「暮らしと平和に希望」 山添氏 当落線上で大接戦 共産党「取り組みの飛躍を」

 平和と暮らしがかかった参院選は、10日の投票日へ各党が総力を傾けて選挙戦を繰り広げています。東京選挙区は改選数6に34人が立候補し、有力候補だけでも10人がひしめく全国屈指の激戦区。日本共産党は、比例選挙も東京選挙区も大激戦、大接戦のなかで、「取り組みの飛躍なしには、勝機を逃しかねない」と全力をあげています。

 日本共産党の志位和夫委員長は6月22日、党首第一声を新宿駅西口で、山添拓選挙区候補、田村智子比例候補とともに訴えました。
 志位委員長は、「日本共産党は、戦争させない、暮らしに希望を、と訴えて躍進を目指します。比例代表選挙で日本共産党と書いていただく人を、全国で650万人、首都東京で100万人以上、広げに広げて、田村智子さんを含む5人のベストチーム全員の勝利を」と強調。山添候補について、「鋭い論戦力と、困っている人の気持ちをとことん代弁して頑張る、熱いハートを持っている素晴らしい政治家です。山添さんの議席は東京の宝というだけでなく、日本の宝、絶対に落とす訳にはいきません」と呼びかけました。

多くの議員送って
 日本共産党の勝利を、という期待が大きく広がっています。
 選挙戦最初の日曜の6月26日、山添候補と日本共産党の街頭宣伝には、多くの人が応援に駆け付けました。
 新宿駅東口の歩行者天国では、看護師や医療従事者の後援会、全都からのサポーターらとともに練り歩き宣伝。都内で働く看護師は、コロナ禍で必要な人に医療を届けられない状況のなかで、「受け入れられなかった患者さんのことを思って、眠れない夜が何度もあった。そこに希望を示してくれたのが日本共産党。命と人権を守る政治をつくるため、山添さんを何としても再び国会に」と語りました。
 「くらしと平和とジェンダーと」と題した、新宿駅東南口での宣伝に、山添、田村両候補とともに登壇した岡野八代同志社大教授は、「共産党の議員がきちんと国会で監視してくれないと、いまの政治は、どんな暴走をするか分からない。私は無茶苦茶、危機感をもっています。参院選で多くの共産党の議員を、国会に送ってください。心からそう思っています」と述べました。
 山添候補は東京選挙区の情勢について、「文字通りの当落線上で争っています。なんとしても勝ち抜かせてください」と訴えています。
 期待の広がりの一方で、選挙戦の力関係の出発点となる、昨年の総選挙での比例得票数は、日本共産党は5位。複数候補を擁立する自民党、立憲民主党が共産党の2~3倍あり、山添候補の位置は当落線上です。その一方で、「山添さんは大丈夫だから、他の候補に」という根拠のない口コミも流されています。

力関係変えてこそ
 日本共産党都委員会は、「政党間の力関係を変える、東京での比例100万票の実現なしには、勝機を逃しかねない」と、取り組みの飛躍を呼びかけています。
 山添候補は、各地の演説で、「日本共産党は党をつくって百年、反戦平和を訴えることが罪に問われる時代から、反戦平和を貫いてきた。大軍拡をやめよ、と訴える、この党を伸ばして、平和への選択をしてください。『憲法が希望』の政治を実現させてください」と訴えています。

改憲の具体化かかる構図
 新聞各紙の選挙戦の序盤情勢調査は、東京選挙区について、各社で予測が異なり、どの候補も僅差で争っている状況がうかがえます。このうち朝日新聞は、自民が2議席、公明が1議席などの獲得を有力とした一方で、山添氏は、維新の会の新人候補と当落線上で争っていると報じました。
 大乱戦、大混戦の東京選挙区に、各党とも総力をあげています。
 自民党は25日、岸田文雄首相が、現職、新人の2候補を応援。安倍晋三、菅義偉両元首相をはじめ、幹部が次々と駆け付けています。
 新人候補の第一声(有楽町駅前)で安倍元首相は、「金融緩和をしたからこそ、440万人もの雇用をつくれた」などと、自身の経済政策アベノミクスを自賛して、経済政策見直しを訴える野党を攻撃。同党は、破綻したアベノミクスにしがみついたまま、物価高に手をこまねいています。
 その一方、同党の茂木敏充幹事長は6月20日、報道各社のインタビューに「参院選後、できるだけ早いタイミングで憲法改正原案の発議を目指したい」と明言。維新の会も、自民党に改憲スケジュールを示すよう迫っており、参院選後の改憲の具体化を許すのかという、憲法の未来がかかった、かつてない構図での参院選です。

消費税で言い訳
 公明党の現職は24日、新橋駅前での演説で物価高への対応を冒頭に訴え。そのなかで、「野党は消費税減税と言っているが、すぐには実現できない。また、年金や介護保険など、消費税を財源にしている(社会保障の)政策はどうするのか」など、事実をゆがめて攻撃。公明党内では、消費税減税をしない言い訳の内部文書までつくっています。
 維新の会は、大阪府知事の吉村洋文氏が選挙戦最初の日曜日となった26日に都内各地で、候補者と街頭演説しました。銀座の歩行者天国では、吉村氏が話し出すと人だかりが膨らむなか、「自民党は支持率が高く、傲慢になっている。自民党に泡を吹かせる野党が必要だ」などと対決をアピールしました。
 その一方、公示日6月22日の第一声(新宿区)では、同党幹事長が「維新の会は原発の再稼働を2月から言ってきた。自民党の決断しない先送りの政治を変えるため、対抗する野党を」と、自民党政治を軍拡や改憲、原発再稼働などへと引っ張る維新の会の役割を強調しています。
 都民ファーストの新人の宣伝には、小池百合子都知事が、街頭演説や銀座の歩行者天国の練り歩きなどに繰り返し参加。自身の元秘書の国政進出のために必死です。

YAMA部 こんばんは宣伝に反響 選挙ボランティアも広がる
 都内各地で、日本共産党と、山添拓東京選挙区候補を応援する、勝手連やサポーター、選挙ボランティアの活動が広がっています。
 山添さんを応援する市民勝手連YAMA部は、選挙戦開始直後の6月22日と24日に、マイクを使うことができなくなる夜8時以降にアピールする「こんばんは宣伝」に取り組み、24日には新宿駅東南口の宣伝に約70人が参加しました。
 「7月10日 憲法が希望」という巨大横断幕や、政策を書いた緑色のプラスターを掲示。Tシャツやタオルなど、緑色のものを身に着けた参加者が目立ちました。
 山添候補も参加し、道行く人が、山添氏に政策について尋ねたり、一緒の写真を求める姿がありました。
 山添候補の選挙事務所では、この日、チラシの証紙貼りをするボランティアをインターネットなどで募集しました。予想を超えて60人ほどが集まり、2日間の予定が1日で終了。すべてのチラシに貼り終えた後に事務所を訪れた人も多くいたといいます。
 その一人、日本橋に勤める30歳代の女性は、代わりにYAMA部の宣伝に駆け付けました。「職場が選挙事務所に近いので、手伝いたいと行ってみたら終わっていたので、こちらに来てみました。共産党さんは、ジェンダー平等などを掲げているので、頑張ってほしい。衆院選では何もしなかったら、残念な結果だったので、初めて選挙活動に足を踏み出してみました」と話しました。
 日本共産党や後援会が都内各地で呼びかけているボランティアにも、この間、多くの若い世代が登録、参加しています。

一分

 参院選が始まりました。東京選挙区は、改選数6に有力候補だけでも10人がひしめき、どの陣営も総力をあげた戦いを展開しています▼自民党の新人候補の第一声には、安倍晋三元首相が駆けつけました。「NATOの各国は、GDP比2%以上の防衛費」などと、軍事予算の増額を主張した安倍氏。「平和安全法制をつくって、日米が互いに守り合うための仕組みをつくった」と、自身が進めた戦争法制定を自賛するとともに、「これを、いまだに違憲と言っている。古色蒼然とした政党だ」と、野党側を攻撃しました▼改憲をめぐっては、参院選を前に岸田文雄首相も、「できるだけ時間をかけずに国民に選択していただく機会をつくる」と述べています▼参院選で改憲勢力が、衆院に続き参院でも三分の二を占めれば、国政選挙が3年にわたってない、改憲勢力にとっての「黄金の三年間」が生まれると指摘されています。憲法の未来が文字通りにかかった、かつてない構図の参院選です▼参院選では、維新の会が、改憲と軍事予算倍増をあおるなど、軍拡の大合唱が起きています。「党をつくって百年、反戦平和を貫いてきた日本共産党の勝利で、平和の選択を」―大激戦の選挙戦は、中盤から終盤へと差しかかっています。