共産党「中止が最良のコロナ対策」 東京に4度目の宣言 五輪は開催強行

東京都に4度目となる緊急事態宣言(12日~8月22日)が始まりました。神奈川、千葉、埼玉3県は、まん延防止重点措置を延長します。これを受けて東京五輪の大会組織委員会などは、首都圏の1都3県と北海道、福島の全会場で無観客開催を決めました。日本共産党の志位和夫委員長は8日、国会内で記者会見し、「緊急事態宣言のもとで、開催などとんでもない」「中止の決断こそ、最良のコロナ対策になる」と主張しました。
東京都は宣言を受けて酒類やカラオケを提供する飲食店に休業を要請します。酒類を提供しない飲食店には、午後8時までの営業時間短縮の要請を継続します。
日本共産党都議団の和泉なおみ幹事長は12日、緊急事態宣言開始を受けて談話を発表。「都民と事業者に対し厳しい自粛を求めながら、無観客とはいえ五輪を開催することは、矛盾したメッセージとなる」「約10万人が海外から来日し、ウイルスが持ち込まれる危険が生まれる」と指摘。「緊急事態宣言下の五輪開催はあり得ない」と強調しました。
その上で、ワクチンの迅速で安全な接種、大規模検査の実施、事業者に対する十分な補償と都民に対する生活支援、医療機関への減収補てんなどを求めています。
都議会立憲民主党も8日、小池百合子知事宛てに東京五輪大会の「延期・中止」を要請しました。
五輪を目前にしても、中止を求める声は、やむことはありません。日本弁護士連合会の元会長の宇都宮健児さんが呼びかけるウェブ署名は45万人を突破。読売新聞の世論調査(7月9~11日実施)では、41%が中止を望んでいます。

子どもたちも「中止」に一票
「コロナが世界中に広がってしまうから反対。変異株も恐い。コロナじゃなければ本当はやってほしい」。11日、JR三鷹駅前で呼びかけた五輪開催の賛否を問うシール投票で、小学5年生の男子が中止に一票を投じました。
紫野あすか市議が開いた街角トークの開催中(40分)に行われ、「開催」4票に対し「中止」54票と圧倒。通りかかった高校生3人のうち、2人も中止に投票しました。
高齢の男性は「応援している子もいるのでやらせてあげたい気持ちもある。だけど五輪にかけるお金をコロナ対策に回していたら、今頃コロナは終わらせることができたんじゃないか」と、複雑な思いを語りながら中止に一票を投じていました。

西村「脅し」発言 知事「思い同じ」
酒を提供する飲食店主から「もう持たない」との悲鳴があがっています。その飲食店に対し、西村康稔経済再生相は、休業要請などに応じない飲食店に対し「金融機関としっかり情報共有しながら、順守を働きかけていく」と発言(8日)。金融機関を使って圧力をかけるやり方に、「脅しだ」「いじめではないか」との批判が殺到、1日で撤回に追い込まれました。
しかし怒りの声はますます広がり、「自公以外に投票」のワードがトレンド入り。ツイッターには「我が家の主の勤務先の飲食店も1月から協力金が未入金!そのうえでの大臣のあの発言は謝罪撤回されても絶対許せませんね」といった言葉であふれています。
ところがこの西村発言に対し、都庁での記者会見(9日)で受け止めを聞かれた小池百合子知事は、「効果をあげていくという思いは、私も同じ」との考えを表明。「その思いは、やはりこの急所である飲食の部分をどう締めていくのか、絞っていくのか、この点に言及されたものだと思う」と同調しました。
その一方、五輪中止の判断はないかと問われ、「安全・安心な大会を進めていく」と繰り返すだけで開催を強行する姿勢を改めて示しました。都民の安全・安心を本当に守れるのか、知事の責任が問われています。

「感染拡大招き命危うく」45万突破した署名を呼びかけ

宇都宮健児・日弁連元会長
五輪大会は無観客であっても世界中から選手や大会関係者が日本に入り、警備関係者も全国から東京に来ています。こうした世界中、日本中からやって来た大勢の人たちの動きによって必ずや感染拡大を招き、命を危うくします。
同時に有観客開催を決めた宮城県などでも、医師会など地元から反対意見もあがっており、「復興五輪」とか「コロナに打ち勝った証」といった政府が掲げた意義は、全く失われてしまいました。大会はきっぱり中止すべきです。
私が呼びかけた「五輪中止を求めるネット署名」は、45万人を突破しました。開始わずか3日で20万人を突破しましたが、署名活動の運営サイト(Change.org)によると、これまでの最速で、45万人という数は最多ということです。それだけ中止してほしいという思いが詰まった署名だと受け止めています。近く(15日予定)政府、東京都、組織委員会、IOC、IPCに2回目の提出を行い、中止を改めて要請します。