日米訓練 核想定 首相否定せず

参院予算委 山添議員が追及

質問する山添拓議員=5日、参院予算委(「しんぶん赤旗」提供)

 日本共産党の山添拓議員は5日の参院予算委員会で、日米両政府が核兵器使用を想定したシナリオを描き、合同軍事演習で訓練していたとの報道を巡り、事実関係をただしました。石破茂首相はシナリオの存在や訓練を否定せず、山添氏は「詳細を語らず否定しないのは大問題だ」と批判。「(首相には)核抑止ではなく核廃絶の先頭に立つことこそ求められる」と指摘しました。

 共同通信の報道によると、日米両政府は「日米拡大抑止協議」で「有事」を想定した机上演習を複数回実施し、米軍が核兵器を使用するシナリオを議論。昨年12月に策定した「拡大抑止に関するガイドライン」で、核使用の際の政府間調整の手順を明記したとされます。また、昨年2月の日米机上演習「キーン・エッジ」では、中国が核兵器使用を示唆する発言をしたとの設定で、自衛隊が米軍に「核の脅し」で対抗するよう再三求め、米側もこれに応じたとも報じています。

 山添氏は報道が事実かと追及。石破首相はキーン・エッジで自衛隊が「核の脅し」を求めたやりとりは「事実無根」と否定しました。

 山添氏は、核使用を想定した訓練の実施やシナリオの存在も「事実無根」なのかと質問。首相は「機微に触れる」として説明を避け、「日本とアメリカの間でいろいろな議論があるのは当然のことだ」と答弁しました。

 山添氏は「今後、米軍と自衛隊が核の運用を巡る協議や訓練を行うことはないと断言できないのか」と重ねて追及。首相は「抑止力たりうるためにいろいろな想定がなされるのは当然だ」として「ない」と断言しませんでした。

 山添氏は、被爆者の願いは核兵器廃絶であり、今年は「被爆80年、日本被団協のノーベル平和賞受賞後初の8月6日を迎える」と強調。「核戦争につながりかねない準備を密室協議で進めるなど断じて許されない。被爆者の声に応え、被爆の実相を世界に広げて核兵器禁止条約に参加し、核廃絶をリードすることこそ、日本の役割だ」と主張しました。

(「しんぶん赤旗」2025年8月6日付より)

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