便益費の虚構 浮き彫り

外環道事業費 山添氏に政府答弁書

 国土交通書関東地方整備局が行った東京外環道(関越道~東名高速間)の事業再評価について、日本共産党の山添拓参院議員が提出した質問主意書に対し政府は5日、答弁書を決定しました。事業費が膨らむ一方で、費用に対する便益の算定について陥没事故による費用増を見込まないなど問題点が明らかになりました。

 事業再評価は5年ごとに実施。外環の事業費は前回(2020年)から大幅に増え約2兆7625億円となる一方、事業によって得られる「便益」の費用に対する割合である「費用便益費(B/C)」は前回の1.01から1.2となりました。

 山添氏は質問主意書で、事業費には前回再評価の直後に調布市で起きた陥没事故の対応費用が含まれておらず増額分を過少に見積もり、B/Cの算定では便益が過大に評価されていると指摘。陥没事故により東名側からの掘進工事が停止中で、先行きが見通せない中、莫大な事業費をつぎ込むことは許されず、事業は中止すべきだと求めていました。

 答弁書は、陥没事故の対応費用は東日本高速道路会社と工事受注者の間で今後協議される予定で、暫定的な見通しを示すことも「困難」と回答しました。B/Cの算定で完成年度を東名側からの工事が5年以上停止しているにもかかわらず、前回と同じ30年度と設定していることについて、「完成年度について正確な見直しを行うことは困難」で「据え置いた」と答弁。陥没事故による費用増や工事完成の見通しがつかないままのB/Cの算定が虚構の数値であることが浮き彫りになりました。

 便益の積算で「その他道路」とされる道路による「便益」が大きな比重を占めていることから、その道路名や区間などを明らかにするよう求めたことに対しては、「膨大な作業を要することから…困難」とし明らかにしませんでした。

(「しんぶん赤旗」2025年12月13日付より)

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