平和国家の原点に立ち返れ 日曜討論 山添氏が批判

21日放送のNHK「日曜討論」で、武器輸出のルールである「防衛装備移転三原則」の運用指針の改定が議論になりました。各党が武器輸出の全面解禁へ前のめりになるなか、日本共産党の山添拓政策委員長は「死の商人国家への堕落だ」と批判し、「武器の供給源とならず、武器の売買で利益を得ないという平和国家の原点に立ち返るべきだ」と主張しました。
自民党と日本維新の会は15日、武器輸出の要件を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」に限定する「5類型」を撤廃する方向で協議を開始し、来年2月中にも政府への提言をまとめることを確認しています。
番組で自民の小野寺五典安全保障調査会長は、日本の護衛艦を提供してほしいという国に対し「日本として支援する必要があるが、今の5類型の中では対応できない」とし、見直しを強調しました。
維新の前原誠司安全保障調査会長は、1967年に佐藤栄作首相が「武器輸出三原則」を表明し、76年に三木武夫首相が政府統一見解として武器輸出を全面的禁止としたが、「穴を開けていって輸出できるようになった」と述べ、5類型撤廃によるさらなる武器輸出の促進を主張しました。
山添氏は、76年に政府が武器輸出の全面禁止を確立した理由は、「武器輸出によって国際紛争を助長しない平和国家としての理念に基づく表明だった」と強調。81年に国会で全会一致で決議し、国是としてきたと指摘しました。
安倍政権が2014年に原則的に武器輸出を認める「防衛装備移転三原則」を決定したが、それでも5類型で殺傷兵器の輸出を基本的に禁止したと指摘。しかし、高市政権が経済対策の柱の一つに軍事力の強化を掲げて武器輸出の全面解禁を狙っているとして、「国際紛争を助長してでも軍需産業のもうけを優先するということであり、防衛相が兵器のトップセールスまで言及している。死の商人国家への堕落と言うほかない」と批判しました。
国民民主党の山田吉彦安全保障調査会長は「防衛装備品の移転は抑止効果の移転。5類型の撤廃は必然的にせざるを得ない」と主張。参政党の松田学両院議員総会長は「5類型撤廃は日本の安全保障にプラスになる。賛成する」と述べました。
立憲民主党の岡田克也外交・安全保障総合調査会長は「紛争を助長するような殺傷能力のある武器輸出はやるべきではない。5類型は維持していくべきだ」と語りました。
山添氏は「紛争当事国に輸出しないといっても、輸出した国がその後、紛争当事国になることは予測できない。紛争当事国となった場合、輸出品を引き揚げるのは無理で、歯止めをかけること自体、困難を伴う」と指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2025年12月22日付より)

