ブラック企業名公表 首相に迫り 政府動かす 今こそ9条、訴えたい 吉良よし子参院議員に聞く

2018年2月13日


 
 東京民報は今年6月で再週刊化10周年を迎えます。10周年記念の連続インタビュー第一弾は、本紙に「キラキラ国会のおと」を連載中で、19年夏の参院選への立候補を表明した日本共産党参院議員の吉良よし子さん(35歳、東京選挙区選出)。1期目の4年半の議員活動を振り返り、再選への決意と東京民報へのエールを聞きました。
(聞き手・荒金哲 写真・田沼洋一)
 
 ―2013年の初当選から4年半が経ちました。
 
 安倍政権の暴走とともにあった4年半というのが、一番の感想ですね。
 当選直後の臨時国会で、秘密保護法が通されたんです。国会を幾重にも取り囲む人が押し寄せているのに、民主主義を破壊する悪法が強行されてしまう。自分は何のために国会に来たのかと悔しくて。絶対にこの暴走を許してはいけないという思いでたたかってきました。
 
 ―市民と野党の共闘が進んだ4年半でもあります。
 
 私が当選した時期は、野党がごく一部の一致できる点で共同することはあっても、野党共闘など思いもよりませんでした。秘密保護法のとき、当時の民主党は退席してしまい、反対討論にすら立たなかった。田村智子さん(参院議員)が、涙目で「帰ってこい」と叫んでいたのを思い出します。そこから、安倍政権の暴走に市民が何度も立ち上がる中で野党の共闘が進んでいった。それが市民の力なんだと思います。
 私自身も、現場のたたかいに励まされてきました。感動したことの一つが過労死防止対策基本法です。
 家族を過労死で亡くした遺族の方たちは、「なぜあの時、仕事に行くのを止めなかったのか」という後悔を抱え苦しんでおられます。その苦しみを乗り越えて、二度とこの苦しみを他人にさせてはならないと議員会館を歩き、議員一人ひとりに働きかけ、それが与党も動かして全会一致で法律をつくらせた。政治を動かすのは、国民一人一人の思いなんだと感動しました。
 だからこそ、過労死ラインの月100時間の残業を容認するような安倍政権の「働き方改革」は、許せないという思いも強く持ちます。
 
 

現場に生きる質問が誇りに

 
 ―吉良さんの質問が政治を動かしたことも多くありました。
 
 候補者のときから訴え、力を入れてきたブラック企業の問題で、昨年、厚生労働省を動かし、労働法違反の疑いで書類送検された476社の社名が公表されたことは、とてもうれしい成果でした。
 2015年2月の決算委員会で、直接、安倍首相に企業名の公表を迫りました。直後に企業名公表の制度をつくることを厚労省が決め、昨年は書類送検された企業を公表するという動きにつながりました。
 当選して半年後の予算委員会でも、ブラック企業の問題を取り上げました。この時は、固定残業代制度という仕組みで、実際は膨大な残業をしないとまともな賃金が払われないのに、募集広告でだますやり方について質問し、厚労省が質問の3日後に関係団体に通知を出しました。
 労働問題に取り組んでいる笹山尚人弁護士が、この時の厚労相の答弁などを利用して裁判をたたかい、昨年末に和解に至ったそうです。笹山さんがフェイスブック(インターネットの交流サイト)で、国会での論戦が現場に生きていると紹介してくれました。自分のやった質問が、いまたたかっている人たちの役に立っているのはすごいことだし、そういう質問ができる共産党の議員として活動をしていることが、私の誇りです。
 
 

理不尽な開発に命を守る立場で

 
 ―東京に関するテーマも多く取り上げています。
 
 築地移転や外環道、スーパー堤防など、理不尽な開発に対して、住民の運動が起きている問題は、こだわって質問してきました。
 築地の問題で言えば、17年4月に決算委員会で質問した時の農水相の答弁は、汚染が除去されていないもとでの開場は「想定し得ない」というものです。農水相は「市場関係者の理解を得ることは絶対だ」とも答えました。こうした答弁をふまえれば、深刻な汚染が残り、市場関係者にこれだけ根強い反対の声があるのに、豊洲で市場を開場することは許されないと思います。
 外環道をめぐっては、工事自体への反対はもちろんですが、本格工事が始まったもとで、陥没事故などが起きた時の避難計画もないことを、17年4月の決算委員会で追及しました。国は大深度地下の工事だから地上に影響しないと言い続けてきたのが、ここにきて家屋調査を始めていることが住民の不安を広げています。一方、調査の結果すら公表していない問題点なども明らかにしました。
 引き続き、東京選挙区で活動する議員として、住民の命と暮らしを守る立場でたたかっていきたいと思います。
東京を変える貴重な新聞 
 
 ―再選への決意をお願いします。
 
 参院東京選挙区の日本共産党の議席は、東京の平和と民主主義を実現するために、絶対に欠かせない議席だと思います。
 安倍首相は積極的平和主義、平和安全法制など、ことあるごとに「平和」という言葉を使います。しかし、彼らのいうような軍事力頼みの、武力による平和など、ありうるでしょうか。
 2歳の息子に読んであげている絵本「へいわってどんなこと?」(浜田桂子著)に、平和とは「ぼくがうまれてよかったっていうこと、きみがうまれてよかったっていうこと、きみとぼくはともだちになれるっていうこと」という言葉があります。
 本当の平和は、どんな国に生まれても、どんな立場の人であっても、お互いを尊重しあい、命を喜び合うことから始まるのではないでしょうか。
 
 憲法9条が今こそ世界に求められていることを訴え、その9条を本当に実現するためにも、2期目へ何としても勝ち抜きたいと思います。
 ―東京民報は、今年6月で再週刊化10周年を迎えます。
 東京民報は、東京で起きている大事な問題を伝える、貴重な報道機関です。私自身の活動を伝えてもらっていると同時に、都議会や東京各地で起きていることなど、東京民報を読まないと知ることができないことがたくさんあります。
 横田基地の降下訓練や、羽田の低空飛行ルートの問題など、都民の命にかかわり、本当はもっと大手メディアで取り上げられるべきなのに、後回しにされている問題をきちんと取り上げている。伝えるだけではなく、命、暮らしをないがしろにする政治を変えようというメディアです。さらに発展してほしいし、私自身も力をあわせて頑張りたいと思います。