衆院選 19日公示・31日投票 共産党 躍進で 政権交代を始めよう

 「政権交代を始めよう」。日本共産党の志位和夫委員長がこう呼びかけると、一段と大きな拍手がわきました。総選挙(19日公示・31日投票)を目前に日本共産党東京都委員会が2日、東京比例ブロックと小選挙区の予定候補が勢揃いして新宿駅西口で開いたオンライン街頭演説です。日本共産党と立憲民主党が自公政権を倒し、新しい政治をつくるための政権協力で合意したもとで初めて臨む総選挙とあって、今までにない熱気に包まれました。
 志位委員長は、市民連合と野党4党で合意した共通政策と立憲民主党との政権合意について紹介。「日本共産党の99年の歴史で、政権協力の合意を得て総選挙をたたかうのは初めてです。自公政治を終わりにして、新しい政権―野党連合政権をつくるために、みんなんで力を合わせようではありませんか。そのためにも比例ではぶれずに、誠実に、共闘発展のために力を尽くしている日本共産党の大躍進を」と呼びかけました。
 笠井亮、宮本徹(20区重複)=以上現=、池内さおり(12区重複)=前=、谷川智行(4区重複)、坂井和歌子、細野真理=以上新=の比例6人と小選挙区9人の予定候補が紹介され、比例候補がマイクを握りました。
 宮本氏は「政権交代で賃金底上げ、格差是正実現を」と強調。笠井氏は「格差、環境、ジェンダー平等、平和の課題で世界は大きく動いた。今度は日本の番だ」と力を込めました。
 共産党都委員会は比例110万票以上、3議席奪還、さらに初の4議席獲得を目指しています。

協力合意を歓迎

国民救うために
同志社大学教授 浜矩子さん

 日本共産党と立憲民主党が結んだ「政権協力合意」について、同志社大学教授で、東京における市民と野党の共闘の発展を目指す「呼びかけ人会議」代表呼びかけ人の浜矩子さんに聞きました。

 合意を大歓迎し、力強く共闘して協力体制を充実したものにして頂きたいと思っています。
 4野党の共通政策は、自公政権と真っ向から勝負する内容になっています。経済運営でいえば、焦点を弱者救済と経済の均衡回復に切り替えるというメッセージが鮮明に伝わり、非常に的確です。
 日本の政治はもはや、政権交代しないと、何事も動かない状況です。
 私は自民党バブルと呼んでいますが、オリンピックの時に言われた非常にもろい「バブル方式」と違い、自民党は鉄壁のバブルに包み込まれていて、同じようなことを同じように考える人たちが、同じような言葉を使い続けている。バブルの外側のまっとうな常識とはかけ離れています。そのよどんだ空気から何が出てきても、同じです。
 日本国民をこの政治状況から救うため、ぜひとも政権交代を実現してほしいと思っています。

子ども支える教育、守って
 都が指導期間を制限

 発達障害のある子どもたちが、障害に応じた指導を受けられる特別支援教室(ことば)をめぐって、東京都が、指導期間の制限や、教員配置基準の切り下げなどを進めようとしています。子どもたちを支える教育条件の引き下げは許されないと批判が広がっています。

教員配置の切り下げも

 「子どもたちはもちろん、保護者にとっても、私たち特別支援教室の教員にとっても、通常学級の担任にとっても、デメリットだらけ。なぜ、都がこんなことを進めようとしているのか、わからない」―特別支援教室の教員は、口をそろえて都の方針に疑問を呈します。
 都教育委員会は今年3月、特別支援教室のガイドラインを改定し、子どもたちが指導を受けられる期間を原則1年、最長でも2年までとして、期間終了時に継続を判断する、期間の制限を打ち出しました。さらに、来年度に向けて、区市町村教育委員会に、これまで児童・生徒10人に1人だった教員の配置基準を、12人に1人に切り下げる方針を説明しています。
 23区西部の区の特別支援教室で教える男性教員は、4つの学校をまわって子どもたちを指導しているといいます。
 特別支援教室は、自治体によって形態が異なるものの、多くの場合はこの区と同じく、複数の学校を教員が巡回する仕組みです。
 この教員は、「年度はじめは10人の子どもに1人の教員で始まるものの、毎年、年度途中に特別支援教室に新しく通い始める子どもが増えていく。移動にも時間がかかるし、教材の準備など、連日、仕事を持ち帰る状態」と話します。
 多摩地域東部の自治体の特別支援教室の男性教員も、「年度初めから12人を担当する仕組みに変わると、年度末には17、18人くらいまでは増えるのでは」と予想します。

非現実的な期限の制限

 教員は、「特別支援教育は『オーダーメイド』」と一様に話します。
 多摩地域南部の市の女性教員は、「子どもそれぞれに個性があり、困っていることも、それを解決する方法も違う。私たちも学びながら、一人ひとりに応じた教材や手だてを用意しないといけない。担当する子どもが増えれば、一人にかけられる時間や労力が確実に減ってしまう」と話します。
 指導の期間を制限する方針についても、この女性教員は、「一つの課題ができるようになったら、それで解決ではない。勝ち負けにこだわりが強くて、じゃんけんなどで負けるたびに泣きわめいてしまう子が怒らなくなったら、次は、友だちのことをほめたり、上手に遊べるようになろうという課題に進む。日々の成長で目指す力が変わっていくのに、期限で区切るのは現実的ではない」と指摘。区部の男性教員も、「担当している地域の子どもの半数以上は、3年以上、特別支援教室に通っている」と話します。

保護者らが緊急の署名

 特別支援教室は、保護者にとっても、専門的な知識を持った教員が、長く子どもを見守ってくれることで、さまざまな不安や悩みを相談しやすい場になっています。通常学級の担任からも、「支援教室に通っていれば、課題を抱えた子どもを複数の教員の目から見られるのに、2年間以上は通えなくなると、自分一人で担当するしかなくなってしまう」との不安が寄せられるといいます。
 都は、教員の配置基準の引き下げによって、全都で340人ほどの教員の過員(定数以上の人員)が生じるとしており、区市町村によっては通常学級担任などへの異動の打診が始まっています。学校関係者や教職員組合への正式の説明などもないままで、現場に戸惑いが広がっています。
 日本共産党都議団は9月30日、都教育長あてに教員の配置基準の引き下げや、指導期間の制限を止めるよう申し入れました。とや英津子都議は「子どもたちを支える大切な教育条件の後退は許されない」と求めました。
 都の担当者は、国が法律で13人の子どもに1人の教員という配置基準を定めたことをあげ「10人に1人という都の暫定の基準を、他の支援策をもうけながら見直すもの」と説明。指導期間については、必要な場合は2年間を超えても指導できると説明しました。
 東京都教職員組合も9月24日、計画の撤回を都教育長あてに申し入れたほか、保護者などでつくる「障害のある子どもたちの教育・生活をゆたかにする東京の会」が、緊急の請願署名に取り組んでいます。

ことば

 特別支援教室 発達障害のある子どもたちが、通常の学級に在籍しながら、週に数時間、専門の教員から障害に応じた指導を受けます。同教室に通う児童・生徒は、2016年度の都内1万1545人から20年度は2万6323人と約2・3倍に増えています。

一分

 自民党の岸田文雄氏が4日、第100代の首相に就任しました▼「特技は人の話を聞くこと」と語る岸田氏ですが、その耳はどうも、自民党の長老組の方にばかり向いているようです。党幹事長に据えたのは、安倍晋三、麻生太郎両氏とともに3Aと称される、甘利明氏。甘利氏は、政治とカネの疑惑で大臣を辞めながら、説明責任をまったく果たそうとしてきませんでした。新内閣の顔ぶれも、掲げている政策も、菅政権に続いて「安倍政治の継承」が色濃く出ています▼岸田氏は、広島の出身です。核兵器禁止条約について、就任会見で「核兵器のない世界に向けて重要」とは述べたものの、「核兵器を持つ国を動かしてこそ現実は変わる」と日本が批准する考えは示しませんでした▼カナダ在住の広島の被爆者、サーロー節子さんは岸田新首相にあてた手紙で「広島選出の総理大臣がその決断をせずに、いったい他に誰がそれをするのでしょうか」と求めています▼岸田氏は衆院を解散し31日に衆院選を行う方針です。コロナの新規感染者数が減少し、ご祝儀相場で政権支持率が高いうちに衆院選を乗り切る思惑が見え透く選挙日程。自民党内のたらい回しでなく、政権交代で政治の流れをはっきり変える、総選挙のたたかいです。