1000本の樹木 伐採見直して 神宮外苑再開発 署名5万1千人分を提出

 1000本を超える樹木を伐採し、高層ビルなどを建設する神宮外苑地区の再開発計画の見直しを小池百合子知事に求める要望署名5万1536人分が2日、都に提出されました。ネット署名を呼びかけた米国人ロッシェル・カップさん(57)=中央区=は、「樹木伐採を市民が強く懸念している証拠。小池知事は計画を承認せずに計画を見直してほしい」と訴えました。
 カップさんは2月15日にオンライン署名サイト「Change・org(チェンジ・ドット・オーグ)」で呼びかけ、約2週間で5万人を超える人たちから署名が寄せられました。その後も増え続け、6日現在5万4000人を超えています。署名サイトには「どうしてこの素晴らしい緑を壊さなければならないのか理解できない。心までも壊されていくようでつらい」「木は一朝一夕で育ちません!ぜひ伐採を中止して」など賛同の声が寄せられています。

計画の再検証を
 再開発計画は樹齢100年を含む1000本を超える樹木が伐採・移植される一方、高層ビルや大型商業施設、ホテルが備わる新球場などが建設される予定。神宮外苑のシンボルとも言われるイチョウ並木の一部も対象です。
 署名提出後、記者会見したカップさんは「報道で伐採計画を知った一人で、寝耳に水だった。都が行ってこなかった市民に対する丁寧な説明、ヒアリングとディスカッションを行うべきです」とのべ、都に情報開示や市民との議論の場を設置し、計画に意見を反映させるなどの民主的プロセスの実施を求めました。
 「ちょっとした対策では良い解決策にはならない」とものべ、「再開発計画が市民にとっていいことなのか、適切なのかを再検証したうえで、樹木を伐採する必要があるのかを検討すべき」と強調。「巨大な新国立競技場がすぐ隣にあるのに、本当に施設が必要なのか」と指摘し、パンデミック後の社会において複数のホテルや商業施設の建設が適切なのかを含めて「再度検証する必要がある」とのべました。

公益性に疑問
 カップさんはまた、現在の野球場とラグビー場の場所を入れ替えた上で、建て替える計画に関連して、「都は(2施設が)老朽化していると決めつけているが、本当にそうなのか。改修だけで不十分なのか、位置をスイッチして建設する意味がどこにあるのか」と多くの疑問を提示。市民に利用されている軟式野球場やテニス場、ゴルフ練習場を廃止する一方、高価なプライベートクラブのテニスコートが割り当てられることにも、公益的必要性の観点から疑問を投げかけました。

小池知事に反論
 米倉春奈都議の代表質問(2月22日)への答弁で小池知事が「SDGs(持続可能な開発目標)にのっとった街づくり」とのべたことについてカップさんは、「1000本もの樹木を伐採して、高層ビルなど商業施設などをたくさんつくることが、どうしてSDGsにのっとっているのか理解できない」と批判。「既存の樹木を極力保存、移植すると言ったが、そのためのプランが示されないままでは納得できない」などと反論。「SDGsの新しい時代にかなう計画に見直してほしい」と訴えました。