復職の保障と理解 安心できる環境へ

9月22日付「しんぶん赤旗」くらし・家庭欄に掲載された「コロナ後遺症 職場の配慮を 復職の保障と理解 安心できる環境へ」を紹介します。この記事では吉良よし子参院議員事務所の取り組みや藤田りょうこ都議のコメント、医師で衆院東京比例・4区予定候補でもある谷川智行さんの談話などが紹介されています。


 新型コロナウイルス感染の後遺症で、仕事に影響が生じ、職を失った人もいます。職場では、どんな対応が求められるでしょうか。(重村幸)

「しんぶん赤旗」紙面から

 産業医科大学が公表した後遺症調査の中間報告によると、新型コロナに感染した労働者の16%に2カ月以上続く症状がありました。特に多いのは、呼吸器症状、疲れやすさや体のだるさです。

 しかし、職場での理解は十分とは言えません。日本共産党の吉良よし子参院議員事務所が今年2月、後遺症についてのアンケートを実施。深刻な声がつづられています。(以下、要約)

 「職場では理解が得られず、時短勤務や勤務調整を認めてもらうことも難しく、無理して働かざるを得ず、症状が悪化、長引いた」(20代)

 「長時間の労働、外回りは困難のため医師に内勤業務なら可能と書いてもらって会社に出したが、辞めるか元の仕事の2択しかなかった」(30代)

 「職場がコロナ後遺症に対して無知。コロナ感染の労災申請に非協力的。復職のための環境が整備されていない」(40代)

国や自治体は情報積極的に

 東京都は6月、後遺症についての企業向けリーフレットを発行しました(写真)。担当課は「職場復帰に向けた配慮の普及啓発が必要と考えた」と言います。

 リーフレットは、後遺症はすべての人に起きる可能性があると指摘。無理をすると悪化する場合があることに留意をうながし、症状例や支援の流れ、ポイントなどを掲載しています。

 都は専門家による解説動画も作成。従業員が配慮を求めやすいよう相談先を明確にし、復職の保障や周囲の理解など安心できる環境整備を推奨。本人の不利益とならないよう、一方的な配慮ではなく本人からの申し出が原則とし、詳細な配慮事例も提示しています。

 日本共産党の藤田りょうこ都議(厚生委員会所属)は「党都議団としても、後遺症に関する情報を積極的に知らせるよう求めてきました。社会での理解は十分とは言えず、職場や学校を含め、周知を強める必要があります。後遺症を防ぐためにも、感染拡大そのものを抑えることが必要であり、国や自治体は科学的で正確な情報発信を積極的に行うべきです」と話します。

使用者の義務として

東京法律事務所弁護士 笹山尚人さん

 「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする」(労働契約法5条)とされます。

 この安全配慮義務は、その状況に応じ、さまざまな内容を持ちます。コロナ罹患(りかん)後の労働者に、その後遺症の程度に応じ、健康回復のために配慮する義務も含まれます。労働者の健康状態を把握し、業務の軽減など適切な措置を講じることが必要となるのです。

 アンケートの声にあるような使用者(職場)の対応は、この配慮義務に違反する場合も考えられるでしょう。特に労災申請に協力しないのは論外です。また、医師の診断書を確認したにもかかわらず、健康を回復するまでの期間、内勤に配置するといった配慮をしなかった場合は、義務違反といえると考えます。

感染対策の強化ぜひ

医師 衆院東京比例・4区候補 谷川智行さん

谷川智行さん

 新型コロナの5類化で実態が見えにくいですが、医療現場では過去最大の感染状況を実感しています。東京では8月下旬、60歳以上の患者数が第8波のピークの1・5倍にもなりました。

 若い人や基礎疾患のない人にとっても、後遺症のリスクは深刻です。必要な場面でのマスク着用、手洗い、換気などの感染対策の強化をお願いします。特に、屋内屋外とわず近距離で会話をする時や、人が密集している時は注意が必要です。

 日本共産党国会議員団は8月、後遺症の相談・治療の診療報酬の改善、研究予算の抜本的増額、患者の生活支援を行うよう、政府に申し入れました。対策の強化を早期に実現するため、私も力を尽くします。

(「しんぶん赤旗」2023年9月22日付より)


記事中で紹介されている東京都が6月に発行した、新型コロナの後遺症についての企業向けリーフレット(写真)はこちらの東京都福祉保健局のホームページからPDFでダウンロードすることができます。

リンク:https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/06/22/documents/34_01.pdf