年金・給料で暮らせない
東京都庁下(新宿区)で毎週、生活・医療相談と食料配布を行う「新宿ごはんプラス」に多くの利用者が列をつくります。11日には894人が利用。利用者に聞くと、石油不足などに由来する物価高騰と低所得・定収入によって、命と暮らしが危機に陥っている現状が浮き彫りになりました。(芦川章子、日隈広志、松沼環)

週一日出勤する非常勤雇用の女性(40代)=神奈川県川崎市=は、食料品費や光熱費の高騰が苦しく少しでも節約したいと「ごはんプラス」を利用しました。両親と実家で暮らしますが、「親の年金と私の手取りでは生活できない。一時しのぎでも現金給付がほしい。政治は低所得世帯の実態を見てほしい」と訴えました。
3年前から非正規で、日給9千円の日雇いのアルバイトで「一日一日をしのいでいる」と話す男性(62)=埼玉県所沢市=は、「安定した収入がほしい」と強調。現在の所持金は財布に2千円、銀行口座に3千円だと言い、「アパート賃料の滞納が3カ月になった。来月には退出せざるを得ない。どうしたらいいのか」と表情をくもらせます。「ごはんプラス」で生活相談をすると言いました。
「ごはんプラス」の利用者は今月1月以降、900人規模で推移し、5月23日に初めて1000人を越えました。「ごはんプラス」の生活相談担当で、自立生活サポートセンター。もやい事務局長の加藤歩さんは、昨年から「生活ギリギリの相談者が増えた」と指摘。民間の支援には限界があり、政治による打開策が急務だと強調します。都庁下での支援利用者は「氷山の一角。生きるのに精いっぱいで声を上げたくても上げられない困窮者も多い。政治の側が声を聞いてほしい」と訴えました。
高市政権に不信・怒り 〝ここに並ぶ人たち見て〟
11日の都庁下での食糧支援・生活支援の「ごはんプラス」の利用者からは、生活困窮の実態を見ようとしない高市早苗政権への不信や怒りが次々に語られました。
砂糖水飲むだけ
2年前に突然解雇されたという女性(63)=北区=は、今の高市政権に期待できないと話す一方、「就職活動をするにも交通費が必要。せめて一時金でも出してほしい」と言います。女性は、昨年5月に区役所に生活相談をした際に、担当課窓口で教えらえ、「ごはんプラス」を利用し始めました。再度区に相談し、今は年金を前倒しで受給しているといいますが、1日1食の生活が続きます。区への相談前は「解雇の前に両親を失い、夫とも死別し、砂糖水を飲むだけの生活。家賃や光熱費を滞納していた」と話します。昨年秋から帯状疱疹を悪化させるなどして体調も不安です。「生活はカツカツ。本当は働きたい」
5年間ほど毎週利用しているという生活保護利用者の男性(60)=中野区=は、「生活保護基準が安すぎる。『もらいすぎ』だという政治家もいるが、そんなことはない。ここに来ないとやっていけない」と怒りをあらわに。「高いガス代を節約するためにカセットボンベで簡単な調理をしている」と話します。50代で脳梗塞を発症して不動産業を辞職し、生活保護の利用を開始しました。歩行にはつえが必要ですが、障害年金は申請しても却下されたと話します。
池袋に500人
仕事や住まいを失うなどして困窮した人たちの支援を続けているNPO法人「TENOHASI(てのはし)」が11日、東池袋中央公園(豊島区)で行った食事の無償提供には、始まる1時間以上前から列ができました。
年金で暮らす女性(83)=台東区=は、「1食でも助かる。何もかも値上がりしている。値下げ品しか買えない」と話します。年金額は月約7万円です。今の政治について「お金持ちばかりで、庶民の暮らしを見ていない。ここに来て、この景色を見ろといいたい。ここに並んでいる人たちは皆、普通の人たちです」と強調しました。
年金と生活保護で暮らす男性(66)=墨田区=は、自宅から1時間かけて参加。介護保険制度で介護や支援の指標である要介護認定の区分が「要介護1」だといいます。歩行が不安定で家事などで部分的なサポートが必要な状況です。自宅にエアコンはなく、食糧支援で生活をつないでいます。物価高騰が生活危機に追い打ちをかけています。「スーパーは高いから弁当も買えません」
てのはしの食事提供の利用者は、コロナ禍が始まった2020年に平均200人を超えました。22年以降500人を超え、今年も毎年500人以上が並んでいます。
自民党政治、困窮者を直撃

医師・日本共産党政策委員会副責任者の谷川智行さんの話 とても暑い中で、水分補給が不十分な人が多く見られます。熱中症の危険が高まっています。路上生活やエアコン不所持といった人たちの体調不安は極めて深刻です。国や自治体による生活が苦しい人たちへの暑さ対策、熱中症予防の対策が急がれます。
医療相談に訪れる人は、保険証を持っていても医療費への支払いの不安で病院にかかっていないケースが少なくありません。最低賃金水準の収入では、物価高騰に追いつかず、医療費に使えないのです。生活保護基準、最低賃金、年金の底上げが、命を守るために必要です。
人々の暮らしと命をないがしろにしてきた自民党政治の悪影響が生活困窮者を直撃しています。大企業優遇、米国追随の大軍拡の予算は物価高騰対策、社会保障費の充実に使え。命を守る政治に変える時です。
(「しんぶん赤旗」2026年7月14日付より)
