東京大空襲 語り継ぐ

「しんぶん赤旗」の地方・総合のページに、「都平和祈念館」建設をすすめる会」のとりくみが紹介されました」


❚「都平和祈念館」建設すすめる会がパンフ

発行されたパンフレット(しんぶん赤旗提供)

「東京都平和祈念館(仮称)」建設をすすめる会は、1945年3月10日に一晩で10万人以上が犠牲になった東京大空襲の体験談をまとめたパンフレット『語り継ぐ東京空襲』の第1集を発行しました。(東京都・山岸学)

70年代以降になって東京に「平和資料館の建設を」の世論が広がり、90年に都は東京大空襲のあった3月10日を「東京都平和の日」に条例化し、その行事をする中で「東京都平和祈念館」の建設構想の具体的検討が開始されました。ところが都議会で付帯決議がつき、建設が凍結されました。建設に向け多くの遺品が寄せられ、330人が体験を証言ビデオに語りましたが、都民に公開されないままでした。

❚ 平和の基盤に

すすめる会は、都や都議会に繰り返し凍結解除や資料の活用を訴えてきました。都は昨年から証言ビデオのデジタル化と公開に向けた取り組みを始めました。今年3月には日本共産党都議団を含む都議会5会派が祈念館建設推進を求める共同声明を出しました。

すすめる会は、「東京都平和の日条例」が「戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓う」としていることを重視し、「これは東京空襲犠牲者・被災者の思いであり、今こそ広範な都民が共有するものにしていくべきだ」として空襲体験者の体験記を改めて収集し、パンフとして発行しました。

同会の柴田桂馬世話人は、「戦後78年を迎え、空襲体験者が亡くなっている。空襲体験を語り継ぐことを途絶えさせてはいけない。生き残っている人たちの記憶を収集することが重要だ」と強調。「大軍拡や戦争準備が進む中で『戦争を繰り返してはいけない』という確固たる基盤を作るために戦争の真実を伝えるパンフをつくった」と語りました。

大野一夫世話人は、今年3月10日にチラシを配っていたところ、見知らぬ女性から体験を聞くなど最近になって初めて空襲体験を語る人が増えたと指摘。「きっかけはウクライナ戦争だ。ウクライナの映像を見て、残り少ない人生で自分が体験したことを次に伝えたいと思う人が増えてきている」と話しました。

すすめる会はパンフレットを、小池百合子知事、都議会各会派、都の平和の日記念行事企画検討委員会、都内自治体首長、各地の平和団体、個人などに配布しました。戦争展の主催者や平和合唱団などから「配りたいので追加がほしい」との声が寄せられています。

❚ 読者の声募集

パンフレット第1集は、江東区、新宿区、墨田区の男性の話を掲載しました。墨田区の男性は貴重な遺体収容作業の体験を語りました。第2集は8月中に発行の予定です。

すすめる会は年2回の発行を予定し、すでに収集しているものも含め、さらに体験談を募集しています。大野氏は「パンフのタイトルは『語り継ぐ東京空襲』なので、体験を聞いた人の受け止めも積極的に掲載したい」と語りました。

柴田氏は、「平和を準備するためのテキストとして役立てたい。東京大空襲を調べようとしても東京には公的なセンターが無い。パンフレットを都民の間に広げ、戦争の現実がわかり、内外に平和を発信する拠点となる平和祈念館の建設につなげたい」と話しました。

問い合わせ:03(3230)3211 東京総合教育センター