都営線に女性専用車両を 都議会公営企業委 全会派一致で趣旨採択

 都議会の公営企業委員会が14日開かれ、「都営地下鉄の全路線・全編成への女性専用車両の導入に関する陳情」の審査が行われました。日本共産党は斉藤まりこ都議が質疑に立ち、採択を表明。他会派は趣旨採択の立場を示し、審議の結果、全会派一致で趣旨採択されました。

若者の声が動かす

 陳情は今年6月、一般社団法人日本若者協議会(JYC)が提出。JYCは若者の意見を政治に反映させることを目指し、与野党を問わず各政党に働きかける若者団体。昨年夏から「本気の痴漢対策」を求めてオンライン署名に取り組み、約3万人分の署名を集めて内閣府や東京都などに要望を重ねてきました。
 斉藤都議は、共産党都議団が昨年行った「東京都内の電車・駅での痴漢・盗撮の被害と対策についての調査」を踏まえて質疑。女性専用車両について「使いたいけど状況による」と回答した人を含めると、85%以上の人が利用を希望していることを示し、交通局に女性専用車両が果たす役割への認識を質問。市川雅明電車部長は、「痴漢被害を防止する一つの有効な手段」と答えました。

終日の導入を検討すべき
 現在、都営地下鉄線で女性専用車両が導入されているのは新宿線のみ。共産党都議団はこの間、女性専用車両の導入拡大を繰り返し求めてきました。そのなかで交通局は今年3月、大江戸線への導入の検討を進めることを答弁しましたが、導入時期などの詳細については明らかにしていません。
 斉藤都議は大江戸線への導入検討は「貴重な前進」と評価しながらも、痴漢行為は朝のラッシュ時間帯に限らず発生しており、より安心して女性に乗車してもらうため、JR西日本では大阪を中心とするほとんどの路線で終日の導入に取り組んでいることを紹介。「東京都交通局としてもこの視点に立ち、終日の導入を含めた拡大が求められる」と迫りました。
 女性専用車両は性別による差別であるという誤解や誹謗中傷が生まれやすい状況があるとして、斉藤都議は「導入の理由、役割などについて、交通局自らが発信していくことが大切」と強調。最後に「(痴漢根絶の)大きな世論が起き、国も動き始めた。都の公共交通機関としての取り組みを前進させる、今がその転換期ではないか」と述べました。
 委員会を傍聴していた若者協議会の芹ヶ野瑠奈さん(20)は、「全会派が一致して趣旨採択になるのはまれ。とても感動している。痴漢問題の根本的な解決にはならないが、女性専用車両の導入により、安全な交通移動の権利が守られることは重要です」と喜びを語りました。