国大法改悪案の経過不透明 参院委採決強行、吉良氏が抗議

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 大学の自治を破壊する国立大学法人法改悪案は12日の参院文教科学委員会で採決が強行され、自民、公明、維新、国民民主の賛成多数で可決しました。日本共産党、立民、れいわは反対しました。立民、共産などが徹底審議を求めるなか、自民、公明、維新の多数で質疑を打ち切り採決を強行。共産党の吉良よし子議員は討論で、「審議が不十分であるにもかかわらず採決を強行することに強く抗議する」と訴えました。

 同案は、政令で指定する大規模な国立大学に、事実上の最高意思決定機関となる「運営方針会議」(合議体)の設置を義務付けるもの。吉良氏は質疑で、大学ファンドの支援を受ける「国際卓越研究大学」が対象とされていた合議体の設置が、それ以外の大学にも広げられた理由や経過がいまだ明らかではないとして、「経過が不透明なまま審議し成立させること自体が、民主主義を破壊する大問題だ」と主張しました。

 吉良氏は、大学側の意思を確認することなく政府が指定した大学に合議体の設置を強制することは、「大学の自治に反する」と主張。教職員、学生の意見を尊重しない文部科学省の姿勢を批判しました。

 また、学内の教育研究評議会等で審議した中期目標・計画が、合議体の決定で覆されることはないのかと質問。文科省の池田貴城高等教育局長は「教育研究評議会での議論と異なる結論になることはありうる」と明言し、大学の自治への介入を否定しませんでした。

 吉良氏は、大学への予算が削られるなか、数々の大学でサッカー場やトイレ改修までクラウドファンディングに頼らざるを得なくなっていると強調。「お金が集められなければ、淘汰(とうた)し切り捨てる。これが文科省の大学政策なのか」と批判しました。

(しんぶん赤旗2023年12月13日付より)