都知事選 対決構図は鮮明

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オール東京 蓮舫候補 VS 自民と連携 小池知事

手を上げて声援にこたえる蓮舫候補(右)=20日、東京・新宿駅東南口

 幅広い市民と野党など「オール東京」が支える蓮舫候補(56)か、裏金事件の自民党に「二人三脚」で頼り頼られる現職の小池百合子候補(71)か―。東京都知事選(7月7日投開票)の告示(20日)前後の序盤論戦で、両氏の対比が鮮明になっています。(東京都・川井亮)

蓮舫氏 自民政治から転換

訴える蓮舫候補=20日、東京都中野区

 蓮舫氏は5月27日の出馬表明で、自民党政治の延命に手を貸す小池都政の転換を求める国民の声は「はっきりしている」として、「その先頭に立つのが私の使命だ」と強調。「反自民党政治、非小池都政のオール東京に共鳴してくれる一人でも多くのみなさんの支援をいただきたい」と表明しました。

 小池氏は自民党から支援を受けることについて、14日の定例会見で「自民党は保守の方々に選ばれた議員がたくさんいる。そういった方々が応援していこうという動きをいただいていることは大変心強い」と発言。

 19日の日本記者クラブ共同会見では、自民党との関係を問われて「都政を現実に進めていく上で、いろいろな連携が必要」と自民党にさらにすり寄る姿勢を示しています。

 5月の都議補選(目黒区)でも自民党候補を公然と応援。一方、自民党都連は14日、総支部・議員宛てに「蓮舫による共産党主導の革新都政を絶対阻止しなければならない」として、「小池都知事への全面支援を行う」と通達しました。

 企業・団体献金の温床となってきた政治資金パーティーについて、蓮舫氏は20日、「政官業の癒着が疑われてはいけない。私は知事として政治資金パーティーを開かない」と約束しました。

 一方、小池氏は2022年に政治資金パーティーで家具大手ニトリなどから計3912万円を集めています。19日の共同会見では「(政治資金パーティーは)いい機会だ。いろいろな方々との情報交換を行っている」と述べ、政治資金パーティーを続けると述べました。

蓮舫氏 都民の負担減らす

 賃金が上がらない中、物価高騰で困窮する都民生活をどう守るのかが、鋭く問われています。

 蓮舫氏は20日の街頭演説で「東京はものすごい速度で格差、暮らしにくさが広がっている」と述べ、「現役世代の手取りを増やす」と表明。少子化の根本には不安定雇用の若者が増え「結婚・子育てしたくてもできない人が増えていることがある」と示し、公契約条例をつくり都発注契約で相手企業に労働者の賃上げを求めること、教育・保育・医療・介護の労働者の待遇を改善することを公約しました。区部に比べて財政力が弱い多摩地域の学校給食を無償化すると訴えました。

 小池氏は20日の出発式で「都民の命、暮らしを守る」と語りましたが、高齢者や非正規労働者、自営業者に重い負担となっている国民健康保険料を引き下げる財政支援もしない上、値上げを推進しています。

 多摩地域と区部との行政サービス格差について、21日の会見では「多摩には多摩の魅力があふれている」と問題をすり替えました。

小池氏 都庁舎映像48億円

 都庁舎などに映像を映し出すプロジェクションマッピング(PM)に2年間で48億円も投じる事業も大問題になっています。

 蓮舫氏は19日の共同会見で「住民税非課税世帯に月2万円の家賃補助をした場合、48億円でできる。新しく予算を使うなら家賃補助に使いたい」と明言。立候補表明直後の6月1日には、都庁前で行われる生活困窮者の食料支援活動を視察しました。

 小池氏は共同会見で「PMの技術は日本の技術。東京、江戸のセンスを入れ込む」と推進の姿勢を示しましたが、都庁前の食料支援には一度も足を運ばない冷淡さです。

蓮舫氏 外苑再開発見直す

 大量の樹木を伐採し超高層ビルを建設する神宮外苑再開発などをどうするのか。

 蓮舫氏は18日の会見で「神宮外苑の再開発を見直し、大切な緑を守る」と表明。環境影響評価や、都市計画公園を削って超高層ビル建設を可能にした「公園まちづくり制度」について、過程を検証すると語りました。

 小池氏は外苑再開発について、昨年12月議会では「法令に基づいて手続きを適切に進めてきた」と答弁しながら、19日の共同会見では「(知事選の)争点にはならない」と争点化を恐れています。

 蓮舫氏は20日の演説で小池氏を「フリーズ(動かなくなって)しているだけではないか」と厳しく指摘しました。

小池氏 都民の声聞かない

 都知事選では「都民の声に耳を傾ける」姿勢も重要な焦点です。

 蓮舫氏は18日の会見で、約80人の記者を前に政策を発表。記者の質問に30分以上にわたって一つ一つ答えました。

 小池氏は同日、会見をオンラインで行い、質問も5問のみ15分程度で「公務」を理由に打ち切りました。20日には選挙事務所で約30人を前にあいさつをしただけです。

 都議会では、野党の批判的質問に自ら答弁に立たない場面が目立ち、自身の公約や学歴詐称疑惑への質問にも都職員に答弁させる一幕もありました。

(「しんぶん赤旗」2024年6月22日付より)