「原発安全神話」断て/振興特措法改定案 笠井氏が討論

質問する笠井亮議員=5日、衆院内閣委(写真提供:しんぶん赤旗)

衆院内閣委

原発立地自治体や隣接自治体の公共事業への国の補助率のかさ上げなどを行う原発立地地域振興特措法の期限を10年延長する同法改定案が5日の衆院内閣委員会で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成で可決しました。日本共産党と立憲民主党は反対しました。

日本共産党の笠井亮議員は採決に先立つ質疑で、同法の前回改定(2010年12月)直後に起きた東京電力福島第1原発事故は終わったどころか被害はいっそう拡大しており、原発をめぐる情勢が根本的に変わったと指摘。原発による「電気の安定供給」をうたう同法第1条の目的規定をなぜ変えないのかとただしました。

井上信治科学技術担当相は同事故について、安全神話に陥っていたために起きたと認めながら、「地球温暖化対応に原子力は不可欠であり、目的規定を変更する理由はない」と強弁しました。

笠井氏は「一たび過酷事故が起きれば、もっとも安全を脅かすのが原発だ」と強調し、菅政権が「脱炭素」を口実に新型原発の開発も含む「グリーン成長戦略」を公表し、原発の最大限の活用を掲げていることを厳しく批判しました。

反対討論で笠井氏は、改定案は「安全神話」を引き継ぎ、原発再稼働と核燃料サイクル政策をいっそう推進するばかりか、原発推進策と一体の財政支援の延長は自治体の原発依存を温存するものだと批判。野党共同提出の原発ゼロ基本法案の実現と一体に、廃炉と再生可能エネルギーの普及を支援し、立地自治体の内発的な自立と地域振興を図るべきだと主張しました。

(「しんぶん赤旗」2021年3月7日付より)