ベネッセ英語テスト 中止を 都立高入試導入 保護者ら17人提訴

個人情報登録を強制 公平性欠く

提訴後、記者会見する原告で「入試改革を考えるかい」の(右から)吉田弘幸さん、大内さんら=21日、東京地裁(しんぶん赤旗提供)

都立高校入試に導入される中学校英語スピーキングテストは公平性・透明性がなく違法だとして21日、東京都や都教育委員会などに対し、受験生の保護者を含む都民17人が約5億円の支出差し止めを求めて、東京地裁に提訴しました。

同テストは、ベネッセコーポレーションのサイトに、都内中学生の顔写真を含む個人情報を登録して申し込むもの。同社が会場運営や採点等を行います。

都教委は、同社と8月に事業変更の覚書を交わし、9月2日に都教委が事業主体、同社を委託先とする実施協定を結びました。しかし訴状によると、協定締結後も実質上は都教委と同社が共同実施していると指摘。入試の合否判定に用いるために同社への個人情報提供に同意しない選択肢はなく、同意は無効だとして、同社の情報取得行為を違法としています。

また、同テストを受ける公立中学生は、都立高校の受験生の一部です。同テストの不受験者には、相関が不明なまま、英語の筆記テストが同点の人の平均点が付与されます。こうした点から「合理的で妥当な入学者選抜とはいえない」として、最小経費最大効果が原則の地方自治法に反するとしています。

会見した、原告で「入試改革を考える会」の大内裕和さん(武蔵大学教授)は、「不受験者の推定点で合否の逆転が起こることも、都教委は否定していない。公平性に欠けたテストであり、入試に使ってはならない」と話しました。

(しんぶん赤旗2022年11月22日付より)