❚ 都が補助 23全区実施へ
東京都内で、小中学校の給食費無償化が大きなうねりとなっています。23区では、2024年度から全区で実現へ。都の予算案には、区市町村への補助事業が盛り込まれました。都議団はじめ日本共産党は7日、全額の補助とするよう都に要請。すべての自治体が無償化できるよう、取り組みを進めています。本紙の調査で新年度に実施、あるいは検討中の自治体が広がっていることが分かりました。(学校給食無償化調査チーム)
東京都は「給食費は本来、国の責任と財源で無償化するべきだが、国が対策をとるまでは支援する」として、区市町村が給食費の保護者負担を軽減する場合、費用の2分の1を補助する方針です。
特別支援学校など、都立学校での無償化も行います。
❚ 署名活動推進
23区のうち20区は、23年度中に区立小中学校での無償化を実施。特別支援学校や私立の学校に通う子ども、アレルギーで弁当持参の子どもにも給食費相当を支給するなど、対象を拡大した区も少なくありません。期限を定めていた区もありますが、20区とも新年度も継続する方針です。
未実施の渋谷と一部実施の新宿、練馬の3区も、新年度から完全無償化の予定です。
渋谷区では、市民団体「給食費無償化プロジェクト@渋谷」が、請願や署名活動を進めてきました。23年3月議会には、公立の小中学校と私立も含めて給食費無償化を求めて請願を提出しましたが、自民や公明などの、区長会派の反対により否決。他区が続々と無償化を打ち出す中で、改めて請願を提出しました。集めた署名は、延べ約4500人分も。現役世代の後押しもあった、と同団体代表の折笠裕治さんは言います。
「渋谷区での運動はもちろん、他で起きていた無償化を求める運動が自治体を追い詰めたのは確かです。私たちは議会の反応などのニュースを『赤旗』の折り込みに入れたり、各会派を回ったりと、すぐに実施するよう求め続けてきました。しかし、自民などは公立のみでは不公平になる、と言って先延ばしにしてきました」
結果的に請願は採択されましたが、「最初の請願でも『公立のみ』ではなかったのに、否決はなんだったのか」と折笠さんは憤ります。
❚ 国が制度化を
市では府中、狛江、武蔵村山が23年度中に完全無償化を実施(時限含む)。新たに立川、福生が実施、町田が第2子以降に実施する方針です。
立川市では、23年9月の市長選で、日本共産党など野党が立川市民連合を介して共通政策を確認し、応援した酒井大史さんが初当選。政策に小学校給食の無償化が掲げられていました。都の補助を前提に中学校でも実施する意向です。議会で予算案が可決されれば、さっそく政策が実現します。
そのほか、5町村が以前から無償化を継続し、神津島村と八丈町が23年度中に実施。大島町が新年度から実施する方針です。
市町村は予算案が出そろっておらず、新年度の予定は「検討中」との回答も多くありました。“前向きに”とする自治体がある一方、財政を理由にためらいも見られ、国や都の制度としての無償化実施を望む声があがっています。
❚ 都民の運動と共産党の論戦で 日本共産党都議団コメント
学校給食無償化は、長年にわたる都民の声と運動、日本共産党の議会論戦が切り開いた成果です。
党都議団は昨年の第4回定例会で、都立も区市町村立学校も給食費を無償化する条例案を4会派共同で提出し、6会派の賛成を得ることができました。条例は否決されましたが、これまでにない共同の広がりで都民の願いが実り、都の補助につながりました。
一方、2分の1補助にとどまることから、党の区市町村議員団や都委員会とともに7日、都教育委員会に対し全額補助を求める要請行動を行いました。参加した議員からは、第3子からでも難しい現状や新たな格差を生むことになるなどの厳しい実態が示されました。都市長会、町村会からも知事に負担軽減を求める緊急要望が出ています。完全無償化をめざし、これからも力を合わせます。
(しんぶん赤旗2024年2月17日付より)