蓮舫さんと「次の東京」を都知事選スタート 7月7日投票

 現職の小池百合子都知事に、蓮舫前参院議員が挑む都知事選は20日に告示、7月7日に投票を迎えます。蓮舫都知事の実現で、都政を変えようという各分野の声を紹介します。

苦しむ人に寄り添う都政に
作家・反貧困ネットワーク世話人 雨宮処凛さん

 小池都政の8年間を振り返って、強く感じるのは困窮者への冷たさです。
 コロナ禍のなかでの対応もそうです。私自身が関わったものだけでも5回にわたって、困窮者支援の団体などが、都に対策や対応改善を申し入れました。ホテルの借り上げ支援などごく一部を除いて、ほとんどの要望は無視されたのが実感です。
 都庁の下には現在、食料支援を求める人の列が毎週、できています。この列が200人ほどまで増えていた2020年11月、東京都は行列ができる場所に三角コーンを並べて、5週間にわたって活動を妨害しました。民間団体の支援に対して、感謝するどころか妨害までする。都政のあり方に今も、怒りを禁じえません。
 食料支援を求める列は増え続け、先日は過去最高の800人を超えました。こんなに多くの人が食料を求めているのに、小池知事からは、そこに手を差し伸べる姿勢を感じられません。
 蓮舫さんは、立候補表明した5日後に、この都庁下の食料支援の現場を訪ねてくれました。これまでも、私が困窮者支援について原稿を書いた時などに、SNSなどで拡散してくれたことがあり、困っている人や苦しんでいる人に寄り添い、光をあてる姿勢を感じます。
 この8年間、小池知事の圧倒的な強さを見せつけられて、都政は変わらないとあきらめる気持ちが正直、ありました。
 蓮舫さんの立候補で、私たちの声が届く都政に変えられるかも、と希望が見えました。私は今、ワクワクしています。

「本当の希望」取り戻そう
総がかり行動実行委員会共同代表 菱山南帆子さん

 蓮舫さんに期待することの一つは、女性の視点です。小池知事は、女性の解放や差別の問題に熱心に取り組んでいません。新宿歌舞伎町の「トー横」と呼ばれる場所に集まる若い女性たちをめぐっても、安心できる居場所提供や背景にある問題の解決ではなく、排除する方向で動いています。その一方で、その女性たちを買春しようとする男性たちの問題は、放置したままです。
 小池知事は「ダイバーシティー(多様性)」という言葉をよく使いますが、関東大震災の朝鮮人虐殺犠牲者への追悼文を拒否し続けていることや、朝鮮人学校への補助金支給を止め続けていることなど、偽物の「多様性」でしかありません。
 「多様性」「希望」「ガラスの天井を突き破る」―小池知事のもとで、私たちは偽物ばかりをつかまされてきました。
 蓮舫さんは、多様性を体現する、すばらしい候補です。物事を臆せずはっきり言ってくれる。「言い方がきつい」とか「批判ばかり」という指摘も、女性はニコニコして何でも受け入れていれば良いという価値観の裏返しだと感じます。
 コロナ感染者が急増しているなかで五輪を強行したことなど、人の命よりも「稼ぐ東京」という都政の転換が必要です。
 今回の都知事選で勝つことができたら、未来に巨大な影響を与えます。組織や団体の金や力に頼るのではなく、市民の力で勝ったということです。「本当の希望」を、私たちの手で取り戻しましょう。

計画リセットの大チャンス
神宮外苑再開発に反対し情報発信 角井典子さん

 神宮外苑の再開発事業は、神宮球場と秩父宮ラグビー場の建て替えに加え、「まちづくり」と称して本来建てられない高さの商業施設や超高層ビル建設を可能にしてしまう無謀な計画です。
 大量の樹木伐採、イチョウ並木の存続危機の他にも、緑の喪失によるヒートアイランド化の加速、景観破壊、膨大なCO2排出、風害、騒音、長期工事期間中の災害対策など深刻な住民被害、その他数えきれないほど問題だらけです。
 私がこの計画を知ったのは、2021年末の行政による住民説明会。一方的な説明だけでした。都市計画審議会でも十分な議論もないまま強行に可決し、あっという間に小池知事が都市計画決定をしました。
 小池知事は「民間事業だから」と責任逃れをしていますが、この再開発は都が基本計画を発案し、都知事が認可したからこそ実施されているのです。
 昨年、計画の見直しを願って届けられた坂本龍一さんの手紙に「事業者である明治神宮にお出しになったら」と返す、知事の心ない態度には心底驚きました。
 蓮舫さんには問題の現場に足を運ぶフットワークの良さ、国会議員として無駄な事業を見直したキャリアもあります。この再開発は一旦立ち止まるべきだと言い、環境アセスのやり直しについても明言しています。
 現在、樹木伐採は一時的に保留となっています。見直しが得意な蓮舫さんが都知事になれば、計画をリセットすることができます。都知事選は都政を変えるビッグチャンスです。

神宮外苑再開発を視察
蓮舫氏「立ち止まることはできる」

 都知事選に出馬を表明した蓮舫氏(参院議員)は8日、ユネスコ諮問機関のイコモス(国際記念物遺跡会議)日本国内委員会理事、石川幹子氏の案内で神宮外苑再開発で存続が危ぶまれるイチョウ並木や緑豊かな樹林を視察しました。昨年に続き2度目。蓮舫氏は出馬会見(5月27日)で「都民などの声をもう一度聞き、判断するべきだ」との考えを述べています。
 同再開発を巡っては多数の樹木を伐採し、超高層ビルや新球場などを建設する計画に多くの都民が反対、見直しを求めています。日本イコモスが三井不動産などの事業者提出の報告書に虚偽があるなどとして、都に環境影響評価審議会の再審を求める中、都は事業者に樹木保全の新たな検討を要請。伐採も中断しています。
 石川氏は「私たち専門家集団が、外苑の計画に対して警告のレッドカード(ヘリテージアラート)を出した。それを無視するのはあり得ない」などと訴えました。
 視察を終えた蓮舫氏は記者団に「一度決まった再開発でも、首長の判断があれば立ち止まることはできる」と述べ、都知事選で争点にしていく考えを明らかにしました。

オール東京で変えよう蓮舫氏と都民集会
 蓮舫氏は20日の都知事選告示(7月7日投票)を目前にした18日、中野区の「なかのZERO」大ホールで開かれた「オール東京大集会」に参加しました。市民や野党各党の代表とともに、都知事選勝利で都政を変えようと訴えました。

 都議会第2回定例会は12日、本会議を開き、品川区立児童相談所新設に伴う条例改正案など知事提出33議案、議員提出1議案を可決し、閉会しました。日本共産党、立憲民主党、「グリーンな東京」、生活者ネットの4会派が共同で提出した、都立職業能力開発センターの授業料などを無料化する条例改正案は自民、都民ファースト、公明党、維新などの反対多数で否決されました。立民を含めた4会派共同による条例提案は初めてでした。
 同センターは分校を含めると都内14カ所に設置。年約2000人が訓練を修了しているほか、働きながら通える能力向上訓練には延べ年1万9000人が受講しています。授業料は、かつては無料でしたが、2007年度に有料化し、現在は訓練期間1年未満の短期課程と障害者校は無料ですが、訓練期間1年以上の課程は年11万8800円です。
 条例改正案は、授業料と入校選考料(1700円)、能力向上訓練授業料(1訓練最高8100円)を無料化するものです。共産党の調べによると現在、無料なのは福井、長崎など5県。
 条例提出に先立つ6日、都庁内で共産党の白石たみお、藤田りょうこ、立民の宮瀬英治、中田喬士、グリーンの漢人明子の各都議が出席して記者会見を開催。白石都議が概要を説明し「今年度から都立高校・大学も無償化した中で、開発センターも無料化すべきだ」と強調しました。
 立川高校定時制課程の存続を求める請願は、共産、立民、ミライなどが賛成したものの、自民、都ファ、公明、維新などの反対で否決されました。