子どもの〝孤立〟深刻 行政の積極的支援急げ 学習支援、居場所づくり交流 子どもの貧困対策in東京


 「都市部の子ども・若者支援に求められること」がテーマのディスカッションを中心とする「子どもの貧困対策in東京」が1日、国立オリンピック記念青少年センターで開催されました。公益財団法人あすのばが主催し、東京都との共催で行われたもの。都内の子ども食堂や学習支援、居場所づくりなどが交流されました。
 
 ディスカッションでは都内を中心に学習支援や、子どものなやみ相談サイト・支援サービス検索サイト、啓もう活動に取り組み、年間4500件のアクセスがある認定NPO法人3Keysの森山誉恵代表がインターネットを用いた相談活動について発言しました。
 
 また、豊島区を中心に困難を抱える子どもたちへの地域サポート体制づくりを行うNPO法人WAKUWAKUネットワークの栗林知絵子理事長、同区で高校生までの子どもの居場所づくりに取り組む認定NPO法人PIECES荒井佑介副代表らが参加。
 
 荒井氏は「大人への相談のハードルが高い。子どもが、自分の友人を連れてきて支援が広がる。つながっているけれど関係性が薄い。孤立の重なりが見えるのでなんとかしたい」と今後を見据えて語りました。
 
 当日は東京都をはじめ、日野市と江東区から支援事業や、全国キャラバンの報告、参加者の意見交換がありました。
 
 
インターネットの相談活動から見えるもの
 ディスカッションの中で、3Keysの森山代表は「子どもたちは相談していることを、親に知られはしないか」ということを気にしていると切り出しました。
 
 「自分が困っていることを知られたくない。同情されたくないと思っています。相談でも“すみません”“ごめんなさい”のお詫びの言葉で終わります。私たちが話を聞いてネグレクトや虐待と思われることでも、テレビに出てくるほどひどい内容ではないから、自分はそれに値しないと思っています」と子どもが“孤立”している様子を告発。
 
 相談・検索サイトの利用状況では女性は相談につながっているが、男性は情報を読むだけの割合が多いと分析し、検索では「死にたい」の他に妊娠や性のワードが多いとのこと。必要に応じた支援策を提案していることを紹介しました。
 
 また“虐待”“ネグレクト”“貧困”の定義が子どもだけでなく、大人にさえも浸透しておらず「他人から見れば、十分にその状況が支援対象なのに当事者意識がありません」と現状を憂慮しました。
 
 こうした問題の解決に向けて「当事者の行政の支援を受けなくてはいけないというコンプレックスを克服するために、民間の支援活動が重要」としながらも、「ずっと子ども食堂に通い続けたりすることだけでは、問題は解決しない」と述べました。「行政が民間の支援事業への助成や、支援事業を委託化するだけではいけない」とし、官民の支え手同士のつながりと行政の積極的な支援対応の必要性を強調。
 
 さらに生活保護が必要な困窮者の内で先進国では7割が利用する中、日本では2割しか利用していない現実を指摘しました。「税制や福祉の問題として考える必要性がある。財政の根本的な配分などについても、考えて力を入れていかないとだめだろうと思っています。見えないものが見えるように、アクセスしやすく提示しなくてはいけない」と結びました。