衆院選で東京での日本共産党の比例票は、自民、立憲民主、維新、公明に次ぐ5位にとどまっています。さらに、自民党、立憲民主党は共産党の2~3倍の得票です。著名候補がひしめき、山添氏は文字通り、当落線上で争う位置にいます。
 日本共産党都委員会は「東京での比例100万票の実現で、政党間の力関係を変えてこそ、全国での比例5議席、山添さん再選が実現できる」と、支持の拡大を飛躍させるよう取り組んでいます。

人生変えてくれた、と
 予想される公示まで1カ月を切り、選挙戦は本番並みの激しさです。自民党の2候補のうち、朝日氏は22日に事務所開きを行いました。23区と三多摩地域それぞれに担当の選対本部長として衆院議員を付け、都議や区議、市議らも多数参加して、組織的な票の掘り起こしに懸命です。
 生稲氏は、アイドルグループ元メンバーの知名度を生かし、精力的に都内をまわって街頭で訴えています。21日には、国分寺、立川、八王子、町田をまわり、22日には大島地域を訪れました。
 公明党は各地で支持団体を固める時局講演会を繰り返しています。
 維新の会の海老沢由紀氏は26日に事務所開きを予定。5月15日には、大阪市長の松井一郎代表が都内をめぐって街頭で訴えるなど、比例選挙で維新の勢いをつけ、東京でも議席を確保しようと取り組んでいます。
 都民ファーストの会代表でもある荒木千陽氏の事務所開きでは小池知事も支持を訴え。21日には池袋駅前で街頭演説するなど、国民民主党との連携を生かして議席を得ようとねらっています。
 山添氏は21日と22日の週末、全都を駆け巡り、街頭や支援者のつどいなどで支持を訴えました。
 21日には日本共産党を応援する30歳代から50歳代の「まんなか世代JCPサポーターズ交流会@東京」に参加。「昨年の総選挙で野党が後退し、改憲勢力が衆院の3分の2を取って以来、野党共闘をつぶし、憲法を変えようという動きが強まり、参院選は非常に厳しい選挙になっている。ここで共産党の議席が後退したら、改憲の動きがもっと加速する。絶対に負けるわけにはいかない」と訴えました。
 サポーターの一人は、山添さんについて、「安倍政権がずっと続き日本はもう何も変わらないのではと思っていた。その気持ちが変わったのが、(山添氏の質問がきっかけとなった)検察庁法を廃案にしたツイッターデモ。山添さんが、自分の人生を変えてくれた。絶対に当選してほしい」と期待を語りました。交流会では、都内各地のサポーターの取り組みを交流。宣伝の仕方や、インターネットの使い方、入りやすい雰囲気の事務所づくりなどの提言も様々に出されました。
 21日の夕方には、新宿駅前でサポーターと日本共産党の共同の宣伝に参加。小池晃同党書記局長とともに、寄せられた質問や声に答える双方向での宣伝に取り組みました。小池氏は、山添氏について、「こんなにクリアに国民の声を代弁できる山添さんの議席は、絶対に国会に必要。必ず再び国会に送ってほしい」と呼びかけました。

未来の子どもたちに緑を 神宮外苑再開発 若者らが署名活動
 約1000本の樹木が伐採され、高層ビルなどが建設される明治神宮外苑地区の再開発をめぐる問題で22日、大学生の楠本夏花さん(18)とイタリアからこの日のために一時帰国した叔母の楠本淳子さんらが、神宮外苑いちょう並木周辺(新宿・港区)で伐採に反対する署名活動を行いました。
 署名活動には、夏花さんと淳子さんの友人やその家族、SNS(ネット上の交流サイト)で活動を知り、2度目の参加となる気候変動対策を求める若者主体の集団「Fridays For Future(FFF、未来のための金曜日)Japan」の俵里奈さん(20)など、約15人が参加。夏花さんが描いたイラストを背中にプリントしたお揃いのTシャツを着用し、手作りのプラカードを掲げて署名への協力を呼びかけました。
 イタリアで通訳の仕事をしながら動物や自然保護活動などにも精力的に活動している淳子さんは、インターネットで伐採問題の情報を入手。同再開発計画案が都の都市計画審議会で可決された2月9日にオンライン署名(Change.org=QRコード)を立ち上げました。
 淳子さんは東日本大震災の直後や熊本地震の際は現地に駆けつけて炊き出しなどのボランティアを行い、東京オリンピックの反対活動なども実施。「見ているだけでは納得できない性格。今回は夏花のおかげで若者が集まってくれるのがうれしい。政治が変わらない限り、開発問題は続く。政治家がいやなことをやったら、いやと言うクセを、彼女たちにつけてもらいたい。政治家は私たちが信頼して選挙で選び、権利を与えただけ。それを利用して市民が求めていないことをやるのは間違えている」と力を込めました。

一分
 岸田首相が20日、「新しい資本主義実現会議」で、男女賃金格差の開示を企業に義務付ける方針を明らかにしました。従業員が301人以上の企業、約1万8千社が対象で、このうち上場企業には有価証券報告書での開示も義務付けます。
男女賃金格差の情報開示は、長年、運動が求めてきたもので、日本共産党も国会で連続追及してきました。21年12月の参院予算委では山添拓氏が、女性活躍推進法で賃金格差の公表が義務になっていないことを指摘。格差是正の目標を掲げている企業が、行動計画を策定した2万7562社中、わずか7社しかないことを明らかにさせました。岸田首相から「情報公開のあり方を検討する」との答弁を引き出しました。
田村智子参院議員も、この問題を繰り返し取り上げてきました。21年3月の予算委員会では、コロナ禍のもとで女性たちが苦しむ背景に、低賃金という構造的な問題があることを指摘。女性が多く働く職場で、自公政権のもとで政策的に非正規化や低賃金化が進められたことが多くの困難をもたらした実態を追及しました。
男女の賃金格差の是正は、ジェンダー平等を進める上でも基盤ともなるものです。ようやく実現する開示を、格差の抜本的な是正につなげる政治の役割が大切です。