吉良氏「制度の穴ふさげ」

今年度始まった多子世帯向けの大学等無償化制度(修学支援新制度)を巡り、日本学生支援機構が、対象世帯の範囲を拡大し、4月にさかのぼって支援対象とすることを全国の大学などに通知していたことが分かりました。日本共産党の吉良よし子参院議員の18日の聞き取りに、文部科学省が明らかにしました。
同制度は、直近の住民税情報(今年度前期は2023年12月31日時点)をもとに3人以上の子どもを扶養している世帯を認定し、大学などの入学金と授業料を免除するもの。ところが24年以降に死別や離婚、配偶者の暴力からの避難などで扶養状況に変更が生じると、子どもを3人以上扶養している事実は変わらないのに「扶養状況が確認できない」として支援から排除される事例が相次ぎ、問題となっています。(本紙7月28日付、8月24日付で報道)
機構は9月9日付の「『新たに生まれた子等』の取扱いにおける対象範囲の拡大に係る手続きについて」と題する通知で、24年以降に「死別・離婚・暴力等からの避難」などで扶養状況に変更が生じた世帯も、公的証明書類などで扶養の事実が確認できれば、新たに支援対象にするとしました。
吉良氏の聞き取りに文科省担当者は、子どもが増える場合は想定していたが、保護者の事情で扶養状況が変わる場合を想定していなかったと釈明。支援対象から除外されたことなどについての問い合わせが、同省だけで約400件も届いていると明かしました。
吉良氏は、支援を受けられるはずの人が支援から漏れることがないよう、あらゆる手段を使って対象を拡大したことを周知するよう要請しました。
一方、今回の対象範囲拡大で救済されるのは3月末までに扶養状況に変更が生じた世帯だけです。本紙は7月28日付で、5月に扶養者となっていた夫が急逝したことで支援を受けられなくなった事例を報じていますが、こうした世帯は対象から外れたままです。
吉良氏は「子どもが3人以上いることは変わらないのに支援対象から外れるのはあり得ない。支援を受けられなければ退学という事態も起こり得る。制度の穴をふさぐべきだ」と強く求めました。
(「しんぶん赤旗」2025年9月19日付より)