悔しさバネ、与党独占許さず 北多摩3区(調布市・狛江市)

 6月の都議選(北多摩3区=調布市・狛江市)で、定数3という厳しい選挙戦を勝ち抜き、みごと24年ぶりに返り咲く快挙を遂げた田中とも子さんに、選挙戦にかけた思いと抱負を聞きました。

24年ぶりに返り咲き田中とも子都議に聞く
 前回354票差で敗れ、3議席とも与党が占めるという悔しい思いをしました。出馬が決まった時には、今度こそという強い思いで臨みました。実際、選挙では与党の議席独占を許さないために、1議席は唯一の野党候補である私にと訴えました。当選することができて、ほっとしています。
 街頭では「野党一択ですね」「頑張ってください」と多くの反響がありました。その点では訴えやすかったですね。政策的には消費税減税など物価高対策はもちろんですが、「地域公共バスを守り充実させる」との公約が、住民の切実な要望とかみ合い、浸透したと実感しています。
 地元の調布や狛江では5年前のコロナ禍以後から路線バスの減便、廃止が問題になっていて、共産党都議団の「地域公共交通の危機打開・充実への提言」をもって、小田急バスや京王バスとも懇談、要請を重ねていました。バス会社からは「人手不足の解消には自分たちの努力だけでは限界がある。都の支援があればありがたい」「賃上げは人手不足解消にとって効果は大きい。おっしゃる通り」という声が寄せられました。シルバーパスの改善要望もありました。
 私は寄せられた声をもとに、ミニビラを作り、演説の中にも取り入れました。対話も広がりました。
 狛江の自民党陣営は「バスの自動運転化がもうすぐ実現する」などと、「反論」を試みたようですが、住民からは「病院に行ってもバス便がなくて帰ってこられない。何とかしてほしい」など、切実な声とともに期待が寄せられました。結果報告の街宣でも「応援しましたよ」「バス、頑張ってください」と声をかけてくれる人が何人もいました。

家賃補助に期待も
 選挙戦の中で改めて大事だなと思ったのが、家賃補助の問題です。
 選挙後に表敬訪問した狛江市長から地理的に世田谷区に近く家賃が高くなっているために、子育て世代の流出が始まっていることが紹介され、地域公共交通の問題と併せて、土地代の高騰についても問題意識が共有できました。
 実際、私が住んでいるUR賃貸住宅でも家賃が上がり、年金生活の高齢者から「都営住宅に申し込んでも当たらない。このままでは住み続けられない。家賃補助を実現してほしい」という要望が寄せられ、物価高騰が続くなかで切実な問題になっています。

経験を力にして
 選挙戦では「物価高騰から暮らしを守る」と訴えてきました。
 小池都政はプロジェクションマッピングやお台場の巨大噴水計画などのむだ遣いは見直さず、その一方で公共料金を引き上げる動きを見せています。その一つが、多摩地域の自治体に課す「流域下水道維持管理負担金」です。
 調布市はその動きを先取りするかのように、下水道料金の3割近い値上げ案を検討しています。物価高のもとで公共料金の値上げは許されません。老朽化対策など、下水のインフラ整備に必要な経費は都が財政措置するよう、地元の共産党市議団と連携して求めていきます。
 「日本人ファースト」を掲げる政党が初めて都議会で議席を得るなど、排外主義の流れが強まっています。都政には個人の尊厳を根本に据えてほしい。
 私は山形県の豪雪地帯(現酒田市)の農家で三姉妹の末娘として生まれ、「働いても働いても楽にならない」と話す母親の姿を見て、社会の矛盾を感じながら育ちました。上京して巫女として働きながら大学夜間部に通う中で、差別反対の先頭に立つ日本共産党を知り、入党しました。私にとって差別のない社会は政治家としての原点です。
 議員の経験もなかった一期目は、悩みながらやっていました。その後の市議4期、国会議員秘書の経験は大きな力になると思います。寄せられた期待に応えるために全力で頑張ります。

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