衆院財金委 田村委員長に提出者

衆院財務金融委員会は21日、ガソリン税に上乗せされている暫定税率を年末に廃止する野党提出の法案と修正案を全会一致で可決しました。
法案は、ガソリンの暫定税率を12月31日までに廃止。それまでに補助金を段階的に増やしガソリン価格を引き下げます。軽油の暫定税率も同様の措置で来年4月1日に廃止します。
日本共産党の田村智子委員長は質疑で、廃止の財源について質問。法案共同提出者の辰巳孝太郎議員(日本共産党)は「具体的な提案として大企業優遇税制の見直しや『1億円の壁』といわれる金融所得課税の見直しといった税制改革を提起した」として、提案内容は与野党の一致した認識になったと理解していると答弁しました。
田村氏は、沖縄復帰特措法に基づきガソリン1リットル当たり7円の軽減措置がとられている沖縄県では「全国と同じ額の引き下げを実現すべきだ」と指摘。辰巳氏は「これまでの経過や地域の実情を踏まえ本則税率の軽減措置を講じるべきだ」と答弁しました。片山さつき財務相は、沖縄への軽減措置には年40億円程度必要だと答弁しました。
ガソリン暫定税率廃止を巡っては、野党が通常国会から要求し6月に法案を提出。7月末に与野党国対委員長が年内実施で合意し、野党が8月、法案を再提出していましたが、総裁選や内閣交代など自民党の事情で遅れていました。与野党6党は5日に合意文書に署名しました。
21日の質疑では、軽油引取税を財源とする運輸事業振興助成交付金について野党議員が「軽油の暫定税率廃止後も現行の交付金制度を維持してほしい」と質問。片山財務相は「維持する上での課題を含め適切な検討がなされ対応が取られると考える」と答えました。
消費税減税・インボイス廃止を 政府の経済対策追及
日本共産党の田村智子委員長は21日の衆院財務金融委員会で、政府が同日閣議決定した総合経済対策についてただすとともに、消費税減税に向けた与野党協議の開催とインボイス制度の廃止を求め、少なくとも「8割控除、2割特例」の軽減措置を延長するよう要求しました。また、軍事費の大幅増額は赤字国債で賄うのかと追及しました。
インボイスを巡っては、日本商工会議所が9月に公表した中小企業の実態調査で、課税業者の4割超が免税業者との取引価格の見直しや仕入れの打ち切りを検討していることが明らかになりました。田村氏は「インボイス登録すれば消費税納税でつぶされ、免税業者にとどまっても収入減か仕事の打ち切りとなる。過去に例のないような危機が迫っている」と警告し、軽減措置の延長を要求。片山さつき財務相は、日本商工会議所も措置延長を非常に強く求めていると承知しているとしながら、「自民党の税制調査会の議論を見守る」と述べるにとどまりました。
政府の総合経済対策は、軍事費の対国内総生産(GDP)比2%を今年度中に達成するとしています。田村氏は「政府の経済対策に軍事費が盛り込まれるのは前代未聞だ」と批判し、財源は赤字国債なのかと追及。片山氏は「毎年防衛費はかなり大きい」「お金に色はない」などと述べ否定しませんでした。
田村氏は、歴代の自民党政権は赤字国債を直接軍事費に充てることを否定してきたと指摘。戦後初の赤字国債を発行した1965年度当時の福田赳夫蔵相も「公債を軍事目的に活用することは絶対にしない」と答弁し、橋本龍太郎元首相も蔵相だった91年に、国債発行を原則禁止する財政法第4条が巨額の公債発行で戦争を遂行した戦前戦中の反省にもとづくものだと認めていたとして、「自民党政権でも超えてはならない則(のり)があった」と述べ、国債を充てれば歯止めなき軍事費拡大に陥ることになると厳しく批判しました。
(「しんぶん赤旗」2025年11月22日付より)

