10%の賃上げ実現を 非正規春闘の方針発表

 非正規労働者の賃上げや処遇改善に取り組む「非正規春闘」が2日、2025年の取り組み報告と2026年の要求方針を厚生労働省での記者会見で発表しました。4回目となる今回は、ナショナルセンターの潮流を超えて、非正規労働者を組織する各地の個人加盟ユニオンなど(現時点で33労組)が集結して「非正規春闘」を行います。26年春闘の方針は、「10%以上の賃上げ」と、新たに「総額人件費引き上げ」を要求に加えたと発表しました。

総額人件費の引き上げ求め
 「2 0 2 1 年から2025年にかけて、実質賃金は5年間で約5・7%減少した。とりわけ非正規労働者の賃金が減っている深刻な状況」と報告しました。最低賃金も今年10月に全国加重平均で66円の引き上げとなり、全国平均では、1121円。東京都は1226円まで、過去最高の引き上げ額となりました。しかし、「実質賃金の引き上げとはならず、2024年の最賃近傍(最低賃金+ 最賃の3割未満、例えば東京最賃1226円とすると約1593円までの時給)で働く労働者は14・3%から38・4%に急増している」と強調し、「賃金の平均的な引き上げ幅よりも最低賃金の上げ幅が大きくなり、全体の賃金を底上げすることになっていない」と指摘しました。
 首都圏青年ユニオン執行委員長の尾林哲矢氏が3回目の25年春闘の総括として、「144社・10自治体に要求し、過半数となる81社から有額回答を引き出したことは、非正規春闘による賃上げ交渉が可能であることを示した成果」「生協労連63組織が要求を提出し、47カ所で有額回答が得られた」ことを紹介しました。
 また、「賃金が見合わず物価高騰に追いついていない。保育、介護などのエッセンシャルワーカーの賃上げは進んでいない」と言及し、26年春闘では更に規模を広げて展開するとしています。

誰でも一人でも
参加できる春闘

 会見に参加した非正規で働く労働者が現状を報告しました。清掃会社で働く人は「3K(きつい・汚い・危険)だが、社会を支え必要な仕事。主婦のお小遣い稼ぎだろうと言われ、時給は最賃プラス10円。非正規労働者こそ労働組合が必要と実感した」と話しました。大手回転寿司チェーン、スシローの宮崎県の店舗で働く人は「勤続8年目で時給1060円。賃上げしても働く時間が減らされ手取りが変わらないか減る。スシローは増収増益・株主配当も増額しているが非正規労働者には最賃に基づいた時給額。都会の店舗との格差は大きい」と訴えました。
 26年春闘では、①10%以上のベースアップの賃上げ②総労働時間を削減せずに総額人件費の引き上げ。シフトカットや労働強化をさせない③ベテラン非正規職員の給与が新入職の初任給とほぼ同額など格差是正や正規と非正規の均等待遇(同一価値労働同一賃金)④全国一律最低賃金1500円を即時実現⑤エッセンシャルワーカーの低賃金構造を打開―と生活できる賃金の要求を掲げました。
 尾林氏は「非正規労働者自身が、企業に対して賃上げを求める取り組みをする必要性がますます高まっている」と強調し、「当実行委員会は、誰でも一人でも参加できる『開かれた春闘』を目指し、『春闘賃上げ労働相談ホットライン』を開催します。労働組合のない職場で働く非正規労働者が春闘賃上げ交渉に参加できるようにサポートしていきます」と呼びかけました。

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