東京都議選の対決点/共産党都議団三役座談会

「しんぶん赤旗」日刊紙に掲載された、共産党都議団三役による座談会「東京都議選の対決点」を紹介します。


都庁前に勢揃いした2021年都議会議員選挙の第1次候補者(写真提供:しんぶん赤旗)

今夏に東京都議選(定数127)が行われます。都政の現状、日本共産党の役割、都議選の対決点について、共産党都議団(18人)の大山とも子団長、和泉なおみ幹事長、白石たみお政策調査委員長に聞きました。(都議選取材班)

ただそう「コロナ下に病院独法化」の異常

--新型コロナウイルス感染拡大が止まりません。

和泉 小池百合子知事は昨年6月までは「必要な検査は行われている」という態度でした。共産党都議団はずっとPCR検査を増やすべきだと主張してきて、そのこともあり、現在、1日最大6万8千件検査を行う能力はあるというのですが、実施件数が追いついていません。検査を面的に行う戦略を欠いています。

大山 コロナ患者を受け入れる専門病院について、私たちは都立・公社病院で職員を増やして対応すべきだと言っているんですが、都は職員を増やさない。現場は本当にきつい状態になっています。

和泉 ある病院ではベッドは100床用意したけれど、人が確保できなくて実際に入れるのは約30床です。

自・公・都ファが請願を不採択に

--そんな中で都は14ある都立・公社病院をすべて、事実上の民営化になる地方独立行政法人化しようとしています。異常ですね。

白石 新日本婦人の会が3700人以上の署名で6月提出した「都立病院は都の直営で」という請願は自民、公明、都民ファーストの会の反対で不採択となりました。都民ファは独法化を「一貫して推進」、自民は「精力的検討を求める」、公明は「引き続き検討を」という立場です。

--「コロナの中、まずいだろう」という変化はないんですかね。

白石 公明党は12月の議会で「独法化の必要性をどう考えるのか」という質問をしています。「独法化おかしいだろう」という声を意識しているのでしょう。都の健康長寿医療センターは独法化して10年で年約10億円の赤字で、医師の離職も続いています。

和泉 他県でも病院独法化はうまくいっていない。「収益上がるんです。人材確保できるんです。都民サービス充実できるんです」という都の言い分は全て崩れています。

大山とも子団長(写真提供:しんぶん赤旗)

大山 保健所の問題では、9月議会の論戦で「増設・拡充」を求めたのに対し、小池知事が「検証し、あり方を検討する」と回答があったのは論戦と運動の成果です。「保健所統廃合で機能強化された」と言っていたのが変わった。医療・保健の切り捨ての中でコロナとなり、にっちもさっちもいかなくなっている。

暮らしや生業の支援拡充求めて

--暮らし・生業・雇用はどうでしょうか。

大山 新宿、大変ですよ。知り合いのスナックは1週間で客は1人だったとか。

白石 飲食店は営業短縮で協力金がありますが、飲食店に魚や野菜を卸す業種には協力金すらありません。

和泉 都の業者支援は対象が狭すぎます。時短した酒類を出す飲食店に感染防止への一律〝協力金〟として出すだけで、売り上げ減に対する「補償」がありません。

白石 コロナ禍で4割が収入減となるなど一人親世帯は大変です。都の児童育成手当増額を求めています。

大山 児童育成手当は単価を20年間上げていません。私たちは2000円の増額を求めました。シングルマザーに聞いたら「コメが5キロ買える。いいですね」と言ってくれました。

和泉なおみ幹事長(写真提供:しんぶん赤旗)

和泉 学生も大変。約20%の学生が退学を検討しているという調査もあります。日本の未来を担う人が大学での勉学をあきらめなければならないというのは、本人にとっても社会にとっても大きな損失です。

白石 困窮者の住まいの確保は重要ですが、この間の補正予算にも住宅にからむものはほとんどありません。

議案提案権も使い正論で都政動かす

--12月の議会に共産党は学生、一人親などへの支援策の条例を提案しましたが、都民ファ、自民、公明などの反対で成立しませんでしたね。

大山 そうなんです。でも、条例が否決されても、その内容が実現することは結構あるんです。

和泉 最近のことでいうと小中学校の体育館へのエアコン設置。中小企業振興条例もそうだし、ちょっと前の話でいうと都有地を使った保育園の増設。

大山 2013年の都議選で共産党が8から17議席に躍進して議案提案権を回復して、条例提案できるようになって最初に出しだのが保育園の用地取得費補助だったね。

和泉 あの時、議会では「いつまで認可保育園にこだわってるんだ」と公明党からヤジが飛び、自民議員は「庭がある保育園なんておとぎ話だ」という質問をしました。条例案は否決されましたが、その後、都有地を利用した認可保育園、さらに福祉施設建設が進みました。私は都議になりたてで「ああ、こうやっで政治って動くんだ。正論が動かすんだ」と実感したことを覚えています。

 

羽田・外環 国言いなりでは都民守れぬ

--羽田新飛行ルート、東京外かく環状道路(外環道)、横田基地問題など国の施策と絡む問題ではどうでしょう。白石さんは新ルートで被害の大きい品川区選出ですが。

白石 都心を超低空飛行する新飛行ルートは国が押し通した面はありますが、都の責任も重大です。住民の不安があるので、「やってくれ」と言った区市長はいません。ただ一人言ったのが小池百合子知事です。国際競争力のために必要だというわけです。

通用しない逃げ

和泉 騒音被害や落下物の不安に「国のやっていることですから」という知事の逃げは通用しません。

白石たみお政策調査委員長(写真提供:しんぶん赤旗)

白石 調べて驚いたんですが、品川区の都民ファの都議はこの4年間1回も新ルートについての質問をしていません。新ルート見直しの陳情採決には退席しました。公明党が2回ほど質問していますが「騒音測定結果の分かりやすい公表を」という程度のもので「やめろ」とも言わないし、知事の責任を追及もしない。地元議員として恥ずかしいですね。自民党は「必要不可欠だ」という立場。

大山 陥没、地下空洞が問題になっている外環道の都市計画法上の認可権は都知事にあります。3月末で期限が切れるので、知事が更新を認めなければ工事は止まります。運動と議会で力を合わせて更新させないことが重要です。

和泉 米軍横田基地被害の問題は共産党以外はだれも言わない。都は「安全保障は国の専管事項です」と繰り返すだけ。

白石 国の施策を口実に都民の実態に寄り添わない。

和泉 ただ、日米地位協定については、変わってきた。沖縄の翁長雄志前知事の功績だと思うけど、全国知事会が見直しを提言して、その水準では答弁するようになった。小池知事は答弁に立たず、だいたい局長クラスですが

政党の対決構図

--2016年の知事選で「反自民」を掲げ当選し、去年再選された小池知事と、対する政党の構図はどうなっていますか。

白石 小池知事の「反自民」は見る影もありません。自民に擦り寄っています。

和泉 自民も去年の知事選で牙を抜かれたという感じ。「ワンマンだ」とか、かみついていたのに、小池知事に批判的な発言はほとんどなくなりました。

大山 基本的に小池知事の政治は自民党政治ですから。大規模開発、羽田新ルート・外環道促進、カジノ。小池氏の掲げる「稼ぐ東京」なんて自民は大好きだから。

和泉 立候補をめぐるいざこざはあっても、政治の中身、政策について両者は何の違和感もない。

--公明党は?

和泉 この4年間で自民を明確に批判したことは一度もありません。また、都民ファは公明党が首を縦に振らないものについては一切乗らない。

大山 委員会、理事会は全会派の出席でというルールを破るなど民主的議会運営をひっくり返すのを都民ファと一緒に主導したのは公明党です。

和泉 共産党は、立憲民主党などとの核兵器禁止条約批准を求める意見書を共同提案する努力をしたり、議会運営などでの共闘を重視しています。また超党派での子どもの権利の学習会も3回行いました。

 

個性的活動 多彩な実績党都議団大きく

(左から)和泉、大山、白石の各氏(写真提供:しんぶん赤旗)

--議会運営では、例外的に議会の議決を経ずに首長が決定する小池知事の専決が目立ちましたね。

和泉 去年の7月臨時議会が1727日まで開かれましたが、30日に専決でコロナ対策の条例を改正し、都の感染防止ステッカーを張っていない飲食店に行かないように呼びかけました。

知事専決ただす

白石 有効な感染防止策を議会で議論せず、3日後に専決するのは全くの議会軽視です。

和泉 自治体は住民が首長と議員を直接選挙で選び、両者が権力の均衡をとりながら政治を行う二元代表制をとっています。予算でも知事の専決が続き、これでは議会は何のためにあるのかということになります。この問題を批判したのは共産党だけでした。

白石 12月の議会では補正予算が最終日に追加議案として出されました。共産党の専決批判が効いたんだと思います。

和泉 (共産党がいなかったら)知事の専決を通すだけの「トンネル議会」になっていた。

--大山さんは現在7期目。初当選は青島知事の時ですか?

大山 鈴木知事の時ですね。鈴木、青島、石原、猪瀬、舛添、小池

和泉 すごい。6人の知事を見てきたんだ。

大山 石原知事は「何がぜいたくかといえば、まず福祉」といって福祉を切り捨てていった。予算編成の時期、寒い時にお年寄り、障害者の人たちが(議会棟と第一庁舎の間にある)都民広場で座り込みをしてね、みんなで甘酒つくりました。

白石 自由ですね。

大山 私にとって石原知事の最大の罪は、保育を市場に投げ出したこと。「居酒屋の2階の認証保育所。階段が急で、手すりも子どもにはとどかない」「保育士の人数を虚偽申請している」―。内部告発があって都議団で調査して改善につながりました。党の議席の値打ちは都民の苦しみ、願いと結びついていることですね。

--最近の党の実績に、街をさまよう若い女性が性被害などにあう問題への対策を都としてもとらせたというものがありますね。

性被害防ぐ支援

和泉 若年女性支援にこだわり続けた米倉春奈都議の成果です。最初に一般質問で取り上げた時、所管部署がなくて、局の中でたらい回しにされた。所管部署をつくらせて、夜の声かけなどアウトリーチ(積極的働きかけ)支援が行われるようになりました。

白石 他にも「聞こえのバリアフリー」実現、髪型や色を指図する校則改善など多彩な成果があります。

--最後に今年の抱負をお願いします。

和泉 みんな同じになっちゃうんじゃない。勝って戻ってくること(一同笑い)。この間、都議団のはたしている役割を実感した。この都議団をもっと大きくして、もっと役割を果たしたい。それを考えるとわくわくします。

大山 今の都議団は一人ひとり個性豊かで力があります。その力が発揮できる団にする。当選者を増やし、さらに都民の生活に寄り添えるようにしたい。

白石 羽田新ルートや定時制高校統廃合の問題は選挙前に何とか打開していきたい。そういう論戦を議会でしたい。総選挙の時期は流動的ですが、都議選で共産党を躍進させ、政権交代の流れができたといわれるような結果を出したい。

(「しんぶん赤旗」2021年1月6日、7日、8日付より)