リニア中央新幹線の建設工事が進んでいる東京都町田市で11日、日本共産党の山添拓参院議員は同新幹線の非常口やその周辺を調査し、地元住民に実情を聞きました。池川友一都議、党町田市議らが同行しました。
町田市では、一部区間を除きリニア中央新幹線が地下40メートル以上の大深度地下で通過し、市内には3カ所の非常口が設置されます。このうち本線トンネルのシールドマシンが発進する小野路非常口(立坑)は今年1月に完成。JR東海は、本線トンネルを掘り進めるために必要な準備をしているとし、今後沿線の地上部で家屋調査が行われる予定です。
大深度地下トンネルが自宅の真下を通過する男性(83)は「シールドマシンの組み立ては終わったと聞くが、家屋調査はまだ行われておらず、いつやるかもJRから説明はない」と強調。「調布の外環道トンネル工事ルート上で陥没事故があり、何が起こるか分からず、周辺住民からも心配の声が上がっている。基本的にはリニアは中止してほしい」と話しました。
小野路非常口の現場は直近に障害者施設がある上、1日に800台以上のダンプが通る計画があります。地元の住民は「施設利用者の通所時間帯を避けると、短い時間に膨大なダンプが通ることになるのではないか」と懸念しました。
市内の浅深度トンネル区間で、自宅敷地の地下35メートルをリニアトンネルが通過する男性(68)は「JRは当初、浮上走行なので振動はないと説明していたが、実際には相模原の駅に近く振動があることを認めた。JRはすでに2年ほど新たな説明に来ていない」と話し、JRへの不信感から「自宅敷地内の測量はさせていない」と語りました。
山添氏は「工事の影響の説明が必要だが、それを2年やっていないとなると責任問題もある」と応じました。
調査後、山添氏は、「町田市内は住宅密集地の地下をリニアトンネルが通る。調布で起きた陥没事故と同じ影響が起こるのではないかと改めて認識した。調布の事故以来、事態が変わったという認識がJRにはなく、家屋調査もしていないのにシールドマシンは造るなど工事ありきだ」とのべました。