自由を奪う長時間労働 資本主義問う質問に注目

 日本共産党の米倉春奈都議は、長時間労働や気候危機の問題を取り上げた昨年12月の都議会本会議の一般質問で、「目先の利益を優先した資本主義システムの矛盾の現れ」との視点から論じ、注目されました。日本を含め世界先進諸国の若者の間で、資本主義への懐疑と社会主義への新しい期待の波が広がるなかでの資本主義を正面から問う論戦です。米倉都議にどのような思いで質問に臨んだかを聞きました。

新年にきく
米倉春奈都議

 「利潤追求を第一の目的とする資本主義のシステムそのものが貧困と格差をどんどん拡大し、人類の生存すら危うくする気候変動をもたらしています。そのことに多くの人が気づきはじめています。とくに若い人たちは、働き方や気候危機など資本主義の限界にぶつかる中で模索が始まっています。資本主義を乗り越えた社会主義・共産主義の未来社会を目指す日本共産党こそ、解決への展望を発信していかないといけない」。米倉都議は、今回の質問を準備するにいたった動機について、こう明かしました。

人間らしく生きる
 共産党都議団は長時間労働の問題について、ジェンダー平等の観点から継続的に取り上げてきました。日本の女性が管理職など責任ある仕事に就けない背景に、男性の長時間労働が当たり前とする社会の中で、女性に家事や育児、介護などが押しつけられてきたことがあるとの問題意識からです。
 今回の米倉都議の一般質問では、「労働時間の短縮」を進めるための具体的な提案に踏み込みました。「私は人が自由に生きられる社会を理想としています。女性も男性も生活時間を取り戻し、ウエルビーイング(持続的な幸福感)を実現して人間らしく生きるには、労働基準法で定める1日の労働時間の上限8時間は長いと思っています」。
 国の統計などを調べると、通勤時間と合わせた仕事による実質的な拘束時間は、首都圏の労働者が一番長く、平均すると約12時間、一日の半分にも及んでいることが分かりました。
 「ここに人間らしい暮らしを奪われている根本的な原因がある」。改めて実感した米倉都議でしたが、都政の問題としてどう取り上げるかには苦心しました。考えついたのが、ジェンダー平等の先進国アイスランドが行った労働時間短縮の実証実験です。

実証実験を提案
 同国では政府と首都レイキャビック市議会が、労働組合などの要請を受け、週40時間の労働時間を35時間ほどに短縮する実証実験を実施。結果は健康やワークライフバランスが改善し、生産性が向上しました。この結果を踏まえて労働者の9割が同じ給与のまま労働時間を短縮、または短縮する予定です。
 米倉都議は都に対し、同様の実証実験と結果検証をするよう提案しました。「労働時間の短縮が政策課題になることについて、はじめはピンときてないようでした」(米倉都議)。しかし都からは「長時間労働を前提としてきた働き方を見直すことは、生活を充実させるための時間を創出し、男女が共に自分らしい生き方を選択できる社会の実現にもつながる」(横山英樹生活文化スポーツ局長)という、今後につながる重要な答弁をひき出すことができたのです。
 「働き方や気候変動、ジェンダー平等のテーマは、若い人たちに芽生えている資本主義批判と結びつき、インターネットで共有するテーマとして、とてもかみ合っています。日本共産党の第29回大会(1月15日~)決議案でも強調していますが、資本主義の限界をどう乗り越え、どういう未来社会を目指しているのか、経済界ファーストの都政転換の必要性とともに、日本共産党の未来社会論を大いに発信していきたい」
 米倉都議は都知事選の年を迎え、決意を新たにしています。