消費増税 「商店をつぶす気か」 「福祉のためじゃない」

2019年11月15日

 消費税が8%から10%に増税が強行されてから一月余。日本共産党都議団は8日、杉並民主商工会の協力を得て商店にどのような影響が出ているか調査するため、杉並区の商店街を一軒一軒訪ね、増税の影響やキャッシュレス決済への対応、希望する消費税率などについてアンケート。
商店主からは増税の深刻な影響ととともに、税金の使われ方への不満が寄せられました。和泉なおみ、尾崎あや子、原田あきらの各都議が取り組みました。(長沢宏幸)

共産党都議団 商店街で影響調査
お茶屋さん「頭にきている」
 「軽減税率なんて関係ない。頭にきている」。こう率直に話すのは商店街で70年間商売を続ける、お茶屋の2代目男性店主です。
 お茶は食品の軽減税率が適用されるので、消費税は8%に据え置かれています。「増税の影響はあるが、もともとお客さんからは、消費税分は(店で負担し)いただいていない。そのことが近所で評判になっているようだ」と苦笑しました。
 その一方、「いまはまだいいが、仕入れの負担が今後増えるので、来年から大変になるだろう」との不安も抱えています。
 キャッシュレスのポイント還元については「面倒だし、カード会社の手数料や対応レジ導入の費用がかかるのでやるつもりはない」と言います。
 消費増税については、お茶屋の同業組合の仲間うちでも話題になっているとし、「大企業のためにやっているとみんな話している。『つぶす気か』と怒っている人もいるよ」と明かします。消費税の今後については「廃止すべきだ」といい、「選挙で消費税のことを言わない候補者はだめだよ」と、きっぱり語りました。

鞄屋さん「5%に戻して」

 店内所せましと並ぶバッグ類。店の奥から出てきた男性店主は「売れゆきは、波はあるが全体としては良くない。増税の影響もあるかもしれない」と話します。「クレジットカードは使えますが、キャッシュレスのポイント還元は面倒だからやらない」といい、「もしお客さんから言われたら、その分値引きするつもりだけど、まだ言われたことはないですよ」と、心づもりを教えてくれました。
 消費税の今後については「正直なところ5%に戻してほしい。社会福祉にその分回すのならしょうがないが、そうなっているようには思えない」と語りました。

酒屋さん「卸す酒減った」

 店内には全国各地の地酒が並び、業務用冷蔵庫には世界のビールが冷やされています。店先にもワインなどが並びます。「ちょうど新しいレジを入れたところで、これから使い始める。お客の方でキャッシュレスが増えてきているので仕方ない」。50代の男性店主は真新しいレジの前で語りました。
 増税の影響で「飲食店に卸す酒類が減った」といい、「ビールなどは量販店が先行して安売りする。こちらの仕入れ値より安く売っている大手スーパーもあるので利益がどんどん圧迫されている」と不安を語りました。
 今後の税率について聞くと、「消費税は下がるにこしたことはないが、とにかく税金の無駄遣いはなくしてほしい。ニュースを見ていると、とんでもない使われ方をしていて、本当にお金がないとは思えない」と不満を口にしました。

原田都議 12月議会でただす
 共産党杉並区議団が4月に実施した商店街アンケート(328件)では、8割以上が増税の影響があると答え、6割近くが増税に反対していました。日本共産党は消費税について、当面8%に戻し、5%への減税や将来、廃止する政策を出しています。
 調査後、原田都議は「多くの商店で増税分を転嫁できておらず、大手スーパーの影響などとあわせて、深刻な状況が分かりました。12月都議会で商店の実態を示して、都の対応をただしていきたい」と話しています。