感染急増 急患の行き場がない 谷川智行医師に聞く

新型コロナウイルスのオミクロン株の急激な感染拡大で東京都の医療が窮迫しています。現場の実情について、診療にあたる谷川智行医師(日本共産党東京都新型コロナウイルス対策本部長)に聞きました。(小梶花恵)

すごいスピードで感染拡大しています。ジワーッと増えるというのではなく、数日で発熱外来が一気に満杯になりました。デルタ株までは週単位で増えていた発熱外来数が、今回は数日で倍加するペースです。医師1人で対応しきれず、2人体制にしています。

軽症の患者が以前より多いと思います。ただ、感染者が増えれば重症者も増えます。現時点では若い患者が多いので、高齢者に広がれば変わってくる危険もあります。

自宅療養の患者も急激に増えています。自院で診断した自宅療養の陽性患者については、医師らが休日を返上して健康観察しています。医療従事者の感染や濃厚接触者も増え、入院や救急車の受け入れ停止も増えています。

一般病床を減らしてコロナ病床に充てている病院があり、そこに診療制限が加わったことでコロナ以外の急患の行き場がなくなっています。遠い地域の救急隊から「30件断られた」と依頼が来ます。「入院先は探すからとりあえず診てほしい」という依頼もあります。医療崩壊が一気に進んでいます。

現場は何とか患者を受け入れようとあらゆる努力をしています。それでも、断らざるをえないこともあります。患者は何時間も救急車の中で苦しみながら待っています。「診るだけでも」というのはそういう切迫した状況で起こっています。

(「しんぶん赤旗」2022年1月21日付より)