トンネル工事が一因/外環道直上陥没・空洞で有識者委

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ネクスコ東 可能性認め 補償へ

東京外環道トンネル工事の現場で確認された陥没と空洞(東日本高速道路の資料より)

東京都調布市の東京外かく環状道路(外環道)のトンネル工事付近で住宅街の市道が陥没し地中に空洞が見つかった問題で、東日本高速道路(ネクスコ東日本)の有識者委員会は18日、中間報告を会見で公表しました。報告はトンネル工事が一因となった可能性を認めました。会見に同席した同社の担当者は家屋損傷について被害を補償する方針であることを明らかにしました。

東京外環道工事をめぐる陥没事故で中間報告を公表する有識者委員会と東日本高速の関係者=18日、東京都内(写真提供:しんぶん赤旗)

報告では、陥没・空洞箇所の地盤の緩みが、トンネル直上部まで煙突状に広がっていることを確認しました。他方、緩んでいる領域がただちに陥没・空洞につながるものではないとしました。

原因の分析では、シールドトンネル施工が、陥没箇所を含む空洞の要因の一つである可能性が高いと推定。同社も会見でトンネル工事が引き金になったと認めざるを得ないとして謝罪しました。

今後、陥没につながる恐れのある空洞が発見されれば「緊急時」と位置付けること、周辺の監視、住民の不安を取り除くことに努めるとしています。

道路陥没の現場=10月18日、東京都調布市東つつじケ丘(写真提供:しんぶん赤旗)

陥没の現場は、同市東つつじケ丘の住宅街。陥没が1カ所(10月18日)、空洞が2カ所(11月3日、同21日)発生。その47メートル直下を、直径16メートルのシールドマシン(掘削機)が、9月14日に通過していました。

大深度の地下の掘削を可能にしたのは2001年に施行された「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度地下法)。地下40メートル以深の空間は通常使用されず、地上には影響が及ばないので地権者の了解を得ることなく建設できるとしています。

掘削機のルート上や周辺住民からは、陥没事故が起きる前から、「壁が落下、塀が亀裂、外床が隆起した」「揺れと振動とで家にいられなかった」「地面がひび割れた」などの事故の予兆をうかがわせる苦情が相次いでいました。

同社は最初の空洞の発見後に、住民説明会を開催しましたが、工事との因果関係の説明はなく住民の不満が高まっていました。調布市議会は今月11日、陥没や空洞は「市民の安全を脅かす」として、国土交通省や事業者に早急な対応を求める決議を採択しました。

(2020年12月19日付「しんぶん赤旗」より)