「きちんと説明と手続きを」

都内でも有数の賑わいを誇る板橋区のハッピーロード大山商店街で、再開発事業での解体工事に伴うアスベスト(石綿)飛散の不安を訴える声が、住民からあがっています。アスベストは吸引することで肺がんを引き起こす恐れのある猛毒物質で、説明や対策を求める住民らの要望に、区や再開発組合は受け入れる姿勢を示さず、工事を強行する構えです。日本共産党の山添拓参院議員、とくとめ道信都議らは6日、かなざき文子、山内えり両区議や住民らとともに、「アスベストから大山を守る会」メンバーの案内で現地を視察しました。
(長沢宏幸)

全31棟で使用

同商店街は東武東上線大山駅前からアーケードでつながり、総延長560㍍、1日3万4000人が訪れます。現在、ここの商店街を含む地域一帯では、東京都が防災の名で強行する特定整備路線・補助26号線(幅20~23㍍、地区内延長375㍍)の道路計画と一体で、住民合意のない東上線高架化や駅前広場計画などの再開発事業が進められています。
このため多くの商店で立ち退きが迫られたり、商店街が170㍍も削られ分断されることが判明し、住民や商店街関係者から「街こわしだ」「商店街の存亡にかかわる」など反対運動が広がり、訴訟も起きています。
こうした中、新たに持ち上がったアスベスト問題は、同地域の再開発計画の一つ、「大山町クロスポイント周辺地区」で起こりました。補助26号線の一部と26階建てのタワーマンション2棟などを建設するというものですが、それに伴って31棟が解体されます。

山添氏ら一行は、工事用のシートや鉄パイプなどで囲われた現場や、軒並みシャッターが閉じられた商店を、「中皮腫・じん肺アスベストセンター」の永倉冬史事務局長や東京土建板橋支部の後藤淳二氏らの説明を聞きながら視察。
吹き付けアスベストが使用されている可能性が高いのに、施錠されていたために「未調査」で報告書に調査・分析結果が未記載だったエレベーター周辺など、「調査ミス」とみられるいくつもの現場の説明を受けました。
視察に同行した現場近くに住む信澤眞弓さん(65)=板橋区大山町=は、「アスベストがもし飛散したらと思うと、とても怖い。このあたりは通行人が多く、通学路にもなっています。子どもたちの命にかかわる問題でもあるので、解体工事はきちんとした説明と手続きをとってやるべきです」と話します。

ずさん調査で

この問題が発覚した、そもそもの問題は、再開発組合が7月21日に行った住民説明会で、解体される31棟のうちアスベストが使用されているのは7棟と説明していたのに、後になって現地に張り出した書面には31棟全て(分析せずに含有と判断した「みなし含有」も含む)で使用していたと公表したこと。
このことに不審を持った永倉氏らが調査結果を閲覧し、調査漏れが多数あることを確認。調査報告書のとりまとめをめぐっても、「最終成果物ではない」としながら、「調査は終わっている」との見解を示すなど、あいまいな対応が不信感を強める要因ともなりました。
永倉氏らは坂本健板橋区長に提出した質問書(7月30日)で、「再開発組合による説明は不十分」で、調査結果も「ずさんなもの」だと指摘。▽アスベスト調査などの届け出書類の開示▽アスベスト撤去作業中の粉じん濃度の測定と結果の掲示▽第三者による完了検査実施を区として指導するーなどを求めました。
その後、「アスベストから大山を守る会」(補助26号線原告団や同商店街振興組合元理事長、東京土建板橋支部、永倉氏、区民らで構成)が、同趣旨の要望書を、約500人分の署名と共に坂本区長に提出。
区長は調査の届け出書類の開示は可能としたものの、アスベスト濃度の測定結果の開示については、建材が法律の求めるレベルより低く対象外との理由で、指導できないと回答(8月7日)。第三者による完了検査について再開発組合は、受け入れませんでした。

守る会は、こうした不誠実な回答や、8月25日からアスベスト除去を開始するとの告知が掲示されたままであることを踏まえ、8月26日に改めて緊急要請書を提出。再調査して住民説明会を行うまでは工事を停止することなどを求めました。
しかし再開発組合は調査は完了しているので、「再調査の必要はなく、それにもとづく説明会等の必要もない」と拒否。区も組合まかせの姿勢で、工事がいつ強行されるか緊迫した状況が続いています。
かなざき区議は「安全が確認できないまま、工事を強行することは許されません。情報公開を徹底して住民の不安を解消し、安全な工事をするよう区は再開発組合を指導すべきです」と話しています。
山添議員らは9日、環境、厚労、国交の各省から聞き取り。通常国会で改正された大気汚染防止法の趣旨から「事前調査をやらないと実効性は確保されないのではないか」とただし、「環境省は事実を確認する」と答えました。