東京都を中心に住宅価格や家賃が高騰しています。終わりの見えない物価高騰とも相まって、都民からは東京に住み続けるのは大変だという切実な声で溢れています。6月13日告示(22日投票)の都議選、その後の参院選では、どうすれば住み続けられる東京にできるのかが問われます。日本共産党国会議員団と都議団は国と都が一体となった住宅政策「住宅費負担を軽減して、住み続けられる東京に」を4月24日に発表しました。

共産党が政策発表
「正社員の共働きでも都内の新築マンションは買えない」「保育所の送り迎えもあるから職住接近の中古マンションを買う予定だったが手が出なくなった」「子どもが大きくなり広いところへ移りたいが家賃が高すぎる」。日本共産党が取り組む「要求対話・アンケート」に寄せられている声です。
共産党が政策発表
「正社員の共働きでも都内の新築マンションは買えない」「保育所の送り迎えもあるから職住接近の中古マンションを買う予定だったが手が出なくなった」「子どもが大きくなり広いところへ移りたいが家賃が高すぎる」。日本共産党が取り組む「要求対話・アンケート」に寄せられている声です。
10年間で1・7倍
不動産経済研究所のまとめによると、23区の新築マンションの発売平均価格は1億1181万円(24年)と10年間で1・7倍(グラフ参照)、多摩地域でも5890万円と1・3倍に値上がりしています。中古マンションの平均価格も、東京23区で1・7倍、多摩地域でも1・5倍にも高騰しています。
東京での新築マンション(70㎡の場合)の年収倍率は約18倍、築10年マンションでも年収倍率約15倍という調査結果(東京カンテイ=品川区=試算)もあり、「年収の10倍」と言われた80年代末のバブル期をはるかに超えています。賃貸の家賃も23区のマンションでは、10年間で1・4倍、多摩地域でも1・3倍に上昇したとされています。
普通に働く勤労者が東京に家が持てない、東京に住めないという深刻な事態です。
要因に大型再開発
なぜこれほどまでに、高騰したのか―。
日本共産党国会議員団と都議団が4月24日に発表した住宅政策「住宅費負担を軽減して、住み続けられる東京に」によると、小池百合子都政が大手デベロッパーと一体になって大型都市再開発事業を推進したことが、価格高騰の第一の原因だと指摘しています。
小池都政は「国際金融都市・東京」などをかかげ、高級住宅を取り込んだ大型再開発、高層ビル建設を推進し、都の住宅基本計画「住宅マスタープラン」から、「超高層マンションなどの新規開発」の「規制や誘導のあり方を検討」するという記述も削除してしまいました。
一方、国は「東京特区」など、自公政権による野放図な規制緩和と大手デベロッパーへの減税や金融支援を進め、小池都政の大型都市再開発を後押ししました。小池都政は「規制緩和」策などを最大限利用して容積率の大幅緩和を進めました。
晴海フラッグ(オリンピック選手村跡地に三井不動産などが開発した高級マンション群)や築地市場移転跡地などの再開発では、都有地まで提供し、都市計画公園として規制していた神宮外苑も再開発の対象にしました。その結果が、住宅価格の高騰と「億ション」の乱立を招いたというのです。
野放しの住宅投機
「政策」では、東京の住宅価格高騰のもう一つの大きな要因に、国内外の投機目的の住宅取得、転売を野放しにして、住宅を投機対象にしたことを挙げます。
「晴海フラッグ」は、「転売目的での投資家や不動産会社のマネーゲームの場と化し、物件引渡し前にもかかわらず、購入時よりも3000万円以上も高い9500万円で転売されたケースもある」とNHK(クローズアップ現代)が報じました。実際、国内外の不動産ファンドの運用資産額は、アベノミクス以降に急拡大し、10兆円を超える投機資金が住宅市場に流れ込みました。

住まいは人権に
日本共産党の住宅政策発表の記者会見には、山添拓党政策委員長・参院議員、吉良よし子参院議員、和泉なおみ、白石たみお両都議が出席しました。
山添氏は住宅価格高騰の根底に財界・大企業優先の政治のゆがみがあると強調しました。
大手デベロッパー5社(三井不動産、住友不動産、三菱地所、東急不動産、野村不動産)は、24年3月期決算で過去最高益を更新するなど大型都市再開発で大儲けする一方で、自民党に大手デベロッパーやハウスメーカーなどが加盟する不動産協会が毎年4000万円、三井不動産は1社で毎年2000万円の企業・団体献金を行っています。
山添氏はこうした問題を指摘した上で、「住宅事情が改善したならまだしも、まったく逆に国と東京都の政策によって、価格の高騰、家賃値上げが起きたのです。大失政だ」と批判。「住宅価格の高騰を招いた財界・大企業の利益優先の政治のゆがみをただす改革をすすめ、住まいは人権の立場で安心して住み続けられる住宅を提供する政治に変えていくために力を尽くす」と表明しました。
吉良氏は「家賃減税と補助制度の創設を国会で求めたが国交大臣は拒否した」と国会論戦を紹介し、政府の姿勢を批判しました。
和泉都議は「都議会で、公的住宅の供給を増やすことを求め続けてきた。さらに緊急に家賃補助も求めている。財源も示しており、今すぐに実行できる」と訴えました。
山添氏は「持ち家については年約8000億円の住宅ローン減税があるが、借家の支援はほとんどない」と指摘。同規模の家賃減税制度の新設を同党の住宅政策で初めて提案しました。家賃が所得の2割を超える人が対象で、超過分に15%まで減税、平均的な年収の世帯で年12万円の減税となります。高所得者や高額家賃は対象外です。
◇
家賃支援の主な内容は以下の通り。
▽都内民間借家の4割にあたる100万世帯へ月1万円の都の家賃補助▽非課税世帯や学生への国による家賃補助、公的住宅供給に▽都住宅供給公社の住宅を10年で5万戸供給▽都市再生機構(UR)を公的住宅として拡充、抜本対策に▽国家戦略特区などの指定解除と手続きの厳守▽投機目的の転売の規制など。