子どもの意見尊重 なぜ明記せぬ

2024年4月2日

❚ 参院委で吉良氏 「共同親権」で提起

 日本共産党の吉良よし子議員は1日の参院決算委員会で、今の日本社会では、子どもたちが「権利を持つ主体」として尊重されていない実態を示し、離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」を導入する民法改定案についても「子どもの意見表明権」など、子どもの意見・意思を尊重するよう求めました。

 吉良氏は、改定案に「子どもの意見」の「尊重」「考慮」という文言がないと指摘。「法務省は、家事事件手続法の65条に『子どもの意見を配慮し、把握し、考慮する』と規定しているからだというが、本当に子どもの意見が考慮されてきたのか」と質問すると、馬渡直史最高裁家庭局長は、2022年の面会交流についての家事審判・調停件数は1万2737件あり、一方、面会交流にかかわり子どもの意見を聴くなどの調査をしたのは5066件しかなかったと答弁しました。

 吉良氏は、離婚前のDV等が認められず、面会交流を強いられている当事者から「面会交流後に子どものおねしょが1週間続いた」などの声があり、「面会交流が子どものストレスになっている場合がある」と指摘。日本乳幼児精神保健学会が「面会交流前後の情緒・行動・身体症状を軽視してはならない」との声明を出しているとし、「子どもたちの切実な意思表明を尊重できない法案では『子どもの最善の利益』は守れない」と追及しました。

 岸田文雄首相は「明文化は離婚の場面で子に親を選択するよう迫ることになりかねず、かえって子の利益に反するといった意見もある」などと反論。吉良氏は、「子どもには子どもの暮らしがある。子どもの意見を聞いてくれない法律はいらない」という当事者の子どもたちからの声を紹介し、慎重な議論を求めました。


日本共産党の吉良よし子議員は1日の参院決算委員会で、子どもの権利が侵害されている現状をめぐり、子どもへの性犯罪や学校における子どもの意見表明権をとりあげました。

岸田文雄首相らに質問する吉良よし子議員(右)=1日、参院決算委(しんぶん赤旗提供)

 性犯罪から子どもを守る具体的な対策が求められている中で吉良氏は、日本共産党都議団が2020年に実施した痴漢アンケートで、初めて痴漢に遭ったのは18歳以下との回答が7割に上ったことに言及し、「性犯罪は子どもに対する最悪の人権侵害だ」と強調。岸田文雄首相は「人権を著しく侵害する。断じて許されない」と答弁。吉良氏は、子どもは被害の行為の意味を理解できずに声を上げることもできず、数十年を経て告発する際には、すでに時効となり訴訟に至らない場合が多いのが現状だと指摘しました。

❚ 時効撤廃急げ

その上で、故ジャニー喜多川氏から性暴力を受けた当事者らが3月18日に、子ども時に受けた性犯罪の時効撤廃を求めるキャンペーンを開始したことに言及。「子どもへの性犯罪は、急ぎ時効をなくすべきだ」と迫りました。

 岸田首相は「昨年の刑法改正で性犯罪の公訴時効期間が延長されている」「まずは執行状況を見守る」と述べるにとどまりました。

 吉良氏は「子どもへの性犯罪は重大犯罪だと周知する上でも、子ども時の性犯罪の時効は一刻も早く撤廃すべきだ」との当事者の声を紹介し、時効をなくすよう求めました。

 吉良氏は、今年は日本政府が子どもの権利条約に批准して30年の年だとし、この間、こども基本法に子どもの権利が書き込まれ、こども大綱には「こども・若者を権利の主体として認識する」と明記した一方で、政府が国連子どもの権利委員会の勧告に対する報告で、学校において校則などについて「意見を表明する権利の対象事項ではない」としていることについて質問。盛山正仁文部科学相は「変わりない」と答弁。さらに、吉良氏は、こども家庭庁がこども基本法の説明資料で提案者の「わがまままで全部聞いてそれを受け止めろということではない」とする答弁を掲載していることについて、「子どもの意見はわがままなのか」と批判しました。

 吉良氏は、文部省通知(1994年5月20日)が子どもの意見表明権を「必ず反映されることまでをも求めているものではない」としていると指摘。「『どうせ言っても意味がない』と意見を言うことをあきらめさせることになる」と批判し、通知を撤回し、学校での「子どもの意見表明権」を認めるよう迫りました。盛山文科相は「通知は意見表明を阻害するものではないので撤回の必要はない」と強弁しました。

 吉良氏は、「『子どもの意見表明権』は、おとなにすべての子どもの意見を聞く義務があるということだが通知はその義務を免責する中身だ。子どもの権利条約に反する。撤回すべきだ」と強調しました。

❚ 救済申し立て

吉良氏は、東京都品川区の私立品川翔英高校で「校則がない」とアピールする一方、髪染め禁止などのルールを設定し、従わない生徒に退学など脅しを伴う厳しい指導を行っていることに対して、生徒が人権救済申し立てを行っていることを紹介。「脅しを伴う指導は人権侵害ではないか」と追及しました。岸田首相は「校則の有無にかかわらず、脅しをかけながら指導することはあってはならない」と答弁。盛山文科相も「私学においても人権尊重すべきだ。校則の見直しにあたり、子どもの意見を聞くことは望ましい」と答えました。

 吉良氏は、品川翔英は「声が聞かれない事例がいまなお学校現場に存在しているからこそ学校における子どもの意見表明権を正面から認めるべきだ」と主張しました。

(しんぶん赤旗2024年4月2日付より)