東京都議会議員選挙は6/22投票です!

後退する都民スポーツ

実施率低下 身近な施設が足りない

東京体育館で行われた新日本スポーツ連盟の卓球大会=6月10日、東京都渋谷区(しんぶん赤旗提供)


 東京都では2021年五輪・パラリンピック以降、都民のスポーツ実施率が低下し、小中学校のプール廃止の動きが進んでいます。小池都政は「稼ぐ東京」で大型施設の整備やスポーツ産業支援を進める一方で、都民スポーツ振興が後退するなどスポーツ分野も都議選(22日投票)の争点になっています。

 東京体育館のメインアリーナいっぱいに並べられた卓球台。あちこちで球を打ち込む音が響き渡ります。平日でも約600人の選手が参加した新日本スポーツ連盟東京卓球協議会のリーグ戦です。

利用料が2倍超え
 都は2年前に同体育館の利用料金を値上げ。プロスポーツは最高でも1・5倍でしたが、アマチュアは平日で1・8倍、土日祝日は2・25倍に跳ね上がりました。東京体育館で年間約20日大会を開いている同協議会運営委員長の小林章子さんは「プロの試合でプレーできる選手は限られている。私たちは毎回200~800人が参加して、一番スポーツ実施率の向上に貢献しているのに納得いかない」と憤ります。

 「スポーツ実施率」は週1回以上スポーツをした人の割合です。実施率は五輪があった21年の68・9%から24年は63・3%へと減少。目標の70%から遠ざかっています。

 その原因は高い使用料だけではありません。1年間にスポーツをした人のうち競技を行った都民は約2割。散歩や体操といった軽い運動を、道路や自宅でした人が大多数です。気軽にスポーツできる場が少ないことが反映しています。


 「体育館は絶対数が少なく、各地で取り合いになっている。世田谷の卓球組織は年数回開く大会はすべて平日。優先利用枠がある大田でも土日に大会が開けるのは年1回だけ」。小林さんは実情を説明します。陸上の世界選手権とデフリンピックがある今年は、施設の確保がさらに厳しくなったといいます。

大型開発には熱心
 都は五輪のバレーボール会場として有明アリーナを新設しました。しかし、新スポ連東京都連盟事務局長の宮内泰明さんは「申し込んでもサブアリーナでさえ一度も使えていない。コンサートをやるとサブは物販会場になる。スポーツで有効活用できていない」と指摘します。

 それなのに都は3月に改定したスポーツ推進総合計画で施設は「バージョンアップした」と自賛。「都市発展の力」など大型開発やスポーツ産業支援は熱心でも、身近な施設を増やそうという姿勢はありません。

 日本共産党はこうした都民スポーツ支援に後ろ向きの都政を批判。高すぎる施設使用料の値下げや身近にスポーツできる場を増やすよう都議会で繰り返し求めてきました。

 小林さんは訴えます。「スポーツを通じて一人ひとりが輝いていくことが豊かな社会につながる。お金もうけばかりでなく、地道に努力している都民も支援してほしい」

学校プールの廃止 委託先閉鎖で困難も

プール授業の民間委託で使用されなくなった区立小学校のプール=東京都葛飾区(しんぶん赤旗提供)


 小中学校のプールを廃止して水泳の授業を民間のスポーツクラブなどに委託する動きが東京都を中心に全国で起こっています。

 日本共産党東京都議団は2023年、都内区市町村を対象に、小中学校のプール廃止に関する調査を行いました。学校プールの必要性や、廃止に伴い水泳授業を民間委託することの問題点を指摘しました。

 調査によると、一部実施を含め、学校プールの廃止を「行っている」と回答したのが11自治体で、そのうち本格実施しているのは6自治体。廃止を「検討している」と回答したのは20自治体でした。夏休みのプール開放を実施していないのは30自治体で、うち13自治体が管理の困難さを理由にあげていました。

 都議団は、これらの動きの背景に国がコスト削減や効率化を目的に進める「公共施設等総合管理計画」があると指摘しました。

 小学校プールを全廃する方針の葛飾区では、24年度は26の小中学校で民間委託での水泳授業を実施しています。


 民間委託は、民間10施設と区2施設で行われ、指導をするのは事実上いずれも外部委託された民間のインストラクターです。

 指導は、泳力をつけるための反復が中心の形式にならざるを得ず、学習指導要領が示す、児童が相互に学び合うような授業ができていません。

往復30分バス移動
 委託していた民間プールが閉鎖し、新たな委託先に区外の施設を選ばざるを得なかったこともあり、安定して利用できない問題も浮上しています。

 学校外は往復30分前後のバス移動が必要となり、児童も教師も時間に追われる実態があります。水泳授業前後の休み時間がつぶれたり、1時間目の水泳授業のために登校時間を早めたりする例もあるといいます。

小中共同方式なら
 「子どもたちに学校プールを!葛飾連絡会」共同代表の高橋信夫さんは「江戸川区は、中学校に温水プールを設置し、そこを徒歩や短時間のバスで移動できる小学校が共同で使う計画です。この方式なら授業の外部委託をしないで済む。移動の負担も軽減し、中学校に温水プールができれば地域への開放もできる」と話し、共産党の議員団とも情報交換し、連携して取り組んでいます。

 都議団はこの問題について都議会でも質問しました。「学校プールは地域スポーツの場としても重要」「授業が公営プールで行われるようになった自治体では、一般の方が入れる時間が制約され問題になっている」と実態を明かし、学校プールを廃止するのではなく、教員の負担を軽減しながら水泳授業の場、地域スポーツの場として充実させることを求めています。(この連載は青山俊明と山崎賢太が担当しました)

(「しんぶん赤旗」2025年6月15,16日付より)

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