内臓揺らす振動、何時間も 横田基地 オスプレイ 防衛省要請も訓練激化

2022年4月13日

 横田基地のフェンス横に住む瑞穂町の住民が、住宅の目の前で繰り返される米軍特殊作戦機CV22オスプレイの訓練に苦しんでいます。事態を重く見た防衛省が2月に、「抜本的な措置」を要請しても、米軍は意に介さないまま。訓練は減ることなく、さらにひどくなっていると住民は憤ります。

 住民と家族に話を聞くと、とりわけ苦痛を感じるのが、家から100㍍も離れていないところで、爆音と振動を出し続けるホバリング(空中静止)訓練だといいます。
 日中は仕事で外出しているという妻は、「週に何度も、夕方から夜10時近くまで数時間も飛行やホバリングの訓練を繰り返します。騒音と振動で、夫は睡眠障害や、レストレスレッグス症候群(足に不快なムズムズ感が続く症状)が出ています。私も、家に帰る時、今日もオスプレイがいるだろうかと、恐怖を覚える」と話します。
 この住宅の目の前で繰り返される訓練について、東京民報は2018年11月18日付でも報道しています。日本共産党の国会議員、地方議員らが繰り返し、防衛省などに中止を求めてきたほか、瑞穂町も見直しを要請していますが、米軍は訓練を繰り返しています。

自宅の前はやめて
 日本共産党の大坪国広瑞穂町議とともに住民からの相談にのってきた、武蔵村山市の内野直樹市議が、偶然、住宅を訪れた時に撮影した動画には、オスプレイが横に360度回転しながら、低空でのホバリングを続ける独特な飛行訓練の様子が映っています(写真)。内野市議は「会話ができないほどの爆音に加えて振動がすごい。内臓まで振動しているイメージで、アスファルトの掘削作業を全身で受け止めているようだった」と語ります。
 住民は、「振動の影響で、家にはあちこちにヒビが入ったうえに、最近はドアの鍵も開きにくくなってきた。付けている記録を見ると、今年は特に訓練の回数が多く、ひどい。米軍が訓練をしなくてはいけないのは分かるが、何とか、自宅の目の前でのホバリングはやめて欲しい」と憤ります。

1カ月半回答せず
 住民からのたびたびの苦情を受けて、防衛省の北関東防衛局は2月16日、企画部長名で横田基地の第374空輸航空団副司令官あてに、要請書を出しました。
 要請書は、「家族の会話ができず、ヘッドホンなしにテレビを見ることができない」「振動が原因で家屋の壁にひびが入った」「体調を崩して通院したことがある」などの具体的な被害を列挙し、「家族がくつろぐ時間帯に、騒音が数時間にわたって継続するという内容であり、他の航空機の離発着に伴い一時的に生じる騒音より深刻」と指摘しています。
 そのうえで、「ホバリングを基地中央のヘリパッドで行い、北側ヘリパッドでは行わないといった、抜本的な措置を講じるよう、特別な配慮」を要請しました。
 この間の防衛省から米軍への要請としては、異例ともいえる踏み込んだ内容ですが、米軍からは4月1日現在、まだ返信がないといいます。

都議会でも告発
 この問題は、3月22日の都議会予算特別委員会での、大山とも子都議(日本共産党)の締めくくり総括質疑でも取り上げられました。
 大山都議は、防衛省が要請しても、米軍は数を減らすことすらなく、北側ヘリパッドでのホバリング訓練を続けていると指摘。小池百合子知事が現場を訪ね、住民の声を聞くべきだと求めました。
 さらに大山都議は、小笠原の父島でも2月9日、オスプレイが長時間、低空飛行を行い、出港する旅客船、おがさわら丸のすぐ近くを飛ぶ姿が目撃されたことを告発しました。この低空飛行に対しては、小笠原村長も「突然、かつ住民の不安をあおるような飛行は到底、容認できない」と抗議文を出しています。
 大山都議は、「横田基地のホバリングも、小笠原の低空飛行も、共通するのは都が具体的な行動を起こしていないということ。都民への主体的な責任を果たし、危険なオスプレイの撤去を、国と米軍に求めるべきだ」と提起しました。