「肌着の色は白」「ツーブロック禁止」―。そんな理不尽な校則の問題に日本共産党都議団が取り組んでいます。高校生らが共感を示すなど、大きな反響を呼んでいます。きっかけは、都立高校生から党都議団に「生まれつきの明るい髪を、黒染めしないと授業を受けさせないと指導された」との声が寄せられたことです。(新井水和)
校則問題に取り組むにあたっての党都議団の視点は二つ。「どうやったら子どもの権利を守れるか」と「どうやって子どもの直接参加で校則を変えていくか」です。約1カ月後に迫る都議選では、「すべての子どもを尊重する教育に」を公約に掲げています。
禁止なぜ
校則について「『なぜ禁止するのかと聞いても、先生が説明してくれないことがいやだ』という中高生の声が特に多かった」と日本共産党の池川友一都議(町田市選出)。単刀直入に都教育長に「なぜ(髪形の)ツーブロックはだめなのか」と質問したところ、教育長は「事件や事故に遭うケースなどがある」という驚きの答弁をしました。
このやりとりの動画はネットで約650万回再生、メディアも報道するなど注目され、理不尽な校則を見直す動きを全国に広げました。
不合理な校則の背景に、「(学校で)先生たち自身の人権が尊重されていないことがある」と池川氏は言います。石原都政(1999~2012年)は、職員会議での「挙手」「採決」といった教職員の意思を確認する運営の禁止など抑圧的な教員管理を行ってきました。
党の「校則問題プロジェクト」が行っているアンケートによると5月6日時点で、93・6%の教職員が校則を「疑問に感じたことがある」と答えています。
質問で光
2019年6月の都議会で、池川氏は「生徒の意見を聞き子どもの視点から絶えず校則を見直すことが必要だ」と迫りました。教育長は生徒の意見や社会状況をふまえ、見直すことが必要だと回答。それまで校長が決めるというのみだった都教委の態度を変えました。さらに、質問後出された通知では「全ての教育活動は、生徒の人権の尊重を基本」「生来の頭髪を一律に黒染めするような指導は行わないこと」という画期的な通知が出されました。
今年2月の都議会で、池川氏は、「地毛証明書」について、まっすぐな黒髪を「普通」とし、それ以外の生徒に提出を求めることになり、人権尊重の理念から相いれないと指摘。校則を子どもの権利保障の角度から見直すよう求めました。教育長から、「子どもは権利の主体として尊重される」「意見を尊重し、子どもの最善の利益を実現することは学校教育においても重要」との答弁を引き出しました。
土台築く
党都議団は「子どもの権利チーム」を立ち上げ、各会派に呼びかけ学習会を開きました。超党派の都議が参加するなど、都政の子どもの権利に対する認識の土台を築いてきました。
3月に全会一致で可決された「こども基本条例」は、党都議団の修正提案で、施行3年後に子どもの意見を聴き条例を見直す規定が盛り込まれました。
日本若者協議会の男性(19)は、「共産党は他党と比べ、人権や民主主義の意識が非常に高いと思います。公約も普遍的で素晴らしく、他党もどんどんまねしてほしい」と話します。来たる都議選で選ばれる議員のもとで見直されるこども基本条例にふれ「公約をモットーに議論を引っ張ってほしい」と訴えます。
池川氏は「共産党の都議が18人だからこそ校則の問題にも取り組めた。さらにもっと躍進すれば、都政で議論されたことのないテーマにも挑むことができる」といいます。「これまで当事者の声をもとに質問や提案をしてきた。子どもの権利が注目されている今、子どもが自分のことを自分で決めることが当たり前にできるようにしていきたい」と意気込みます。
(2021年6月2日付「しんぶん赤旗」より)