世田谷区三軒茶屋駅 住民念願のエレベーター 8年越しの運動実る 署名が力に「よかった」
 「さんちゃ」の愛称で知られ、「住みたい町」などのランキングに名を連ねる人気の住宅地もある世田谷区「三軒茶屋」。この街周辺の住民が利用する東急田園都市線・三軒茶屋駅南口に、住民の悲願だったエレベーターが来年6月(予定)に設置されることとなり、「本当に助かる」と喜びの声が上がっています。8年越しの住民運動と区議会での追及が実りました。(長沢宏幸)

 平日の午後3時頃。制服姿の小学生たちの集団が、三軒茶屋駅の改札に向かって元気に階段を下りていきます。幅2㍍ほどの階段の真ん中にラインが引かれ、すれ違う人たちは、幅いっぱいを使って行き交います。同駅の一日乗降客は約14万人と言われ、同線内では第三位の多さ。ところが、この階段には高齢者の姿はほとんどありません。
 
 地上と地下の駅改札とを結ぶ階段は48段、傾斜もかなりあります。エレベーター設置を求める署名活動を続けてきた「安心して利用できる三軒茶屋駅を考える会」の浜田博代表は、「危険だし他の利用者にも迷惑がかかるからと高齢者や体の不自由な人たちは、階段を使うのを避けます。仕方なく10~15分もかけてエレベーターのある北側に、国道246など2つの幹線道路を渡っていきます。車椅子はもちろん無理ですが、ベビーカーを抱えて下りるのも危険ですから」と話します。
 
 実際、東急電鉄の調査でも、北側のエレベーターを一番利用しているのは、南側の住民との結果が出ています。
 
 
町会・商店街の要望が始まり
 三軒茶屋駅南口へのエレベーター設置を巡っては、2004年12月に地元の町会と商店会が連名で区長に要望書を提出したのが最初です。しかし区はエレベーター設置の必要性は認めるものの、まわりのビルの建て替えとあわせて造るとして、動きは止まってしまいました。
 
 そこを動かしたのが、住民の運動でした。11年6月に「考える会」を住民が立ち上げ、署名活動を始めたのです。「反響はすごかったですね。お年寄りはもちろん、小学生や大きなスーツケースを持った外国人も署名してくれました。署名も驚くほど集まりました」と浜田さん。
 
 「エレベーターがないので、隣の駒沢大学駅を利用している」「親が三軒茶屋近くに住んでいるので、介護しながら駅を利用するのは大変」といった切実な声が考える会にたくさん寄せられました。
 
 杖を使って生活している高齢の女性からは、「自分の体が悪くなって不便を感じています。エレベーターができるといいですね。頑張ってください」との手紙が、自ら集めた署名とともに送られてきました。月2回の街頭署名行動には新日本婦人の会も協力。区に提出した署名は、合計で4200人分を超えました。
 
 地元で活動する共産党の桜井みのる区議は、エレベーター設置の実現を11年4月の区議選公約に掲げ、区として東急電鉄に働きかけるなど設置へ努力するよう繰り返し求めました。
 
 考える会は国土交通省へも要請。エレベーターの設置場所が歩道となる場合、国有地の活用を検討するとの回答を得ました(14年5月)。東急電鉄本社との交渉を重ねる中、同社は14年5月、考える会の申し入れに対する回答書で、国交省の「バリアフリー整備ガイドライン」(13年6月)が出されたこともあげて、バリアフリー法で1駅に1機あればバリアフリー化が完了しているとの立場を変更すると表明。離れた位置に複数の出入口があり、利用者も多い場合は、設置する必要があることを認め、「(南口の)エレベーター設置は最優先課題と考えている」と回答したのです。
 
 そして同社は、乗降客の調査を実施した上で、16年6月の考える会との話し合いで、18年度中の設置を確約しました(その後、埋設物の撤去などに手間取り19年6月に変更予定)。
 
 考える会の会員、浜田芳子さん(73)は「体調の悪い時など、階段の途中で休みたくても、幅が狭くて立ち止まって休むこともできません。エレベーターができるので安心して駅を利用できるようになります。近所の人たちも心待ちにしています。本当に良かった」と喜びます。
 
 当初、消極的だった区も桜井区議の質問に「今後とも東急電鉄に対し、早期の整備を要請すると共に、関係機関と連携して、エレベーター整備促進に取り組んでいく」(16年2月区議会)と、答弁するまでになっています。
 
 
会の運動、区政動かす 日本共産党の桜井みのる区議の話
 住民の会ができたのが、ものすごい力になりました。住民運動と結んで、議会で繰り返し取り上げる中でエレベーター設置は超党派の要求になり、ついに区政を動かしました。引き続き地域のみなさんの切実な声を取り上げ、その実現のために頑張ります。