横田基地はいま(4)有毒物質が使われていた

有毒物質が使われていた

PCB(ポリ塩化ビフェニール)、フロンガス、アスベスト…、これらの物質の共通点は何でしょうか。正解は「昔は便利なものとして産業に使われていたけれど、その後、人体や環境への悪影響があることが分かり、現在では使用禁止されている物質」です。

では「有機フッ素化合物(PFAS)」は知っていますか。水をはじく撥水(はっすい)剤の一種で、そのままカッパやカサに吹き付けたり、食品包装紙の加工原料とされたり、化学的な安定性が高いため、フライパンのテフロン加工や、泡消火剤などにも利用されてきました。ところが、最近になってこの物質に発がん性や低体重児が生まれやすくなるなど、人体への有害性が明らかになり、2010年代に世界的に規制されるようになりました。

 

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日本では取り組みが遅れ、やっと2020年になって法律の指定を受けました。国内主要フッ素化学メーカーは、世界情勢を受けて2015年に自主的に使用廃止しています。

しかし、横田基地では有害な有機フッ素化合物を含む泡消火剤が、2016年まで消火訓練で日常的に使用され、さらに、泡消火剤のタンクから約3000リットルも漏れ出し、東京の多摩地域の地下水が汚染されているかもしれないという問題が起きています。

実際に都の調査では、立川の環境調査用の井戸から1340ng(ナノグラム)/リットルという、国の暫定目標値である50ng/リットルをはるかに超える値が出ています。いくつかの浄水場では2019年までこの目標値を超えていたことも分かっています。

 

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東京都府中市と国分寺市の住民を対象に、民間の団体が実施した血液検査で、有機フッ素化合物の血中濃度の平均値が、全国平均の1・5倍から2倍を超えていたことが分かっています。しかし、国に被害の実態調査や原因調査をする姿勢はありません。

市民を中心に、今年中に「多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会」を立ち上げようとしています。新型コロナの収束に応じて、多摩地域の広範な市民を対象に血液検査を実施しようとしています。大学の研究室や病院の医師たちから協力の賛同が得られています。あとは市民の協力者をどれだけ広げられるかにかかっています。

市毛雅大(いちげ・まさひろ 日本共産党福生市議)